ゆうちゃんの家

メンサ・科学者・自閉症スペクトラム。心理学・薬学・医学・アイディア発想・エッセイ等(@UCHAM0410)

【危険な権力者の病】妄想性パーソナリティ障害とは?

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【概要】

今回の記事は妄想性パーソナリティ障害に関する記事になります。

 

妄想性パーソナリティとは、現実から乖離した妄想を中心にして、物事の判断や思考を行ってしまう性格気質のことです。別名、猜疑性パーソナリティ障害とも言われます。

普通の人々は信頼や愛情を介した人間関係を構築することが可能ですが、彼らは猜疑心にとらわれているため常に疑り深く、健全な人間関係を構築することが困難になっています。その結果、彼らは信頼や愛情といった感情を介してではなく、自分への強い忠誠心をもとに付き合う人間を選ぶ傾向があります。その結果、彼らの周りにはおべっか使いのイエスマンだけが溢れかえります(そのイエスマンたちにも常に猜疑心を向け、強い忠誠心を求めるため、すこしでも拒絶を見せるとすぐに冷遇や処罰を与えます)。もし会社の社長などが妄想性パーソナリティなら最悪の組織になってしまいますね。

 

妄想性パーソナリティはしばしば歴史上の権力者にも見られる人格で、「自分を裏切るやつがいるんじゃないか」「あいつは自分の地位を狙っている」などの猜疑的妄想にとらわれます。その結果、部下を何の前触れもなく粛正したり(どこかの国の指導者ですね)、大量虐殺したりすることもあります。たいていの場合、その原因や動機は、我々普通の人が理解するのは困難です(なぜなら動機は彼らの「妄想」になるからです。もはや思考が正常ではないのです)

 

 

【診断】

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診断はDSMによると以下の基準にあてはまるかどうかで決定されます。

 

  1. 十分な根拠もなく、「他人が自分を利用する」、「危害を加える」、「だますのでは?」という強い疑いを持つ。
  2. 周囲の人々の誠実さ・信頼を強く疑い、それが長期に渡っている。
  3. 自分の開示した情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。
  4. 悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると考える(いわゆる敵意帰属バイアス)。
  5. 恨みをいだき続ける。傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。
  6. 自分の性格や評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、怒りを表出する。または逆襲する。
  7. 配偶者や性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理に合わない疑念を持つ。

 

妄想性パーソナリティ障害の妄想は「根拠のない疑い」を常に持つという点が特徴的です。

妄想が関係する他の疾患に、妄想性障害や統合失調症などがあります。前者は、猜疑心だけではなくより広範囲に妄想が見られます。後者も同様で、さらに幻覚(特に幻聴)などが見られることもあります。これらに比べると、妄想性パーソナリティ障害の患者はある程度は一貫した人格を保っています。

 

 

【問題点】

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彼らは執拗な妄想(不信)を抱くため、知らない間に激しい敵意を向けてくるということが少なくありません。ほんの些細なことでも疑念を感じます。以前、過去記事でご紹介したストーカータイプの一つがこの妄想性パーソナリティ障害です(ほかにはサイコパス型、ナルシシズム型、統合失調型、境界性パーソナリティ型がある)。

妄想由来の敵対心や攻撃ですので、こちらは全く身に覚えがなく、予想もつかないタイミングで攻撃をしてくる危険なパーソナリティでもあります。

 

 

【対策】

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妄想性パーソナリティの人たちは、常にこちらに疑念を持ち、急に敵対的・攻撃的になります。基本的には関わらないのがベストです。下手に親密になると急に依存的関係を強要されたりします。程よい距離感を保ち、親密には決してならず、彼らの視界になるべく入らないようにすることが被害を最小限にする方法でしょう。

 

 

【まとめ】

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①妄想性パーソナリティ障害とは、「不信」を中心としたパーソナリティである。

 

②妄想性パーソナリティ障害の人々は、強い不信感をもつため、信頼や愛情を介した人間関係が築けない。彼らは強い権力や脅迫的な言動による対人操作を介さないと人間関係を築けない。

 

③妄想性パーソナリティ障害の人々は、自分の周囲の人々に過剰な忠誠心や奉仕を求める。それ以外の人は排除しようとする。その結果、彼らの周りにはイエスマンばかりが残る。組織の上位者が妄想性パーソナリティだと組織は破綻する。

 

④妄想性パーソナリティ障害の人々は、急に攻撃的になったり、こちらを冷遇したりすることがある。かなりやっかいなパーソナリティなので近寄らないことが何よりの対策となる。

 

 

以上いかがだったでしょうか?

妄想性パーソナリティは人口の0.5~4%もいると言われます。過去記事で、サイコパスやソシオパス、ダークテトラッドやダークトライアドなど色々と紹介してきましたが、それに並ぶ危険度です。

みなさんもぜひ注意してくださいね!

 

 

<過去記事>

 

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【自分を盛る人たち】演技性パーソナリティ障害とは?

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【概要】

今回は演技性パーソナリティ障害の紹介です。

 

たまにテレビとかでも見かけますよね。

経歴を詐称したり、論文データをねつ造したり、謝罪会見なのに被害者ヅラしていつのまにか自己PRの場にしたりする人たち...。

 

あるいは身の回りにも、ちょっとズレたオシャレをしたり、自分を盛るために嘘を重ねて注目されたがったり、周りにちやほやされたがる人たち...。

 

そういった人たちは演技性パーソナリティ障害かもしれませんね。

 

 

【診断】

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価値観や生きる意味は人それぞれです。自己の研鑽が目的の人、自然現象の探求が目的の人、億万長者を目指す人、幸せな家庭を求める人...。人の数だけ価値観があっていいと思います。

演技性パーソナリティの人たちの価値観・目的は「他者に注目されること」です。注目されることのみが彼らにとってのステータスです。彼らは「他者に注目される」ためになりふり構わない手段に出ます。その手段とは、嘘・演技・性的な挑発・誇張などさまざまです。このような手段をとってしまう結果、人間関係や、社会に被害を与える場合があります。特に影響力のある人の嘘やマスメディアをも欺く嘘・誇張が与える社会的損害は甚大になる場合もあるでしょう。

 

演技性パーソナリティかどうかは以下の診断基準に則って判断されます。

 

①自分が注目の的になっていない状況は楽しいと感じない。

⇒彼らは自分が舞台の中心・主役になっていないと不満・不安を感じます。その結果、騒動を起こしたり、人間関係をかき回すような行動に出たり、虚言を用いたりします。

②他者との交流は、時によって性的に誘惑的な、あるいは挑発的な行動が見られるという特徴がある。

⇒やたら露出の高い服を職場に着てくるとかの特徴が見られます。また異性に対しては、特定の人に対して執着するというよりも、多くの異性に注目されることを好む傾向があります。ちなみに特定のパートナーとは長続きすることは少ないため、結婚には向かないでしょう。結婚して特定の異性へ尽くすという感情は欠落しており、常により多くの異性の注目を浴びていなくてはならないという強迫的とも言える思考を持つためです。

③浅薄ですばやく変化する感情。

⇒これも他者の注目を引くための行動です。

④注目を引こうと、奇妙で派手な外見をする。

⇒その場・立場には明らかにそぐわないような言動・振る舞い・服装を好みます。

⑤印象的ではあるが、中身の乏しい会話をする。

⇒「これからとても大事な話をするけど...」「これ、みんなには内緒なんだけど...」と切り出しておいて、内容が実にくだらない内容であったり、誰でも分かっていることだったりします。会話の中身自体が作り話の可能性すらあります。

⑥演劇的な表現を行う。

⑦被暗示性が高く、環境や流行に影響を受けやすい。

⑧一般基準から考えて非常に馴れ馴れしく、ただの知人を親友と言ったり、一度あっただけの人を友達と考えたりする。

 

他者の注目をモチベーションにしているという点のみ取り上げれば、とくに悪い人格ではありません。状況によっては彼らは大きく成長するでしょう。そもそも今の世の中、誰もが目立ちたい、ユニークでありたいと思って当たり前ですので、どこまでが障害でどこまでが通常かの判断はなかなか難しいでしょう。

例えば芸能人などのテレビ・メディアへの露出の高い人たちは目立ってナンボの世界です。そういう人たちが演技性パーソナリティ傾向であれば、それは強い武器となるでしょう。

問題は前述の通り、なりふり構わない手段をとって目立とうとする点です。嘘・経歴詐称・人間関係をかき回す・他人の悪口や過激な思想を話すなどのさまざまな、普通の人は思いもつかないような手段で彼らは注目されることを追い求めます。その手段によっては社会的制裁を受けることもあるでしょう。芸能界ではプロフィールをごまかしたりするのは当たり前のようですが、政界で学歴詐称などしたら大問題になりますね。

 

 

【彼らの問題点】

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前述のとおり、嘘・過度に目立つ外見(場にそぐわない厚化粧や実際の収入にそぐわない車や家・服を持つ等)・人間関係を操作し目立とうとする・口達者などのさまざまな手段をとります。彼らは確かに目立ってはいますが、実際よくよく観察してみると中身がないことが多いです。特に嘘や対人関係を操作しようとする手法が問題です。その結果、周囲の人と摩擦を起こし、人間関係を悪化させることもあります。

もう一つ問題なのが、彼らの「嘘」「演技」にだまされてしまう人が一定数いることです。彼らが嘘や演技を放つたびに、それを信じる人と信じない人の対立軸が出来てしまい、それがもとで人間関係がギクシャクしてしまうことも問題ですね。

 

 

【類似のパーソナリティ障害との比較】

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単純に嘘や対人操作などの特徴だけに着目すれば、反社会性・自己愛性・境界性パーソナリティ障害などでも見られます。違いは何なのでしょうか?

 

①反社会性パーソナリティとの違い

反社会性パーソナリティは、「目的志向型」つまり何らかの目的があって嘘や対人操作を行います。例えば昇進したい、昇級したい、権力を握りたい、お金をだまし取る、ライバルを蹴落とすなどの目的が先にあって、そのための手段として嘘や対人操作を用います。単に目立ちたい人たちが演技性パーソナリティです。ちなみに反社会性パーソナリティにはあって、演技性パーソナリティにはない特徴は、共感能力(相手の感情や気持ちを汲み取る能力)の欠落、極端な冷淡性などです。演技性パーソナリティに見られるような感情の起伏の激しさなどはほとんどありません。

 

②自己愛性パーソナリティとの違い

このナルシシズムと演技性パーソナリティは非常に似ていて一見同じに見えます。違う点は、ナルシシズムは他者への共感能力が低く、また、「自分はすでに演じるまでもなく全能である」と思っている点です。演技性パーソナリティの人はなんとなく「現実の自己」と「理想の自己」との間のギャップを理解していて、その差を埋め合わせるために目立とうとするのです。またナルシシズムは、「自分は全能なのだから特別扱いされて当然」という尊大で傲慢な態度が特徴的です。

 

③境界性パーソナリティとの違い

この二つも、対人操作性・感情の起伏が激しいこと・一見して社交的なことなどはとても良く似ています。自傷癖の有無で言えば、ボーダーラインの人の方が圧倒的に発生率は高いです。

 

 

【まとめ】

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①演技性パーソナリティとは、「他者から注目されることが自分の価値・ステータスの全て」と過度に考える人たちである。

 

②演技性パーソナリティの特徴は、嘘・対人操作・演技などさまざまである。彼らの嘘や演技・対人操作によりその周囲の人間関係がギクシャクしてしまう。

 

③演技性パーソナリティと、反社会性・自己愛性・境界性パーソナリティには似た部分がある。

 

 

以上です。

誰とは言いませんが、結構テレビなどのメディアで頻繁に見かけるのが演技性パーソナリティです。

人は誰しも自分を少しでも良く見せようと演技をするものであり、そのこと自体は問題にはなりませんが、その手段が逸脱してしまい社会や他者と摩擦を起こしてしまうことと問題です。

また彼らの「嘘」にだまされてしまう人が一定数います。

人を見る時は本質を見ることが重要です。本質を見抜くことが難しいときは、「相手が何をやってきて、何をやってこなかったか」を事実ベースで観察してみましょう。

素晴らしく着飾っていて、聞こえの良い台詞を吐き、素晴らしい経歴を持っていても、事実が伴わなっていなければ、もしかしたら演技なのかもしれませんよ...!

 

 

<参考図書>

*1:牛島定信著、『パーソナリティ障害とは何か』、株式会社講談社

*2:岡田尊司著、『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』、株式会社PHP研究所

*3:和田秀樹著、『自分を「平気で盛る」人の正体』、SBクリエイティブ株式会社

 

 

<過去記事>

 

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【心の仮面】アズイフパーソナリティとは?

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【概要】

今回の記事では「心の仮面」についてのお話をします。

実は正常な精神の人たちも、パーソナリティ障害をお持ちの人たちも「心の仮面」を作って日々生きています

ペルソナという言葉をみなさんも聞いたことがあると思います。これは心理学者のカール・グスタフユングが提唱した概念です。人は、周囲の環境に上手く適応するため、その時その状況に適した「正常な心の仮面」を作っているという考え方です。

心の仮面というと、自分の正体を隠していて、なんだか悪いことをしているように聞こえますが、あくまで「環境に適応しようとする心の働き」が心の仮面と呼ばれているだけです。

たとえば、会社では部長として時に厳しく部下を指導し強度のストレスにも毅然と振る舞う人が、家に帰れば家庭思いの優しいパパ・ママになることもあるでしょう。心の仮面を付け替えているわけです。心の仮面の良い効果ですね。

今日はそんな「心の仮面」についてのお話をご紹介します。

 

 

【「心の仮面」を現代心理学的にいうと?】

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上記では精神分析学における心の仮面、すなわちペルソナの話をしました。

現代の心理学では、心の構造とはどのように定義されているのでしょうか?それは以下の3層構造になっていると定義されています。その人の心の核になる部分を『気質』、その上に成り立つものを『パーソナリティ』、さらにそれをとりまくものを『役割的性格』といいます。

 

①気質

⇒生まれながらに持っている心の性質のこと。その人の心の正体である。遺伝的要素が大きく、変化することはない

 

②パーソナリティ

⇒気質を基礎としながら、後天的な要素、つまり家庭環境や友人・人間関係・さまざまな学習や経験などを基礎として構築されている。変化しにくい。

 

③役割的性格

⇒生徒、会社員、母親、父親、部長、医師...などの社会的役割によって規定される心の領域。前述の部長の例で言えば、就業時間内は部長としての仮面をかぶり、部長としてふさわしい行動・判断・思考を行うが、家に帰ればパパ・ママとしての仮面をかぶり、子供と遊んだり、家族団らんを楽しんだりするというかたちである。この役割的性格は簡単に変化する。

 

つまり③の役割的性格は自分の意志で簡単に変化させることが出来るのです。この部分が「心の仮面」になるのでしょう。

また話は少し逸れますが、心の病の原因が気質にある場合は生涯直る可能性は低いでしょう。前述の通り、気質は遺伝的要素が大きく変化させることが難しいからです。遺伝的要素が大きい精神疾患にはADHD統合失調症自閉症スペクトラムなどがあり、遺伝率は70〜80%です。

心の病がパーソナリティに原因がある場合(いわゆるパーソナリティ障害)もなかなか治らないと言われています。パーソナリティ障害が治りにくい原因は、パーソナリティ自体が変化しにくいこと以外にも、診断が難しいこと、重ね着症候群(複数のパーソナリティ障害が混在していること)、診断基準が身体の病気にくらべ曖昧なので治ったかどうかの確認も難しいこと等が挙げられます。

心の病の原因が、役割的性格にあるのなら簡単に治せます。なぜなら前述のように、役割的性格は簡単に自分の意志で変化させることができるからです。部長職の仮面を被ることによる重圧がストレスなら他の任につけば良いですし、その会社の会社員であることが原因なら転職すればいいのです。

役割的性格はある程度までは自分の意志で「演じている」という側面があるため、自分の意志で変えられるのです。

 

 

【アズイフパーソナリティとは?】

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パーソナリティ障害の人たちが作り出す仮面のことは特別にアズイフパーソナリティ(as if personality:かのようなパーソナリティ)と呼ばれています。精神分析家のH・ドイチュが提唱した概念です。

パーソナリティ障害とは「性格特性が極端に偏っていて、それが原因で深刻に悩んだり、社会と摩擦を起こしたり、健全な社会生活を営むことが困難になっている状態」です。誰でも空想・妄想をすることはありますが、それが行き過ぎると妄想性パーソナリティになり、誰でも一時的にキレることはありますがそれが行き過ぎて日常的な暴力や破壊行動に出ると反社会性パーソナリティを疑われます。

彼らは社会に適応しずらい・生きづらいという悩みを抱えています。それでも彼らは社会に適用しようと努力し、その結果周囲に受け入れやすい良く出来た仮面を作り、その仮面を通してなんとか表面上だけでも社会に適応しようとします。つまり擬似的なパーソナリティ(アズイフパーソナリティ)を作り出すのです。

彼らは社会・環境の変化に上手く適応しようと仮面を作るのですが、それは本来の自己を抑圧して周りに迎合することにほかなりません。その結果、彼らは自分が何者なのか、本来の自分は何がしたいのかが曖昧になってしまい、空虚感・抑圧によるストレスを感じるようになってしまいます。また、見境なく周囲と同調できる仮面を作るような習慣ができてしまい、その結果周囲に振り回され、精神的なストレスでぼろぼろになってしまいます(かといって仮面を作らなければ社会と適応できないというジレンマに陥る点も、パーソナリティ障害の苦しい症状です)。

 

 

 

【まとめ】

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①心の仮面を作るという行為自体は異常なことでも何でもない。周囲に上手く適応し、社会との摩擦を極力減らそうとする自然な行為である。

 

②心の仮面は、精神分析学的には「ペルソナ」、現代心理学的には「役割的性格」である。

 

③パーソナリティ障害の人たちの作る心の仮面は「アズイフパーソナリティ」と呼ばれる。これは社会に適応しやすくなるというメリットがある一方で、本来の自己の抑圧してしまうこと、仮面をことあるごとに見境なく付け替えるということが起こり、本人にとっては多大なストレスを感じたり、本来の自分のアイデンティティを見失い空虚感を感じる結果にもなりかねない。

 

 

以上です。

なんらかのパーソナリティ障害に該当する人は、人口の15%はいるという学者もいます。この中には、心の仮面を作るのがとても上手で、パーソナリティ障害であるにも関わらず何の不自由もなく一生を送れる人もいます。

ただそうでない人は、次々と仮面を作っては変える作業に追われ、多大なストレスと自己の抑圧というツラい体験をしなくてはなりません。

ぜひパーソナリティ障害の正しい知識を深めてもらって、彼らにも寛容な社会が出来るといいですね(ダークトライアドやダークテトラッドなどのサイコパスナルシシズムマキャベリズム・サディズムや攻撃性パーソナリティは別です笑)!

それではまた次の記事で!

 

 

<参考文献>

牛島定信 著、『パーソナリティ障害とは何か』、株式会社講談社

 

 

<関連過去記事

 

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【犯罪心理学】犯罪者の8つの兆候、セントラルエイトとは?

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【概要】

今回は犯罪行為と相関関係の高いとされる8つの兆候「セントラルエイト」について解説したいとおもいます。

以前紹介しましたダークトライアドやダークテトラッド、つまりサイコパスマキャベリズム・ナルシシズムサディズム反社会性人格障害(ASPD)などの、いわゆる一部のパーソナリティ障害も犯罪と関係性は深いのですが、実際に犯罪行為を行うかどうかをパーソナリティだけで論じることは不可能です

実際、凶悪犯罪に関わるイメージの強いサイコパスですら、刑務所の15%程度に過ぎません(参考文献*1)。犯罪を行うかどうかはパーソナリティ以外にも要因があるのです

では、犯罪行為を行う人たちを生み出してしまう要因とは一体なんなのかをご紹介していきたいと思います。

 

 

目次

・犯罪の行動分析学的な仮説について

・犯罪と関連性の深い8つの因子とは?

・まとめ

 

 

【犯罪の行動分析学的な仮説について】

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行動分析学にも色々とありますが、ここでは一番簡単なモデルである「SORモデル」をもとに説明したいと思います。このSOR理論はアメリカの心理学者、トールマンとハルによって提唱されたモデルです。SはStimulus(外的刺激)、OはOrganism(有機体。ここでは外的刺激に対する人間の認知・解釈システムのことです)、RはReaction(行動・反応)の略です。つまり、このSORモデルとは、「なんらかの外的刺激・ストレス要因が存在し、その刺激が個人の認知システムによって解釈され、その解釈をもとにその人がある特定の行動を起こす」というモデルです。

後述しますが、犯罪者とそうでない人たちを調査した研究では、上記のO、つまり認知システムになんらかの異常があるということが確認されています。

 

たとえば、あなたが街を歩いていたとしましょう。すれ違った素敵な異性と偶然目が合いました。ただ何事もなくお互いに素通りしていきました。よくある光景ですね。

上記の例だと、普通の人の場合は「ああ、素敵な人だったなあ」とか「素敵な人もいるもんだなあ」という解釈・認知をして素通りして終わりですよね?

ところが、普通でない人は「あの人は私に絶対気がある」「あいつ私を睨みつけていた」「イケメン美女でない私を蔑んだ目つきをしていた」...等々、確信に近い形で歪んだ解釈・認知したりすることがあるのです。その歪んだ解釈をもとに、たとえばあとを付け回してみたり、因縁を付けたり、急に殴り掛かってみたり...等の犯罪行為に及ぶのではないか、ということです。

つまり、普通の人と変人は同じ「素敵な人と目が合った」という体験をしているわけなんですが、変な人はその体験を歪んだ形で解釈・認知してしまい、その結果歪んだ解釈をもとに歪んだ行動をとってしまうことが犯罪行為の本質ではないかということです。

つまりSORの三要素のうち、O(認知・解釈システム)に異常があるということになります。

それでは具体的にどのような歪みがあるのでしょうか?

 

 

【犯罪と関連性の深い8つの因子とは?】

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上記のSORモデルのうち「O」の部分、つまり認知解釈システムには、その人のパーソナリティや生育環境、後天的経験、先天的要因、人間関係...さまざまなものが含まれています。

その中で、カナダの心理学者アンドリュースとボンタが行ったメタアナリシス研究により、下記の8つの要因が犯罪行為と関連があることが明らかにされました。これを「セントラルエイト(Central eight)」と呼びます。特に①〜④は犯罪行為との相関性が高いため「ビッグフォー(Big four)」とも呼ばれます(参考文献*2)。

 

①過去の犯罪歴

⇒多種多様な犯罪歴がある。

②反社会的な交友関係

⇒反社会的傾向を有する交友関係がある(薬物使用者・窃盗集団・暴走族・破壊活動を行う過激な集団、不良グループ...等々)。

③反社会的認知

⇒犯罪行動を合理化する、犯罪行為を美化したり憧れたりする、ルールを守らない、敵意帰属バイアス(なんでもない他人の行動・言動を自分への敵対行動として解釈してしまう傾向)などを有すること。

④反社会的パーソナリティ

⇒過去記事参照。共感能力(相手の感情や気持ちを汲み取る能力)の欠落、自己中心的な思想、残忍で冷酷な考え方、自己の感情や行動を制御する能力(自己コントロール能力)の欠如、遅延価値割引効果(簡単に言うと、長期的な損得勘定よりも目先の利益に着目してしまう傾向のこと)。

⑤家庭内の問題

⇒家庭内不和、しつけが適切でない、虐待やネグレクトなど。

⑥教育・職業上の問題

⇒職場や学校での成績が不良であったり、対人関係に問題がある。無職である等。

⑦物質使用

⇒アルコールや処方薬、違法薬物への依存。

⑧余暇活用

⇒建設的な余暇活動(運動や趣味などでストレスを発散させることや、自分を研鑽する活動など)を有していない。

 

過去記事で色々な「めんどくさい人たち」を紹介してきましたが、上記は犯罪行動に結びつきかねない兆候です。もし周りにこのような人がいたら要注意です!

 

 

【まとめ】

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①パーソナリティだけを見て、その人が犯罪行為を行うかどうかの正確な判断は出来ない。

 

②犯罪行為を行う人たちは「歪んだ認知・解釈」を行うという仮説がある。

 

③犯罪行為と相関性の高い兆候は8つあり、「セントラルエイト」と呼ばれる。

 

 

 

以上になります。

今回は実際に犯罪行為に走ってしまう人たちの特徴を簡単にまとめました。

上記に複数該当する人がいたらご注意くださいね!

それではまた次の記事で!

 

 

<参考文献>

*1:原田隆之 著、『サイコパスの真実』、筑摩書房

*2:原田隆之 著、『入門 犯罪心理学』、筑摩書房

 

 

<関連過去記事>

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【社交的なのに傷つきやすい人たち】サイクロイドパーソナリティとは?

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【概要】

今日はサイクロイドパーソナリティについてご紹介したいと思います。

このサイクロイドは以前はパーソナリティ傷害としてDSMに記載されていたのですが、除外されてしまいました。サイクロイドの症状としては躁鬱状態に似ているのでそちらの方にまとめられたのだと思います。

ただサイクロイドも、多くはないでしょうが日本人にも当てはまる部分があると思われるので今回ご紹介使用と思いました。

 

 

目次

サイクロイドの特徴

サイクロイドのタイプ

・まとめ

 

 

サイクロイドの特徴】

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クレッチマーによるとサイクロイドとは以下の3つの特性が挙げられています。

 

①社交的、善良、親切、温厚

②明朗、ユーモアがあり活発、怒りっぽい

③寡黙、平静、躁鬱、気弱

 

サイクロイドの人の特徴は「社交的で世話好き、人々に慕われ、態度は開放的で、周囲の人とすぐに打ち解ける」という特徴を持っています。一見するととても良い人のように聞こえますね。ただ、サイクロイドの人の上記の特徴の根幹には「強い同一性思考と幼稚な依存性」があるのです。

強い同一性とは「みんなと一緒だと幸せ」という思考回路です。彼らはまさにそれを求めて開放的に社交的に振る舞います。彼らはみんなと一緒の時間を過ごすのが大好きです。一方で、何らかの拍子に孤立すると、彼らのテンションは一気に下がります。

つまり、まずはじめに「同一性への渇望」「他者への依存」という欲求があり、その欲求を満たすための手段として「異常に高い社交性」を発揮している、という心理構造の人がサイクロイドパーソナリティです。

そのため彼らはスキゾイドとは違って孤独に耐えられる能力は低く、孤独・同一化の失敗・他者からの拒絶を受けると抑うつ状態になってしまうこともあります。以前ご紹介したスキゾイドとは真逆の心理構造の人たちがサイクロイドということになるのでしょう。

yuukoki.hatenablog.com

 

 

 

サイクロイドのタイプ】

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サイクロイドのタイプには色々ありますが、以下の二つが顕著です。

 

①類境界型サイクロイド

症状は過去記事で紹介しました境界型パーソナリティと似ています。

yuukoki.hatenablog.com

 

感情の波が激しく、自傷行為を行い、暴飲暴食や無謀運転などの自暴自棄な行動を行います。対人関係において、境界性パーソナリティの人との違いは「見捨てられたという不安や怒り」を相手にもつことがない点にあります。類境界型サイクロイドの人は「同一感の欠落による無力感」といった無力感(抑うつ状態)に苛まれます。

 

②依存型サイクロイド

現代のDSM上では、過去記事でも紹介した依存性パーソナリティと同じだと考えられています。

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生育環境で、適度な依存体験が得られなかった場合、サイクロイドの本来もつ社交性が歪んで、依存をコアとした対人関係にすり替わってしまうと言われています。

 

 

【まとめ】

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①かつてサイクロイドパーソナリティという項目がDSMには記載されていた。「社交的・善良で開放的」な性格の持ち主であるが、この一見良い性格は「強い同一性への渇望と幼稚な依存体質」の上に成り立っているものである。よって、同一性が何らかの原因で破綻したり、孤立したりすると、本来の社交性は失われ抑うつ的になる(躁鬱化、循環気質)。

 

サイクロイドの人格コアは「強い同一性への渇望と幼稚な依存体質」である。生育環境によっては過度に同一性を求める「類境界型サイクロイド」や、過剰に依存する「依存型サイクロイド」に移行しうる。

 

 

以上いかがだったでしょうか?

サイクロイドは正常に生育すればやや感情の波は激しいですが、とても善良な人たちです。私の周りにも結構います。

ただサイクロイドの人たちの人格コアは非常に繊細でもろく、躁鬱状態を経験することもあります。

また過剰に正義感や規範意識が強いため、その枠から少しでもそれると激しく怒ることがあります。

基本的には善良で明るい人たちなので、適度な距離を保って仲良く接していきましょう!

それではまた次の記事で!

 

 

<参考文献>

*1:牛島定信 著、『パーソナリティ傷害とは何か』、株式会社講談社

 

 

<過去記事>

 

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【風変わりな人たち】スキゾタイパルパーソナリティ障害とは?

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【概要】

今回は、風変わりな思想をもつ「スキゾタイパルパーソナリティ」についてご紹介します。

以前スキゾイドパーソナリティを紹介しました。孤独を愛する人・孤独を好む人たちです(下記過去記事参照)。スキゾタイパルパーソナリティの特徴は、スキゾイドの土台である孤独を好む傾向に加えて、現実感覚の欠如・希薄化が見られることです。

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目次

・スキゾタイパルパーソナリティ障害の診断基準

・スキゾタイパルパーソナリティ障害の特徴

・スキゾタイパルパーソナリティ障害の克服

・スキゾタイパルパーソナリティ障害への接し方

・まとめ

 

 

 

【スキゾタイパルパーソナリティ障害の診断基準】

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スキゾタイパルの主な診断基準は以下の通りです(参考文献*1)。

前述のとおり、スキゾタイパルパーソナリティ障害には、スキゾイドの孤独を好む傾向に加えて、現実感覚の欠如・希薄化が見られることが特徴的な症状になります。下記9項目のうち5つ以上に当てはまると、スキゾタイパルパーソナリティ障害の疑いが強まります。人口の約0.6~2%ほどが該当するそうです。

 

①関係念慮

 ⇒偶然の出来事に特別な意味を見いだそうとする執着的な思考のことです。

②行動に影響し、下記の文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考

 ⇒迷信深さ、テレパシー的思考(誰々の考えていることが伝わってくる等)、第六感を信じることなどです。カルト的な儀式を行ったりすることもあります。危険な過激思想に染まることもあり、そのような患者は社会的にも危険な存在になります。

③普通でない知覚体験、身体的錯覚。

 ⇒例えば、ないものがあるかのように感じたりすること等です。

④奇異な考え方と話し方

 ⇒あいまいで抽象的な説明や話、まわりくどい・意味もなく詳細な話、細部に異常にこだわる等独特の話し方をする傾向があります。

⑤猜疑心の強さ、または妄想観念。

 ⇒疑り深く被害妄想などにも発展しやすい。

⑥不適切な、または限定された感情。

⑦奇異な、奇妙な、または特異な行動または外見。

⑧第1度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。

⑨過度な社会的不安があり、なかなか軽減しない。また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴う傾向。

 

スキゾタイパルは別名統合失調型とも呼ばれます。上記の診断基準を見ても明らかなように、統合失調症に非常に近いですが、そこまでの人格変容は見られません。またアスペルガーとの鑑別が難しい場合もありますが、アスペルガーが客観的で観察的な思考への執着が強いのに対して、スキゾタイパルは主観的・妄想的・超越的・非論理的な世界観を持ち、現実世界からの乖離が特徴的です

 

 

【スキゾタイパルパーソナリティ障害の特徴】

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上記のようにスキゾイドとしての側面=孤独を愛する傾向」に「非現実的・非合理的思考や思想を持つ傾向」を加えたものがスキゾタイパルです。

よって彼らは孤立しがちで、現実的な課題に対して対処能力が低い傾向があります。けっして知能が低いわけではないのですが、外界にほとんど興味を示さず(重要でないとすら思っている)、内界にハマる傾向があります。また、その独特の思考様式のため、周囲の人とコミュニケーションがとりづらく、奇異で奇妙な人と思われてしまう傾向があります。

一方で、彼らの思考様式は独特で独自性が高いため、文学者や詩人などのフィクションを扱う分野の仕事では能力を発揮する可能性があります。スキゾタイパルと思われる日本の偉人としては夏目漱石がそうであるとの指摘もあります(参考文献*2)。

 

 

【スキゾタイパルパーソナリティ障害の克服】

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①カウンセリング

カウンセリングなども効果があると言われます。ただ注意点なのですが、スキゾタイパルの人は内界を安全地帯としている傾向があります。そのため、よくある精神分析療法の手法である「心の内面を吐露させる」などの手法は、症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です(参考文献*3)。これは安全地帯を侵されたことによる影響なのかもしれません。

②服薬治療

非定型抗精神病薬や中程度のマイナートランキライザーベンゾジアゼピンなどに代表される精神安定剤)が用いられることもあります。

③現実世界・合理思考をおろそかにしない

スキゾタイパルの人たちは内面にこもる性質があり、現実世界をあまり重要視しない傾向があるため、現実的な課題処理が苦手な傾向があります。もっともこれは彼らの能力の低さに起因するのではなく、内面にこもる性格に由来します。意識的に外の世界、現実思考・合理性に着目していけば、スキゾタイパルの欠点を補っていけることでしょう。

④現実適応能力の高い友人を作る

スキゾタイパルの欠点を人脈で補うという戦略です。スキゾタイパルの人はスキゾイド同様に、対人不安やコミュニケーション能力の低さなどはありません(スキゾタイパルはややコミュニケーションに独自な部分はありますが)。よって、人と関わろうと思えば出来ないわけではありません。まずは少数でも良いので、気の合う、現実的適応能力の高い友人を作りましょう。そのような友人がスキゾタイパルの弱点である現実適応能力の低さを補ってくれるでしょう。

 

 

【スキゾタイパルパーソナリティ障害への接し方】

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①本人のペースを尊重する。

彼らはマイペースです。また独特の世界観を持ちます。よって、あまりずかずかと距離を縮めようとすると避けられたり・激高される可能性があります。彼らのペースを尊重し、彼らの世界を壊さないように接しましょう。

②ユニークさを認める。

彼らのもつ独特の世界観を精査したり、議論のやり玉にあげて論難しようとしてはいけません。そんなことをやってしまえば彼らはさらに頑になってしまいます。彼らの独自な世界観から得られるユニークな発想に注目してあげましょう。

 

 

【まとめ】

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①スキゾタイパルの特徴は、孤独を好み、独特で現実とは乖離した世界観をもつことである。

 

②スキゾタイパルは妄想や魔術的思想が強いため、場合によっては危険思想や過激思想に染まってしまうこともある。このようなスキゾタイパルは危険な人物ともなりうるため、注意が必要である。

 

③現実世界にとらわれない独自な考え方を持つため、フィクションなどを扱う仕事には向いているかもしれない。

 

④スキゾタイパルの克服には、カウンセリング・服薬治療・現実世界にも目を配る習慣・現実適応能力の高い友人を作るなどの道がある。

 

⑤スキゾタイパルの人たちと接する注意点は、彼らのマイペースさを尊重してあげること、独自な点に注目してあげることなどである。

 

 

以上いかがだったでしょうか?

スキゾタイパルパーソナリティは、パーソナリティ障害の中でもかなり独特な思考様式をもつ人格です。危険な思想を持っていない限りは問題ないので、彼らのユニークさを活かす方向で対人関係を調整していければ、彼らの能力を発揮させることができるでしょう。

 

それではまた次の記事で!!

 

<参考文献>

*1:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

*2:岡田尊司 著、『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』(株式会社PHP研究所

*3:牛島定信 著、『パーソナリティ障害とは何か』(株式会社講談社

 

 

<過去記事>

 

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【HSP】過度に心が敏感な人たちが苦しむ理由とその対処法とは?

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【概要】

今回の記事は「HSPの人が苦しむ理由とその対処法」についてです。

HSPとはHighly Sensitive Personの略です。「感受性の高い人たち」という訳にでもなるのでしょう。

今回はHSPに該当する人の特徴と、よくある悩みとその対処法をご紹介したいと思います。

 

 

 

目次

HSPの概要

HSPに対する誤解

HSPの人が遭遇しやすい悩みと対処法

 

 

 

HSPの概要】

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HSP(Highly Sensitive Person)とは、心理学者のアーロン博士が1997年に提唱した概念です。人口の約10%ほどが当てはまるとのことです。HSPの主な特徴には、下記の通りです。その頭文字をとって「DOES」という略称がついています。

 

Depth of processing(深い感情理解・処理能力)

通常の人に比べ、感情や感覚などの非言語的情報の処理がきわめて緻密で詳細に処理される傾向があります。

Over-stimulation(感情・感覚の刺激を受けやすい)

通常の人に比べ、感情や感覚、その場の雰囲気に非常に敏感です。このようにHSPの人は感受性も高すぎるため、通常の人にとっては何でもない状況でも、心身ともに疲れて、無気力になったり不機嫌になったり体調不良になったりしてしまいます。

Emotional responsiveness & Empathy(高い共感能力)

共感が強いといわれています。

Sensitive to subtle stimuli(細かな変化や物事に敏感)

環境や雰囲気のわずかな変化にも非常に敏感で、よく気づきます。

 

 

HSPに対する誤解】

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HSPは精神医学上は「存在しない」

注意事項ですが、HSPという概念はまだ歴史が浅いため、あくまで心理学上の概念に過ぎないという点に注意してください。現段階では、DSMやICD(パーソナリティ障害や精神疾患の診断基準について詳細にまとめられているマニュアル。広く世界に認められている。)などの精神医学上の診断マニュアル的にはHSPは存在していませんつまりHSPの医学的診断方法はないのです。つまりHSPは心理学的には存在して、精神医学上は不明で、学術論文は一応あるので科学的根拠がないとまでは言い切れないという曖昧な概念であるとご理解ください。

HSPかどうかは、あくまで上記の心理学者が提唱しているDOESに当てはまるかどうかで決まっています。よってネット上のすべてのHSP診断には、心理学的な根拠はあるものもあるかもしれませんが、現段階では医学的根拠はありませんよってHSPは疾患や障害ではなく、ある特定の心理特性を持った人とご理解ください

 

HSPは特殊能力者でも特別な才能でもなんでもない

HSPの共感能力(人の感情や気持ちを汲み取る能力)が高く持ち上げられる傾向にあるようですが、重症なサイコパスや重い脳疾患の患者さんを除けば、共感能力自体は誰にでも備わったものです。動物実験レベルではミラーニューロンやフェロモンなどを介して、感情やストレスが伝染するという研究結果もあります。精神分析学ではさまざまな感情の「投影」や「同一視」、「転移」などの現象も確認されています。ちなみに共感能力は後天的な訓練で向上させることができます(*1)

だれでも持っている共感能力が高めの人がHSPです。よって仮にあなたがHSPだったとしても別に化物でも怪物でも人外でも特殊能力者でもなんでもありませんのでご安心ください

 

HSPという概念は、発達障害・不安障害などの別の障害との混乱を招きかねない

HSC(Highly Sensitive Child)というHSPの子供バージョンも提唱されているようです。人一倍感受性が高いため、感情の起伏が激しかったり、孤立しやすかったり、音や光に敏感だったり、一人遊びが好きで想像性と富んでいたり...などの特徴があるようです。ただこの記述のみだとパーソナリティ障害や発達障害の方が近いと思われます(客観的な症状は自閉症スペクトラムや不安障害などの症状とかなり一致しています。主観的には自閉症スペクトラムは他者への共感性は高くはないと思われますのでそこが大きな違いではありますね)

HSPという概念が、今後医学的に定義され、きちんとした研究が進めば良いのですが、現段階で(つまりHSPの医学的根拠がない段階で)自分はHSPだとか自分の子供はHSCだとか自己判断してしまえば、重大な発達障害や不安障害を見逃し治療・ケアが遅れる危険性すらあります。HSPは、はやりの用語なので自分や周りの人を当てはめてしまう傾向があるのは分かりますが、安易な自己診断は意味がないばかりか危険しか招きませんのでご注意下さい。

 

 

HSPの人が遭遇しやすい悩みと対処法】

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①感情・感覚処理が深すぎて、言語が追いつかない。

つまり自分の感じたこと、経験したことをうまく表現できないのです。対処法としては、普通の人以上に語彙力・表現方法をみがいていくことが挙げられます。

②共感能力が高すぎて、人や周りの空気の影響を受けやすい。

HSPは高い共感能力と感受性を持つため、状況が変わるごとに心が振り回されてしまい、疲れやすいのです。対処法としては、何か集中できるものを常に持っておくことです。職場であれば仕事に集中するので済みますが、移動中の電車の中ではたとえば読書やゲームなど夢中になれることを行うことです。これによって周りの環境から目をそらせることができ、周りからの影響を抑えることができます。

③共感能力が高すぎて、感情の自己制御・他者との関わり方に障害が出る。

過去記事でEQ(心の知能指数)の紹介をしました。EQは下記の4つの能力で定義されています。


・自己感情の理解

・自己感情のコントロール

・他者感情の理解

・他者との関わり方のコントロール


この4つの能力がバランスよく高いことと社会的成功には相関関係があることが報告されています(*1)HSPの人は簡単に言うと、「自己感情の理解」・「他者感情の理解能力」は高い一方で「自己コントロール」・「他者との関わり方の能力」が低いから、周囲からの感情に流されたり影響されやすかったりする一面もある思われます。そのケースではEQをバランスよく向上させることが解決策となるでしょう。

 

 

【まとめ】

HSP(Highly Sensitive Person)はあくまで心理学上提唱されている概念であって、精神医学的な診断名としては現段階では存在しない。

 

HSPの特徴はDOESの4つの頭文字で表される。すなわち「深い感情理解・処理能力」「感覚・感情に過剰に敏感である」「共感能力が高い」「細かな物事に敏感」。

 

HSPと言う概念は精神医学の臨床現場に混乱を招きかねない。自己や周りの人をHSPだと安易に判断するのは誤りを招き、時には自閉症や不安障害などの重大な疾患を見逃し、治療・ケアのチャンスを失わせてしまう。「おかしいな」と感じたらまずは医学的根拠のある疾患を疑うこと。HSPだろうと勝手な自己判断をして放っておかず医療機関を受診すること。

 

HSPの人は色々な悩みを抱えることがあるが、その原因として、EQの定義する4つの能力に偏りが生じていることが考えられる。つまり共感能力ばかり高くても、それを上手く表現したり、避けたり、周りを対処できなければ意味がない。共感によって得た自己理解・他者理解を上手く活かすには「自己コントロール能力」「他者との関わり方の能力」もバランスよく向上させることが重要。

 

 

 

以上です。

EQを向上させる方法は参考図書*1に詳細が書かれています。EQテストもオンライン上で行えるパスコードがついていて便利です。

良著ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

参考までに私のEQテストの結果を下記に添付しておきます。各4つの能力を100点満点で採点してくれます。

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それではまた次回の記事で!

 

 

<参考文献>

*1:トラヴィスブラッドベリー、ジーン・グリーブス著,  EQ 2.0 EMOTIONAL INTELLIGENCE 2.0 「心の知能指数」を高める66のテクニック,  株式会社サンガ

 

 

<過去記事>

 

 

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【パワハラ・いじめ】加害者の手口と対処法

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今回の記事はパワハラ・いじめについてです。

パワハラ・いじめの問題は職場や学校、ママ友のなかなど色々なところで問題になります。

今回は加害者側の手口と対処法をまとめました。

 

 

目次

・なぜ彼らは「加害者」となってしまうのか?

・狙われやすい人

・加害者側の手口と対処法

・まとめ

 

 

【なぜ彼らは「加害者」となってしまうのか?】

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人格障害が原因のケース

加害者側の心理には、以前過去記事でお知らせしたダークトライアド・ダークテトラッドといった、サイコパスマキャベリズム・ナルシシズムサディズムの他に、潜在的攻撃性パーソナリティや受動攻撃性パーソナリティなどのいわゆる人格障害がある場合があります。それぞれで対処法が異なるのですが、今回はあえて記載しません。理由は、目の前のパワハラ上司が果たしてサイコパスなのか、潜在的攻撃性パーソナリティなのかという正確な鑑別が我々素人には困難だからです。なんとなく「コイツヤバイな」くらいなら私たちでも分かりますが、鑑別までは専門家でも難しいようです。受動攻撃性パーソナリティと見なして対策をしてみたら実はサイコパスだったというようになれば、被害は逆に拡大する可能性すらあります。加害者側の心理プロファイルを安易に行って、対策を練るのは危険です。

 

②集団心理が原因のケース

人格障害以外にも、パワハラ・いじめの原因は考えられます。同調圧力や群集心理です。人は集団をなすと、個人個人の責任感や道徳観が低下することが明らかになっています(*1)個人レベルではいじめを行ってはダメであることが分かっているにも関わらず、集団になるとやってしまうのです。その結果、集団によるいじめやパワハラエスカレートします。さらにその集団に権威的な者がいて主導している場合、これはミルグラムの実験(過去記事参照)でも明らかになっているように90%の人が「ダメだと分かっていてもその行為を行ってしまう」のです。その「権威的な者」が前述のサイコパスなどであったら大変なことになります。

 

またサンクションやシャーデンフロイデという感情が原因の場合があります。

サンクションとは「ルールに違反した者に対して制裁を行う」という、もともと誰にでも備わった感情・行動です。たとえば「みんな一緒」というルールが強すぎる組織や学校では、個性的で独自な能力・抜きん出た成績や優れた容姿を持つだけで、周りから「みんな一緒というルールを破った」と見なされ、いじめやパワハラが行われることもあります。サンクションは正義の名の下に悪人を叩く、世の中にとって必要な感情でもあるのですが、その組織が採用しているルールによっては、歪んだ正義のもと善良でなんの罪もない人たちが叩かれるという恐ろしいことがおこります

またシャーデンフロイデとは「他人の不幸を見て快感を覚える感情」のことです(*2)。この感情も多くの人に備わった感情のようです。著名人が薬物を行っていたという記事や報道が連日のように行われることがありますよね。本来、記事・報道として取り上げるべき問題は「なぜ薬物乱用がなくならないのか・拡大するのか・今後どう対処するべきか」であるはずなのに、なぜか著名人の場合は個人の問題であるかのように取り上げられます。そしてその著名人の現在やその後を報道しつづけます。なぜそのようなことが起こるのかと言えば、当然数字(視聴率や週刊誌の売り上げ)が伸びるからなのですが、なぜ数字が伸びるのかと言えば、著名人のようなスポットライトを浴びていた人が失墜していくのに過剰なまでの関心を持つ人が多いからです。シャーデンフロイデと言う感情により、人の不幸を喜ぶ傾向が生まれることもいじめやパワハラの一因なのかもしれません。

 

この他にも原因は色々とあります。よくありがちなのがコミュ障の人の攻撃です。彼らは自分の気持ちや考えを上手に説明できずフラストレーションがたまり、その結果攻撃をする場合があります。この場合、彼らは決して異常人格ではないので、ゆっくりじっくり対話をすることで解決できることがあります。

 

 

【狙われやすい人】

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何の罪もなく狙われやすい人は以下の通りです(毎日遅刻してくる人とか、人の悪口を言う人とか、ネガティブ発言ばかりする人とか、明らかに嫌がらせされて当然の人は除外してあります)。

・反撃しない人

・ナメられている人

・友達が少ない人、孤立している(マイノリティ側の人)

・地位・経験の低い人

・ナイーブな人

・優しい人や過度に良心的な人

・個性的な人

・何らかの意味で弱い人

・依存性の強い人

誤解のないように言っておきますが、攻撃される側が悪いわけではありません。悪いのは攻撃側、つまり加害者です。

 

 

【加害者側の手口】

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いじめやパワハラを行う加害者側の手口はさまざまです。

SNSで悪口を書き込む、集団で無視をする、根も葉もない噂を流す、怒鳴る、暴力を振るう、否定する、あなたが近づくと急にみんなが無口になる...等々本当にさまざまですが、いわゆるそのような「攻撃行動」は3つのタイプに分けられます。能動的攻撃・受動的攻撃・その他です。

 

①能動的攻撃

暴力を振るう、暴言を吐く、怒鳴る、脅迫する、SNSで悪口を書き込むなどの、客観的に見て分かる攻撃行為を能動的攻撃と言います。これに対する対処法は簡単で「証拠を握っておくこと」です。能動的攻撃の大半は違法行為です。法的措置をとる前提で準備を進めて、相手と対峙しましょう。一人で不安な場合は弁護士に同席してもらいましょう。この手のあからさまな違法行為が横行している場合、自然に相手が直ることはありません。断固とした措置をとるという姿勢を見せましょう

 

②受動的攻撃

SNSで悪口を書くのだがだれのことかは一見わからないように書く、専門知識を利用して「そんなことも分からないの?」と言ったそぶりや言動を行う、悪い噂を立てて孤立化させる、「あなたのため」「みんなのため」という一見美辞麗句を使って攻撃する・操作してくる、小さなことまで事細かに否定する、罪悪感を抱かせるようなそぶり・言動、言葉の置き換えによる操作(実際はあなたを奴隷のように使っているのに、それを「献身」「みんなのため」という美しい言葉を使い、自分の本性を隠す)...等々挙げたらキリがありません。この受動的攻撃はなかなかやっかいで、証拠が残らないのですが、じわじわあなたの精神を蝕んでいく攻撃です。

 

まずはあなたが「ここまでは許す、これ以上は許さない」という態度・姿勢を伝えることです。この防波堤がなければ、攻撃性人格者は延々と攻撃してきます。あなたを攻撃するのはハードルが高いこと、利益がないこと、場合によっては激しい反撃することをさりげなく周知させておくだけでも効果があります。受動攻撃者は能動的攻撃者と違い、意外と気弱です。少しでもあなたが手強いと感じるだけで攻撃をためらいます


次に、受動的攻撃への対処法に関しては、以下の5原則で対応できないか考えましょう。

・距離をとる(関わらない)

・逃げる

・相手を治そうとしない

・一人で立ち向かわない

・直接戦わない

つまりスルーするということです。これで対処できるのであればこれでOKです。

特にサディズムタイプの攻撃者は相手が反応すると喜びますので、攻撃がエスカレートします。こういうタイプにはスルーが効果てきめんです。またシャーデンフロイデが原因の攻撃行為の場合も、あなたがスルーすれば、彼らはあなたの不幸な様を見れないので次第に攻撃意欲がなくなります。スルーすることは受動的攻撃に関しては比較的広範囲に使える安全で簡単な方法ですので、まず上記5原則で対応できないか考えてみてください。

注意してほしいことは、「相手を直そうとしないこと」。残念ながら世の中には一定数の割合で、何をしても分かり合えない人たちがいるという現実を受け止めましょう。

 

上記5原則を実行しても対処できない場合は、以下の対応策をとりましょう。

②−1:相手の心理を読んで対処する。

 相手の狙いと攻撃動機・手口・心理状態をよく考えましょう。能動的攻撃ではなく受動的攻撃を採用している理由は、面と向かってあなたと戦いたくないこと、自分の悪事が露見するのを恐れていることなどが考えられます。つまり彼らは悪事を行いながらも不安なのです。この場合は、彼らが何をやったかを明るみに出しましょう。あるいはわざと大騒ぎにしてみるのも良いかもしれません。「あの人こんなことを言って来たんだけどどう思う?」と周りに聞きまくっても良いかもしれません。相手は小さな領域でこそこそ戦うつもりだったのでしょうが、大騒ぎになってしまい混乱するでしょう。

②−2:マジョリティ側に属する

 集団単位で考えた場合、いじめやパワハラをされる側は何らかの意味でマイノリティ側あるいは弱者側であることが多いです(逆にマイノリティなのにマジョリティを攻撃しているタイプの加害者に対しては一致団結して反撃すれば終わりなので楽です)。マイノリティ側に属さないように注意してポジションをとりましょう。

②−3:表面化・具体化させる。

 前述の通り、能動的攻撃ではなく受動的攻撃を採用している時点で、彼らは面と向かってあなたと戦うのは怖いこと、自分の悪事が露見するのを恐れていることなどが考えられます。彼らの受動的攻撃をエスカレートさせて能動的攻撃に持っていくのも一つの作戦です。そうすれば証拠をつかんであとは当局に任せれば良いのです。また前述のとおりわざと大騒ぎして、隠れた悪事を表面化・具体化させてしまいましょう。「みんなのためと思って頑張ってくれ」と毎日サービス残業を押し付けてくる上司には、「その『みんな』に私は入っているのですか?」「じゃあみんな上の人もサービス残業するんですか?」「みんなのために今日は早く帰ってゆっくりやすんで明日頑張りましょう!」とか言うのもありです。そうそう容易く操れる相手ではないということを相手も感じ取り、以後気安くあなたを操作しようとしてこなくなるでしょう

②−4:更なる一般化

 受動的攻撃の弱点の一つに「誰を攻撃しているかが不明確」という点があります。本当は彼らはあなたを攻撃したいのですが、攻撃しているとは思われたくないので、カテゴリーを攻撃してくると言う手段を使う場合があります。

たとえばあなたが20代の女性だったとします。最近めでたく結婚しました。しかしあなたの上司は面白くないようです。そこで「女は子供が出来るといなくなるからな」という嫌みを言って来たとします。つまり「結婚した女」というカテゴリーを攻撃することで、あなたを間接的に攻撃しているのです。前述のとおり彼らはあなたを攻撃してもおおごとにはしたくないのです。それを逆に利用しましょう。「そういえばxx部のxxさんも、ooちゃんも最近ご結婚されたのですよね!」みたいなことを言ってやりましょう。彼らは受動攻撃という卑怯な攻撃手段でしかあなたを攻撃できない激弱メンタルです。他の部のxxさんやooちゃんまで敵に回す度胸はありません。自分の一言が多くを敵に回すかもしれないことに気付き攻撃意欲を削ぐことが出来るでしょう。

 

受動性攻撃は色々な方法で巧みにその攻撃意図が「隠蔽」されています。上記のように「みんなのため」とか「あなたのためを思って」とか「正義・良心・道徳・理想」など美辞麗句を用いてあなたのガードを剥がしていきます。

受動性攻撃に関しては、あなたが事実として実害を被った・嫌な気持ちになった・傷付けられたのか否かを認識してください。あなたが実害を被ったなら、相手が「あなたのためを思って」などと美辞麗句を言っていようがいまいが関係ありませんし、ましてやご自分を責める必要もありません。攻撃されているのはあなたです。上述の5原則を守って、適切に対応しましょう。

ただし即反撃に出るのはおすすめしません。今回は省略しましたが、相手が危険な人格である場合もあります。特に一人では立ち向かわないようにしてください。必ず味方を作って複数で対処することを忘れずに!

 

 

【まとめ】

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①攻撃が起こる原因は、ある特定の人物の人格障害に原因がある場合と、集団心理が悪い方向に働く場合とがある。

 

②攻撃のターゲットにされやすい人にはある特徴がある。

 

③攻撃者の手口には、能動的攻撃と受動的攻撃がある。能動的攻撃には証拠を押さえ当局に早急に相談したり、弁護士を伴い改善を要求するなど毅然とした対応を行う。受動的攻撃はスルーが一番良い。

 

④受動的攻撃者は自分の攻撃が表沙汰になるのことを不安に思っているケースが多い。よってスルーで対処しきれない場合は、毅然とした態度・反撃の用意があることを示すこと(その際一人ではなく複数の味方とともに伝える)により、解決することも考えられる。

 

 

以上です。

今回はパワハラ・いじめの表面的な内容のまとめになりました。

各論はまた後日まとめる予定です。

それではまた次回の記事で!

 

 

 

<参考文献>

*1:ゆうきゆう監修、『「なるほど!」とわかる マンガはじめての心理学』、西東社

*2:中野信子 著、『シャーデンフロイデ 他人を引きづり下ろす快感』、幻冬舎

 

 

<過去記事>

 

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【お互いに不幸に陥らないために】依存性パーソナリティ障害とは?

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【背景】

今回は「依存性パーソナリティ障害」についてのお話です。

依存性パーソナリティ障害とは読んで字の如く「依存」が主体となった思考回路を持つ人たちです。つまり主体的に自分自身で決めたりすることが苦手な人たちです。だれしも依存心というものはありますが、その依存心が極端になった人たちのことを依存性パーソナリティ障害とよびます。

何に依存するのか、依存がどの程度なのかによって、彼らの人生の幸福度は大きく変わります。また依存心もスペクトラムで、程度の強弱があります。

自分が依存性パーソナリティ障害の傾向があるか?あるいは依存性パーソナリティ障害の人とどう接していけば良いかの参考になればと思います。

 

 

目次

・依存性パーソナリティ障害の特徴

・依存性パーソナリティ障害の人が陥りがちな失敗

・依存性パーソナリティを克服するポイント

・依存性パーソナリティ障害の人とのつき合い方

・まとめ

 

 

【依存性パーソナリティ障害の特徴】

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基本的な特徴は、周囲の人への依存が強く、主体性を放棄している点です。周囲の人がいないと不安になったり行動できなくなったり、ほんの些細なことでも周囲の人に意見や決断を求めます。その結果、「意見がコロコロ変わる人」「自分の意見を言わない人」「周囲に操られやすい」「周囲に振り回されやすい」などのレッテルを貼られ、周囲からの評価を下げる結果にもなってしまいます。

 

依存性パーソナリティ障害は以下の診断基準に則って行われます。

①他者からの有り余る助言を貰わないと物事を決定できない。

②責任を負うのに他者を必要とする。

③支持・承認に依存するため、他者の意見・言動に反対を表明することが困難である。

④自分自身の考えで計画したり、物事を開始したりすることが困難である。

⑤周りの支持や愛情を受けるため、不快なことでも進んで行ってしまう。

⑥自分の面倒を見ることが出来ないという誇張された不安のため、一人になると不安や無力感を感じる。

⑦一つの親密な関係が終わった時、それに代わる自分を世話し支持してくれる関係を必死に求める。

⑧自分が一人になってしまい、自分一人で自分の面倒を見るという恐怖に異常にまでとらわれる。

 

彼ら依存性パーソナリティは決して能力が低いわけではないのですが、「主体性の欠如と、一人でいることの無力感・不安感」という観念にとらわれています。そのような不安や無力感を埋め合わせるために、上記のように周囲に過剰に依存すると言う行動をとる傾向があります。

周囲を頼ること自体は悪いことではないのですが、その依存心が過剰なため、時に冷静な判断を失い、悪い搾取的な人物に従属してしまうこともあります。その場合、彼ら依存性パーソナリティの人生は人に操作される悲惨なものになってしまいます

基本的に依存性が強いこと・主体性がないことはみなさんの人生にとってプラスになる面はあまりありません。上記のリストに該当する項目がある人は、自分の性格を分析してみることをおすすめします。

 

 

 

【依存性パーソナリティ障害の人が陥りがちな失敗】

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①意見がコロコロ変わる人と見なされる。

彼らは自分で決定することが不安なため、周囲の人の意見に流されがちです。その結果、主義主張がコロコロ変わってしまいます(この傾向は、特に相手が権威のある人や集団の意見である場合顕著です)。その結果、「言ってることがすぐ変わる」「一貫性がない」「自分の意見を持ってない」「事態を把握できていないのではないか?」などさまざまなレッテルを貼られてしまう恐れがあります。

多くの人の意見を聞くこと自体は悪いことではないので、それらを自分でまとめて一つの結論を出す能力や、何度か合議・確認を丁寧に行う計画性を持てば、自分の不安も解消され意見が二転三転することも防げるでしょう。

 

②主体性がない人と見なされてしまう。

彼らは依存傾向が強いです。

たとえば新しい職場に彼らが配属されたとしましょう。新しい仕事を覚える必要があります。よって誰かに教えてもらうか、自分で学ぶかする必要があります。仮に誰かに教えてもらうことになったとしましょう。普通の人なら誰かに学んで「この仕事はこのように行えば良いんだ」というプロセスの部分を学びますが、依存性パーソナリティの人は「分からないことがあればこの人に聞けば良いんだ」と依存先を学んでしまう傾向があるのです。依存先に指名されてしまった人は以降延々と彼らに依存されてしまいます。そのような人間関係はお互いを疲弊させてしまうだけです。

また依存性パーソナリティの人は、主体的に動くこと・判断することが苦手なため、分からないことを自ら聞くと言う行動すらしない場合があります。分からない自分に誰かが気付いてくれるまで全く動かない重傷の人もいます。

 

③悪いものにハマりやすい。

依存性パーソナリティの人は、「自分にとって良いか悪いか・損か得か」よりも「依存心をとりあえず満足させて不安を早急になくす行動」に走りやすいです。その結果、悪い人たちとつき合い始めたり、変な宗教にハマったり、詐欺被害にあったりすることがあります。また、他人への依存心が強いため、自分にとって不快なことでも容認してしまう傾向があります。暴力的な異性と付き合って、DV被害に遭っているのに関係を断ち切れなかったりします。基本的に彼ら依存性パーソナリティの人はハマってしまうと抜け出せない「ノーと言えない人」なのです。

 

 

【依存性パーソナリティを克服するポイント】

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他のパーソナリティとは違い、依存性パーソナリティ障害自体に大きな長所はありません。よって依存性パーソナリティを克服せずして人生を好転させることはかなり難しいでしょう(よっぽど運良く面倒見のよい人と巡り会う等があれば良いのですが、それは完全な運任せの人生戦略になってしまいます)。

主体性を向上させるポイントは三つあります。一つ目は自分の得意なor平均的な能力を見つけ自信をつけること、二つ目は失敗を過度に恐れる必要はないことを知ること、三つ目は自分の損得勘定に敏感になることです。

まずはどんな分野でもいいので、自分の能力が平均並みにある分野を探しましょう。方法はなんでも良いです。日常の小さなことを自分の判断で決めていく。なんらかのアウトプットをしてみて周囲の反応を見る(ツイッターでもブログでもなんでもいいです)。なんらかの色々なテスト(IQテストでも良いですし、資格の勉強・テストでも良いです)を受け、周りと自分の能力の差を客観的に判断することもいいでしょう。まず自分が平均よりも劣っていないことを確認しましょう。このような小さなことを重ねてまずは自信を付けることです。言い換えれば依存性パーソナリティ障害特有の不安を軽減させることです。不安が減れば主体性の欠如も改善していきます

もう一つの失敗を恐れないという姿勢も重要です。誰でも失敗はします。過去の偉人たちでも失敗はするのです。ピカソは1800もの絵画を描きましたが、後世に残って讃えられているのは数十作品くらいです。ベートーベンも650曲も作曲しましたが、後世まで語り継がれている作成はわずかです。過去の偉人たちでさえわずかな栄光を手にするために数えきれない失敗を重ねてきました(参考図書2)失敗はして当たり前。反省し、謝罪し、克服すればいいくらいの気持ちを持ちましょう

最後は損得勘定を大事にする姿勢を身につけることです。依存性パーソナリティの人たちは、自分なりの損得勘定や意見がないため、すぐに周りの意見に流されたり、悪いものにハマってもなかなか抜け出せないのです。自分にとっての幸せの形とはなんなのか?理性でも直観でも感情で考えても構いませんので、まず自分の幸せとは何かを鮮明に描きましょう自分の幸せを鮮明に描ければ自然と自分の意見や損得勘定が生まれます。その結果、自分で主体的に考える習慣も身につけられますし、嫌なものは嫌だと感じられますし、依存心や不安をとりあえず満足させるような衝動的な行動・判断は減るでしょう。

 

 

【依存性パーソナリティ障害の人とのつき合い方】

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これは本人の重傷度合いにもよりますが、基本的には放置しておくと周りの負担が尋常ではないため、自立を促す必要があります

ポイントとしては二つあります。

一つ目は、彼らが求める全てを与えないようにしましょう。何かしら問題や悩み事を持ちかけてくることがあるとは思いますが、それについてヒントや考え方を提示するにとどめて、あとは自分で考え・決断し・行動するように促しましょう。全てを与えてしまうと、彼らの依存先に指定されてしまいます。それは彼らにとってもあなたにとっても不幸な結果となります。

二つ目は、前述の通りですが、失敗してもいいんだという雰囲気作りが大切です。

 

 

【まとめ】

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①依存性パーソナリティ障害の人の特徴は、主体性の欠如・過度な依存心である。

 

②主体性がなく依存心が高いため、意見が変わりやすく、そのせいで周りからの評価が低下する恐れがある。

 

③依存性パーソナリティ傾向を克服するポイントは、自分の中の平均以上の能力を見つけること、失敗を過度に恐れないこと、自分なりの損得勘定・自分の幸せの定義を身につけることである。

 

④依存性パーソナリティ障害の人とのつき合い方は自立心を育むことである。ヒントは与えてもできるだけ自分で判断させるようにすること、そして失敗してもよいという環境が彼らの自立を促す。

 

 

以上です。

依存性パーソナリティ障害は、当人も周りも疲弊させてしまう傾向があります。

当人による改善と周りの人の対処の双方が重要です。

参考にしていただければ幸いです!

 

 

<参考図書>

*1:岡田尊司 著、『パーソナリティ障害』、株式会社PHP研究所

*2:アダム・グラント著、『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」が出来る時代』、三笠書房

 

 

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あなたの周りにも必ずいる!『隠れて人を攻撃する人たち』【受動攻撃性パーソナリティ】

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今日はみなさんをじわじわ追いつめる攻撃性パーソナリティをご紹介します。

サイコパスやソシオパス、ナルシシズムなどのダークテトラッド・ダークトライアドに遭遇する確率は決して高くはないですし、そこまで危険度も高くはないですが、受動攻撃性パーソナリティーはめんどくささだけはピカイチです笑。今回ご紹介する攻撃型人格の持ち主はみなさんの周りにもかなりの確率で存在しています。

お気をつけ下さい。

 

 

【二つの「隠れた」攻撃性パーソナリティ】

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人間の攻撃特性には能動的攻撃受動的攻撃があります。能動的攻撃とはあからさまな無視・暴言・脅迫・暴力・権力の乱用などの、誰が見ても攻撃と分かる攻撃行動です。

一方で受動的攻撃(つまり隠れた攻撃行動)とは、あからさまな攻撃行動には出ず、表面化・露見化しにくい方法でみなさんを攻撃する「回りくどい攻撃行動」です。このような受動的攻撃を主に使うパーソナリティ障害には2タイプあります。一つは以前ご紹介しました潜在的攻撃性パーソナリティ障害(covered aggression:カバードアグレッション)です。もう一つは受動攻撃性パーソナリティ障害(passive aggression : パッシブアグレッション。別名、拒絶性パーソナリティ障害)と呼ばれるものです。

 

 

【具体的に受動性攻撃行動とは?】

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潜在的攻撃性パーソナリティ(カバードアグレッション)については以前ご紹介しました過去記事をご参照ください。彼らの手口と対策をまとめてあります。

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今回ご紹介する受動性攻撃とは何なのでしょうか?以下にまとめます。多少、潜在的攻撃性パーソナリティとも重複する部分はありますが、ご了承ください。基本的に彼らはみなさんを直接非難したり批判することはありません。ただし、さまざまな方法で妨害活動をやってきます。

 

①わざと無能・無知・混乱を装う。

⇒例えばあなたが上司・同僚だったとします。「〜やっていてください」と頼み事をしたとしましょう。普通の人なら、きちんとこなしてくれたり、あるいは出来なかったとしても謝罪してくれたり、出来なかった理由をきちんと説明してくれたりするはずです。ですが、受動攻撃性パーソナリティの人は、(できるのにもかかわらず)わざと雑に行ったり、わざと忘れてたふりをしたり(選択的不注意といいます)、わざと期限に間に合わないように故意に遅らせたり、あるいはやり方がよく分からなかったからとウソをついたりします。こうして彼らは無知や無能を装って、あなたの頼み事や頼んだ仕事をダメにすることで、あなたにいやがらせをして喜んでいるのです。

 

②被害者を演じる。

⇒前述のとおり、彼らは直接的にみなさんを批判したりしません。代わりによく被害者を演じます。あなたのちょっとした言動の揚げ足を取りオーバーリアクションし、被害者ヅラして大騒ぎします。なぜ彼らはこのようなことをするのでしょう?答えは簡単で、あなたの罪悪感や恥・良心の呵責をかき立て操ろうとしているのです。最悪、事実無根なのに加害者にされてしまうこともあります。また被害者のふりをすることで、彼らは自分に攻撃が及ぶのを避ける傾向もあります。

 

③拒絶を行う。

⇒彼らはあなたと面と向かって戦う気はありません。彼らにそんな勇気はないのです。ただあなたの頼み事だけを選択的に拒絶します。その拒絶の方法も回りくどい方法で、時間はあるのに「時間があったらやります」と言う返答をしたり、暇なのに「今ちょっと忙しいので」といって、これもまた回りくどく拒否をします。たとえばあなたが上司で彼らに用事があり電話をかけたとします。しかし彼らは電話に出れるのに出ないことがあります。あとで理由を問いただすと「ちょっと席を外していたもので...」というウソをつきます。彼らはあなたにあからさまな攻撃はせず、「拒絶」という手法であなたに嫌がらせをするのです

 

ほかにもさまざまな攻撃方法がありますが、上記3つが受動性攻撃の顕著な特徴です。

 

 

【受動攻撃性パーソナリティ障害の彼らは、なぜこのようなことをするのか?】

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彼らはあなたに対して何らかの要望・不満があるのだけれど、それを伝えるだけのコミュニケーション能力やプレゼン能力・度胸を有しません。よって「攻撃」という手段であなたにアピールしたり、望みを叶えてくれないあなたを攻撃して自分を慰めているのです。かなり根暗な人たちです。

 

ただし注意してほしい点があります。彼らは暴力や暴言などのあからさまな攻撃は確かにしてきません。用いてくるのは回りくどい妨害活動のみです。だからといって、彼らのあなたへの敵意が弱いわけではありません。攻撃方法は確かに回りくどいですが、他の攻撃性パーソナリティと同等の攻撃衝動をもってあなたを見ています。

 

 

【彼らの特徴は?】

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実は彼らを一見して見分けるのは容易ではありません。しかしながら、しばらくつき合ってみると比較的短期間に判別することができます

 

①一見して大人しく目立たない

⇒彼らはあまり目立ちません。自己主張を正面切って行う度量はないのです。それを論理的に伝える能力も多くの場合持ちません。自発的なコミュニケーションの頻度も高くはありません。ただ能力や実績を上回る欲求をもつ傾向があります。また自分よりも厚遇されている人、能力のある人、地位のある人を異常に羨む・嫉妬することがあります

 

②受動攻撃が失敗に終わると、不平不満を異常に漏らす

⇒これもたいていは隠れた行為になりがちなので、一見してわかりません。ただ受動攻撃が奏功しないと分かると、少しずつ彼らの行動はエスカレートしていきます。まず不平不満の言動が増大します。それら以外はだいたい無口になります。この時点で、こいつなんとなくおかしいな、と気付くはずです。

 

③自暴自棄な行動に出る。

⇒職場であれば、彼らは「小さなルールを破る」というしょうもない反撃に出ます。ちょっとだけ遅刻してきたり、仕事のスピードを少し遅くしたり、電話がなっているのに電話をとるのを遅くしたり(とらないと批判されるので、それを恐れてとらないことはないのです)、あからさまにため息をついたり、挨拶をしなくなったり、毎日マスクをしてきて病気を装ったりするような、何度も言いますが「回りくどい主張・攻撃」に出ます。この段階になると彼らはかなり情緒不安定になっていますので、近寄らないのが懸命です。

 

 

【対処法】

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①毅然として現実を突きつける。

⇒彼らのように野望を持つこと自体は悪いことではありません。彼らが問題なのは、野望に見合った努力をしないこと、野望を叶えるために人を攻撃することです。彼らの野望を叶えるためには、「〜な基準・要件を満たす必要がある」ということをはっきり伝えましょう。

 

②「隠れた攻撃行動」をきちんと取り上げる。

⇒彼らは正面切って攻撃を仕掛ける勇気はありませんし、なにより自分の攻撃が表沙汰になるのを恐れます。彼らがいままで何をやってきたのかを明確に伝え、反省・改善を促すことです。これを行うことにより、「卑怯な振る舞いで望みが果たされることがない」というメッセージが正確に伝わります

 

 

【まとめ】

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①攻撃行動には、能動的攻撃と受動的攻撃がある。

 

②受動的攻撃を使う攻撃性パーソナリティには、潜在的攻撃性パーソナリティ(カバードアグレッション)と受動攻撃性パーソナリティの二つのタイプがある。

 

潜在的攻撃性パーソナリティ(カバードアグレッション)への対処法は困難だが、受動攻撃性パーソナリティには、「現実を突きつける」「隠れた悪事を明らかにする」が効果的である。

 

 

以上になります。

判断として難しいのは、彼らが単に仕事が遅いだけなのか、受動攻撃を行っているのかの部分です。前者の場合は悪気はないですので、出来る限りケアをしてあげましょう。受動攻撃人格の裏には、特定の人への嫌悪や不満、あるいは組織への不満という心理があります。特定の人に対して受動攻撃が見られたり、組織に対しては反抗的なのに、趣味などはとてもよくこなしているなどの場合は受動攻撃人格の場合もあるので、きちんと対処していきましょう。受動攻撃人格はある程度は更生可能です。

 

このような、野望は高いが努力はせず、人の足ばかり引っ張ったり、目立てば望みが叶うという人はいます。

ただ深刻なパーソナリティではありませんので、職場の雰囲気を良くするためにも、このような人たちを上手く更生していければいいですね!もともと彼らは野望の高い人なので、能力・努力が伴えば伸びるはずです。

それではまた次の記事で!

 

 

 

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