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ストーカーの心理プロファイリング

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今回は身近な異常人格シリーズ、「ストーカー」のプロファイリングについてです。

プロファイリングとは、統計学的解析に基づいた分類です。

 

ストーカーは身近な犯罪の一つです。ストーカーのタイプ・人格、その対応策・危険度の予測をする上でもプロファイリングは役にたつと思います。

 

今回はストーカーのタイプを、ストーカーの人格、ストーカー行為のタイプ、危険度のタイプ別に論じていこうと思います。

 

 

目次

ストーカーのプロファイリング

 ・人格による分類

 ・行動による分類

ストーカーの危険度予測

ストーカーへの対応策

 

 

 

【ストーカーのプロファイリング】

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◎人格による分類

人格による分類としては以下の5タイプが知られています。ちなみにストーカーによる暴力行為の頻度は、そのストーカーが精神疾患を持つかどうかにはあまり相関しませんが、人格障害があるかどうかには相関があるという報告が多いです。

①統合失調型

 統合失調型は統合失調症をもとにしたストーカータイプです。統合失調症とは幻覚や妄想といった症状があり、本人自身もその幻覚や妄想が、どこまで病気が原因ででどこまでが自主的な思考なのか判別はつきません。

 このタイプの人物は日常的な幻覚や妄想を抱えているので、ストーカー行為以外の日常生活でも問題を抱えていることが少なくありません。そういう意味では、比較的特定しやすいストーカーのタイプでしょう。

 あとで述べますが、精神疾患とストーカーの暴力行為にはそれほど強い相関性はありませんので、ストーカーの中でも特に危険であるということはないようです。

②自己愛性パーソナリティ型

 いわゆるナルシシズムのストーカーです。以前の記事でもお伝えしましたね。ナルシシズムとは簡単にいうと「自分本位の考え方しかできないタイプの人格」です。周りの人間は自分を讃えて当然という肥大した自我と、自分を理解してくれない周りの人への強い不満と不安を抱えていますので、精神的にも不安定です。

 このタイプのストーカーは相手に執着します。さらに精神的にも不安定なため、とっさに攻撃的な行動を起こすこともあり得ます

③反社会性パーソナリティ型

 衝動性が強く、規範を守らず、他者への共感能力も低いタイプです。衝動性が強いため、精神的に不安定なように見られることも多いですが、彼らの怒りや泣きまねは全てあなたを操るための計算された演技です。あなたを個人というよりは道具と捉えています。そういう意味では、彼らはあなたに執着する傾向は小さいと言えるでしょう。遠くに逃げてしまえばあなたに執着がない以上追ってこない可能性もあります。そのような労を払うよりは、次の手近なターゲットを探すという行動傾向があります。そこがナルシシズムタイプとは違う部分です。

 衝動性が強いため、とっさに攻撃的な行動に出ることもある危険なタイプではありますので注意してください。

④境界性パーソナリティ型

 いわゆるボーダーラインという人々です。彼らは一言で言うと「見捨てられ不安」をと言うものを常に抱えています。そのため見捨てられるのを恐れて過剰に相手に尽くしたり、過剰に自己の意見を抑圧したりしています。一見すると、やや精神的に弱いだけのような人に見えます。ただ、いざ見捨てられるかもしれないという不安に駆られると、行動様式は一変します。他者や自己に対する攻撃的な行動に出ることもあります

⑤妄想性パーソナリティ型

 ①の統合失調型と同じように、強い妄想を持つ人格です。といっても統合失調症精神疾患ですが、こちらは人格障害です。強い妄想を持つため、あなたが行った何気ない動作が、「自分に好意を持ってくれている」と勝手に解釈されてしまいます

 

◎行動による分類

ここではもっとも有名なミューレンによる分類をご紹介します。拒絶型・憎悪型・親密希求型・無資格型の4タイプです。

①拒絶型

 元恋人・元妻などを対象にするケースが多く、きっかけは別れを切り出されることです。このタイプは自尊心が高いため、捨てられたことに対して強い怒りを露わにします。また過剰依存タイプも見受けられ、別れを切り出してもはぐらかしたりする傾向も見受けられます。

 ストーカー行為は執拗で、電話・メール・尾行などを行います。

②憎悪型

 もともと不満が強いわりにそれを抑圧する性質のある人たちです。よって周りの友人や職場の人間関係が上手くいっていないこともあります。

 彼らは急に不満を爆発させます。たとえば些細なことを注意した(勤務態度が悪い、少しケンカになった、意見の相違があった、肩がぶつかった等)だけで、ターゲットに強い憎悪を抱き、ストーキング行動をはじめます。職場の上司やほとんど関係ない人がターゲットにされる場合もあります。よってストーキングされている人はなぜ自分が選ばれたのか、誰がストーカーなのか全く気づかないこともあります。

③親密希求型

 原因は恋愛感情です。よってストーキング行為は待ち伏せや贈り物などになります。この手のタイプの特徴は、被害者が拒否を示してもしつこくつきまとうことです。前述の妄想型に近いものがあります。ミューレンによると、ストーカー全体の1/3がこれに該当するということです。芸能人やアイドルが標的になることもあります。

④無資格型

 原因は恋愛感情です。行動は前述の親密希求型と類似しています。非常に自己中心的な考えを持ち、相手の意志表示などをはくらかすか無視します。

 

 

 

【ストーカーの危険度予測】

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ミューレンによる4分類によると、実際に被害者への直接的暴力に出る確率はかなり高く1/3という調査結果が出ています。

下記の表をご覧ください。各分類ごとの被害者への攻撃手段とその確率が示されています(参考図書*1より引用)。

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被害者への直接攻撃としては、拒絶型が最も多く、ついで憎悪型となっています。拒絶型と憎悪型はもっとも危険なタイプのストーカーと言えるでしょう。ただし、憎悪型に関しては前述の通り匿名状態でストーキングを行うケースがあるため、ひとたび正体がばれてしまうと一気に攻撃性がます恐れもあります

 

また下記の表もご覧ください。ストーカーの属性(年齢や人格障害の有無など)と暴力行動の確率を示しています(参考図書*1より引用)。

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これを見ると、年齢が若いほど・学歴が低いほど・知能が低いほど暴力行為に出る可能性が高いことが分かります。また脅迫歴がある・ストーカーとなんらかの人間関係がある・物質乱用歴がある場合も暴力行動の確率は高いようです。

 

 

 

【ストーカーへの対応策】

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二つのことを行うべきです。

一つは関連当局に相談すること、もう一つは出来れば証拠を握っておくことです。

ストーカーの被害に合われた方が心配するのは、本当に警察が動いてくれるかどうかだと思います。この点は関連当局(法律事務所、警察などなど)に相談実績があれば、警察が動いてくれる確率は格段にあがります。まずは関連当局に相談することを考えましょう。

また、ストーカーの約30%は実際に暴力行為におよびます。決して一人で対抗しないようにしましょう

 

 

【参考図書】

*1:越智啓太著、『犯罪心理学ープロファイリングで犯人に迫る』、株式会社 化学同人

 

 

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