ゆうちゃんの家

メンサ・科学者・自閉症スペクトラム。心理学・薬学・医学・アイディア発想・エッセイ等(@UCHAM0410)

【自分を盛る人たち】演技性パーソナリティ障害とは?

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【概要】

今回は演技性パーソナリティ障害の紹介です。

 

たまにテレビとかでも見かけますよね。

経歴を詐称したり、論文データをねつ造したり、謝罪会見なのに被害者ヅラしていつのまにか自己PRの場にしたりする人たち...。

 

あるいは身の回りにも、ちょっとズレたオシャレをしたり、自分を盛るために嘘を重ねて注目されたがったり、周りにちやほやされたがる人たち...。

 

そういった人たちは演技性パーソナリティ障害かもしれませんね。

 

 

【診断】

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価値観や生きる意味は人それぞれです。自己の研鑽が目的の人、自然現象の探求が目的の人、億万長者を目指す人、幸せな家庭を求める人...。人の数だけ価値観があっていいと思います。

演技性パーソナリティの人たちの価値観・目的は「他者に注目されること」です。注目されることのみが彼らにとってのステータスです。彼らは「他者に注目される」ためになりふり構わない手段に出ます。その手段とは、嘘・演技・性的な挑発・誇張などさまざまです。このような手段をとってしまう結果、人間関係や、社会に被害を与える場合があります。特に影響力のある人の嘘やマスメディアをも欺く嘘・誇張が与える社会的損害は甚大になる場合もあるでしょう。

 

演技性パーソナリティかどうかは以下の診断基準に則って判断されます。

 

①自分が注目の的になっていない状況は楽しいと感じない。

⇒彼らは自分が舞台の中心・主役になっていないと不満・不安を感じます。その結果、騒動を起こしたり、人間関係をかき回すような行動に出たり、虚言を用いたりします。

②他者との交流は、時によって性的に誘惑的な、あるいは挑発的な行動が見られるという特徴がある。

⇒やたら露出の高い服を職場に着てくるとかの特徴が見られます。また異性に対しては、特定の人に対して執着するというよりも、多くの異性に注目されることを好む傾向があります。ちなみに特定のパートナーとは長続きすることは少ないため、結婚には向かないでしょう。結婚して特定の異性へ尽くすという感情は欠落しており、常により多くの異性の注目を浴びていなくてはならないという強迫的とも言える思考を持つためです。

③浅薄ですばやく変化する感情。

⇒これも他者の注目を引くための行動です。

④注目を引こうと、奇妙で派手な外見をする。

⇒その場・立場には明らかにそぐわないような言動・振る舞い・服装を好みます。

⑤印象的ではあるが、中身の乏しい会話をする。

⇒「これからとても大事な話をするけど...」「これ、みんなには内緒なんだけど...」と切り出しておいて、内容が実にくだらない内容であったり、誰でも分かっていることだったりします。会話の中身自体が作り話の可能性すらあります。

⑥演劇的な表現を行う。

⑦被暗示性が高く、環境や流行に影響を受けやすい。

⑧一般基準から考えて非常に馴れ馴れしく、ただの知人を親友と言ったり、一度あっただけの人を友達と考えたりする。

 

他者の注目をモチベーションにしているという点のみ取り上げれば、とくに悪い人格ではありません。状況によっては彼らは大きく成長するでしょう。そもそも今の世の中、誰もが目立ちたい、ユニークでありたいと思って当たり前ですので、どこまでが障害でどこまでが通常かの判断はなかなか難しいでしょう。

例えば芸能人などのテレビ・メディアへの露出の高い人たちは目立ってナンボの世界です。そういう人たちが演技性パーソナリティ傾向であれば、それは強い武器となるでしょう。

問題は前述の通り、なりふり構わない手段をとって目立とうとする点です。嘘・経歴詐称・人間関係をかき回す・他人の悪口や過激な思想を話すなどのさまざまな、普通の人は思いもつかないような手段で彼らは注目されることを追い求めます。その手段によっては社会的制裁を受けることもあるでしょう。芸能界ではプロフィールをごまかしたりするのは当たり前のようですが、政界で学歴詐称などしたら大問題になりますね。

 

 

【彼らの問題点】

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前述のとおり、嘘・過度に目立つ外見(場にそぐわない厚化粧や実際の収入にそぐわない車や家・服を持つ等)・人間関係を操作し目立とうとする・口達者などのさまざまな手段をとります。彼らは確かに目立ってはいますが、実際よくよく観察してみると中身がないことが多いです。特に嘘や対人関係を操作しようとする手法が問題です。その結果、周囲の人と摩擦を起こし、人間関係を悪化させることもあります。

もう一つ問題なのが、彼らの「嘘」「演技」にだまされてしまう人が一定数いることです。彼らが嘘や演技を放つたびに、それを信じる人と信じない人の対立軸が出来てしまい、それがもとで人間関係がギクシャクしてしまうことも問題ですね。

 

 

【類似のパーソナリティ障害との比較】

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単純に嘘や対人操作などの特徴だけに着目すれば、反社会性・自己愛性・境界性パーソナリティ障害などでも見られます。違いは何なのでしょうか?

 

①反社会性パーソナリティとの違い

反社会性パーソナリティは、「目的志向型」つまり何らかの目的があって嘘や対人操作を行います。例えば昇進したい、昇級したい、権力を握りたい、お金をだまし取る、ライバルを蹴落とすなどの目的が先にあって、そのための手段として嘘や対人操作を用います。単に目立ちたい人たちが演技性パーソナリティです。ちなみに反社会性パーソナリティにはあって、演技性パーソナリティにはない特徴は、共感能力(相手の感情や気持ちを汲み取る能力)の欠落、極端な冷淡性などです。演技性パーソナリティに見られるような感情の起伏の激しさなどはほとんどありません。

 

②自己愛性パーソナリティとの違い

このナルシシズムと演技性パーソナリティは非常に似ていて一見同じに見えます。違う点は、ナルシシズムは他者への共感能力が低く、また、「自分はすでに演じるまでもなく全能である」と思っている点です。演技性パーソナリティの人はなんとなく「現実の自己」と「理想の自己」との間のギャップを理解していて、その差を埋め合わせるために目立とうとするのです。またナルシシズムは、「自分は全能なのだから特別扱いされて当然」という尊大で傲慢な態度が特徴的です。

 

③境界性パーソナリティとの違い

この二つも、対人操作性・感情の起伏が激しいこと・一見して社交的なことなどはとても良く似ています。自傷癖の有無で言えば、ボーダーラインの人の方が圧倒的に発生率は高いです。

 

 

【まとめ】

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①演技性パーソナリティとは、「他者から注目されることが自分の価値・ステータスの全て」と過度に考える人たちである。

 

②演技性パーソナリティの特徴は、嘘・対人操作・演技などさまざまである。彼らの嘘や演技・対人操作によりその周囲の人間関係がギクシャクしてしまう。

 

③演技性パーソナリティと、反社会性・自己愛性・境界性パーソナリティには似た部分がある。

 

 

以上です。

誰とは言いませんが、結構テレビなどのメディアで頻繁に見かけるのが演技性パーソナリティです。

人は誰しも自分を少しでも良く見せようと演技をするものであり、そのこと自体は問題にはなりませんが、その手段が逸脱してしまい社会や他者と摩擦を起こしてしまうことと問題です。

また彼らの「嘘」にだまされてしまう人が一定数います。

人を見る時は本質を見ることが重要です。本質を見抜くことが難しいときは、「相手が何をやってきて、何をやってこなかったか」を事実ベースで観察してみましょう。

素晴らしく着飾っていて、聞こえの良い台詞を吐き、素晴らしい経歴を持っていても、事実が伴わなっていなければ、もしかしたら演技なのかもしれませんよ...!

 

 

<参考図書>

*1:牛島定信著、『パーソナリティ障害とは何か』、株式会社講談社

*2:岡田尊司著、『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』、株式会社PHP研究所

*3:和田秀樹著、『自分を「平気で盛る」人の正体』、SBクリエイティブ株式会社

 

 

<過去記事>

 

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