【科学的根拠あり】成績もあがり、筋肉を落とさず脂肪だけ落として痩せられる身近な「アレ」の効果!
【概要】
みなさんはコロナ自粛で太ってしまったり、メンタルが病んだりしていませんか?
私はメンタルは快調ですが、太りました笑。
心身ともに健康に暮らす秘訣は「運動・食事・睡眠」であることは、医学的にも証明されています。
今回はそのうちの一つ「睡眠」のすごいパワーについて科学的根拠を交えながら解説していきたいと思います。
結論から言うと、睡眠を最適化することで、痩せる・記憶力が良くなる・成績や勉強の効果が発揮されやすくなる・運動神経が良くなる・楽器が上手くなる・免疫力が向上し感染症に強くなる・メンタルが安定してイライラしたりうつになったりしなくなる...等々さまざまな効果があります。
少し長い文章になるかとは思いますが、お付き合いくだされば幸いです!
【目次】
①大事なことは「睡眠の深さ」と「睡眠の長さ」
②睡眠を最適化することで受けられるメリット
・記憶力が良くなる
・運動神経・演奏技術が上がる
・メンタルが安定し、イライラやうつがなくなる
・無理なく痩せられる
③睡眠が上手くとれないことによるデメリット
・毎日6時間の睡眠を2週間続けると、脳は酩酊状態のパフォーマンス
・睡眠時間が短いと糖尿病になる
・睡眠不足状態でダイエットをすると筋肉から痩せていく
・睡眠不足はうつ病の発症リスクを劇的に上げる
【各論】
①大事なことは「睡眠の深さ」と「睡眠の長さ」
人はなぜ夜になると眠くなるのでしょうか?
理由は二つあります。一つは体内時計でそう決まっているから。もう一つはアデノシンの脳内蓄積です。
私たちの脳内には体内時計と呼ばれる仕組みがあります。このおかげで朝起きる時間や寝る時間が決まっているのです。
みなさんは経験はありませんか?夜更かししてしまったのに、翌日はいつも通り目が覚めたことが。これはみなさんの体内時計が「いつ起きていつ寝る」ということを決めているからなのです。
時差ボケも体内時計で説明できます。
例えば日本から海外へ旅行したとしましょう。時差は12時間です。当然渡航先で夜になってもなかなか寝付けませんよね?それは、体内時計が日本時間になっているからなのです。現地で夜12時でも、体内時計は日本に合ってしまっているので、昼の12時の状態です。だから眠くならないのです。
この体内時計による起床・覚醒のタイミングにはメラトニンというホルモンが深く関わっていると言われています。体内時計が朝のときはメラトニンが少なく、夜になると増えて、その結果眠くなるのです。海外旅行先で眠くならない人にメラトニンのサプリメントがすすめられるのはこういう理由があるのです。
また私たちが起床してから、私たちの脳内にはある物質が溜まっていきます。それは「アデノシン」と呼ばれる物質です。このアデノシンが溜まっていくと、私たちは眠くなります。一方でカフェインを摂ったり、長過ぎる昼寝をすると、このアデノシンは機能しなくなります。カフェインを寝る前に摂ったり、昼寝し過ぎたりして、夜眠れなくなるのは脳内のアデノシンが機能しなくなるからなのです。
つまり、「深い睡眠」を夜とりたいならば、カフェインは昼2時以降はとらない(カフェインが体内から半分なくなるまでにかかる時間は5〜8時間と言われています)、長過ぎる昼寝はとらないことが重要です(昼寝をとることは健康や集中力の維持によいことですが、長すぎると逆効果であることが分かっています)。
また「睡眠の長さ」についてですが、睡眠の研究論文を参考にすると、最適な睡眠時間は7時間半〜8時間半のようです。睡眠時間6時間は短すぎて、後に述べるさまざまな健康被害が発生するリスクを上昇させます。
②睡眠を最適化することで受けられるメリット
・記憶力が良くなる
健康な若い被験者を二つのグループに分けた研究です。
片方のグループには昼寝をとってもらい、もう片方のグループは昼寝をとりません。その二つのグループに、100人の人の顔と名前を憶えてもらうという作業を行ってもらいました。その後、片方のグループには90分の昼寝をしてもらい、もう片方のグループには頭の使わない作業(ボードゲームで遊ぶとか、インターネットをするとか)をしてもらいました。
その後、さきほど憶えてもらった内容をテストしてみたところ、昼寝をしたグループは、しなかったグループに比べて20%も成績が良かったのです。
このように睡眠をとった方が記憶の定着率が高いとか、テスト勉強の効率が上がったとする文献報告は非常に多いです。
無理に一夜漬けなどは、知識の定着にとっては効率の悪い方法なのですね。実際に徹夜をして勉強すると成績が40%も落ちるという研究結果もあります。
ちなみに何故、眠った方が知識の定着が良くなるかについても分かっています。これは短期的な脳の記憶装置である海馬に定着した記憶が、睡眠を取ることで、長期記憶を司る大脳皮質に移行されるからだそうです。
実は睡眠時、脳内ではさまざまな活動がなされています。MRI解析の結果、覚醒時に比べてレム睡眠時の脳の活動量は30%も多く、レム睡眠時にさまざまな記憶の整理などがなされているのではないかと言われています。
・運動神経・演奏技術が上がる
研究者は、午前中に被験者たちにある特定の数列を憶えてもらって、それをキーボードに打ち込む練習を行わせたあと、被験者たちを二つのグループに分けました。片方は睡眠を8時間をとったあとでテストするグループ、もう片方は睡眠をとらずテストするグループです。
午後6時にテストを行ったところ、睡眠をとったグループは、キーボードを打ち込むスピードが20%、正確性は35%上昇しました。
同様の結果が、NBAやNFLなどのアスリートたちでも見られており、睡眠を充分とった選手はフリースローの命中率が9%上がった、1分あたりのポイント数は30%上がった、睡眠時間が8時間の選手の故障率は10%だったが睡眠時間6時間の選手は70%だった、などが報告されています。
またピアノの演奏の練習でも、練習中どうしても弾けなかったのに、一晩寝てからもう一度取り組んでみると苦もなく引けるようになった、などの報告もあります。
・メンタルが安定し、イライラやうつがなくなる
被験者たちを二つのグループに分けました。片方はずっと起きているグループ、もう一つは睡眠をしっかりとったグループ。
その被験者たちに写真を見せます。ただの流木などのニュートラルなものから、燃える家などのネガティブな写真までさまざまです。
その結果、睡眠をとっていないグループは、脳の扁桃体の活動が60%も増加していたのです。扁桃体とは、不安・緊張・恐怖・怒りなどの感情を司る脳の部位です。
つまり、睡眠不足によりイライラしやすくなり、メンタルが不安定になったのです。
睡眠不足な人にはあまり近づかないほうがいいかもしれませんね笑。
・無理なく痩せられる
こちらも睡眠をしっかりとったグループとそうでないグループを比較した研究です。
彼らには自由に食事をしてもらいました。
その結果、睡眠を充分とらなかったグループは、平均して一日あたり330キロカロリーも余分にカロリー摂取していたことが分かりました。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
実は睡眠不足になると、食欲を抑制するホルモンが減り、食欲を増進させるホルモンが増えてしまうのです。その結果、睡眠不足のグループでは食欲が抑えきれなくなり、食べる量が増えてしまったと考えられます。
③睡眠が上手くとれないことによるデメリット
・毎日6時間の睡眠を2週間続けると、脳は酩酊状態のパフォーマンス
睡眠時間を毎日6時間に制限したグループと、8時間のグループの被験者たちに簡単なゲームを行ってもらいました。モニター上に点が出力されるので、その点にカーソルを合わせるというものです。その結果、睡眠時間の短いグループは成績の低下が認められ、その低下の程度は酩酊状態の人と同程度のものだったそうです。
よくトラックの事故が起こった場合、ドライバーさんの労働環境が報道されますが、睡眠時間が減ると人の判断能力は上記のように激減してしまうのです。ある研究結果によれば、睡眠時間が5時間をきると、中央分離帯に接触してしまうような危険運転の起こる確率が500%も上昇するという報告もあります。
どのような職場環境でもそうですが、残業ばかり従業員に命じるのではなく、従業員には充分な睡眠時間を与えた方がかえって生産性があがりミスも事故も減ると思うのですがいかがでしょうか?
・睡眠不足で糖尿病になる
完全に健康体だった被験者に、6日間だけ睡眠時間を4時間にしてもらったというなかなか過酷な実験結果があります。この結果、健康体であったはずの被験者のグルコース吸収率は40%も低下し、血糖値が上がってしまったのです。これはどのくらい深刻なことなのかというと、内科医が即糖尿病と診断し治療を始める程度だそうです。
その後の研究で、睡眠不足になると細胞がインスリンに反応しなくなりグルコースを細胞内に取り込めなくなりその結果血糖値が上昇すること、インスリンの分泌自体が減ってしまうことが明らかになりました。
・睡眠不足状態でダイエットをすると筋肉から痩せていく
肥満な男女を2週間入院させて行った研究です。食事量は厳格に調整されています。被験者は二つのグループに分けられ、片方は5時間しか眠らないグループ、もう片方は8時間半眠ったグループです。
その結果、食事制限のかいあって、どちらのグループも体重は減少したのですが、睡眠時間の短いグループの体重減少のうち70%は筋肉でした。一方で睡眠をしっかり摂ったグループの落ちた体重のうち50%以上が脂肪だったのです。
ダイエットをするなら睡眠時間と睡眠の質にもしっかり配慮したほうが良さそうですね!
・睡眠不足はうつ病の発症リスクを劇的に上げる
これは過去の記事に載せてあります。参考にしてくださいね。
以上になります。
寝ることは個人的には大好きなので、色々と勉強しています。
折に触れて睡眠の話をしていきたいともいますので、続編にもご期待ください!
それでは今日はこの辺で!
【参考文献】
①マシュー・ウォーカー著、『睡眠こそ最強の解決策である』、SBクリエイティブ株式会社
②ベネディクト・キャリー著、『脳が認める勉強法ー「学習の科学が明かす驚きの事実!」』、ダイヤモンド社
【過去記事】