ゆうちゃんの家

メンサ・科学者・自閉症スペクトラム。心理学・薬学・医学・アイディア発想・エッセイ等(@UCHAM0410)

【犯罪心理学】犯罪者の8つの兆候、セントラルエイトとは?

f:id:yuukoki:20190928174918j:plain

【概要】

今回は犯罪行為と相関関係の高いとされる8つの兆候「セントラルエイト」について解説したいとおもいます。

以前紹介しましたダークトライアドやダークテトラッド、つまりサイコパスマキャベリズム・ナルシシズムサディズム反社会性人格障害(ASPD)などの、いわゆる一部のパーソナリティ障害も犯罪と関係性は深いのですが、実際に犯罪行為を行うかどうかをパーソナリティだけで論じることは不可能です

実際、凶悪犯罪に関わるイメージの強いサイコパスですら、刑務所の15%程度に過ぎません(参考文献*1)。犯罪を行うかどうかはパーソナリティ以外にも要因があるのです

では、犯罪行為を行う人たちを生み出してしまう要因とは一体なんなのかをご紹介していきたいと思います。

 

 

目次

・犯罪の行動分析学的な仮説について

・犯罪と関連性の深い8つの因子とは?

・まとめ

 

 

【犯罪の行動分析学的な仮説について】

f:id:yuukoki:20190928174934j:plain

行動分析学にも色々とありますが、ここでは一番簡単なモデルである「SORモデル」をもとに説明したいと思います。このSOR理論はアメリカの心理学者、トールマンとハルによって提唱されたモデルです。SはStimulus(外的刺激)、OはOrganism(有機体。ここでは外的刺激に対する人間の認知・解釈システムのことです)、RはReaction(行動・反応)の略です。つまり、このSORモデルとは、「なんらかの外的刺激・ストレス要因が存在し、その刺激が個人の認知システムによって解釈され、その解釈をもとにその人がある特定の行動を起こす」というモデルです。

後述しますが、犯罪者とそうでない人たちを調査した研究では、上記のO、つまり認知システムになんらかの異常があるということが確認されています。

 

たとえば、あなたが街を歩いていたとしましょう。すれ違った素敵な異性と偶然目が合いました。ただ何事もなくお互いに素通りしていきました。よくある光景ですね。

上記の例だと、普通の人の場合は「ああ、素敵な人だったなあ」とか「素敵な人もいるもんだなあ」という解釈・認知をして素通りして終わりですよね?

ところが、普通でない人は「あの人は私に絶対気がある」「あいつ私を睨みつけていた」「イケメン美女でない私を蔑んだ目つきをしていた」...等々、確信に近い形で歪んだ解釈・認知したりすることがあるのです。その歪んだ解釈をもとに、たとえばあとを付け回してみたり、因縁を付けたり、急に殴り掛かってみたり...等の犯罪行為に及ぶのではないか、ということです。

つまり、普通の人と変人は同じ「素敵な人と目が合った」という体験をしているわけなんですが、変な人はその体験を歪んだ形で解釈・認知してしまい、その結果歪んだ解釈をもとに歪んだ行動をとってしまうことが犯罪行為の本質ではないかということです。

つまりSORの三要素のうち、O(認知・解釈システム)に異常があるということになります。

それでは具体的にどのような歪みがあるのでしょうか?

 

 

【犯罪と関連性の深い8つの因子とは?】

f:id:yuukoki:20190928174952j:plain

上記のSORモデルのうち「O」の部分、つまり認知解釈システムには、その人のパーソナリティや生育環境、後天的経験、先天的要因、人間関係...さまざまなものが含まれています。

その中で、カナダの心理学者アンドリュースとボンタが行ったメタアナリシス研究により、下記の8つの要因が犯罪行為と関連があることが明らかにされました。これを「セントラルエイト(Central eight)」と呼びます。特に①〜④は犯罪行為との相関性が高いため「ビッグフォー(Big four)」とも呼ばれます(参考文献*2)。

 

①過去の犯罪歴

⇒多種多様な犯罪歴がある。

②反社会的な交友関係

⇒反社会的傾向を有する交友関係がある(薬物使用者・窃盗集団・暴走族・破壊活動を行う過激な集団、不良グループ...等々)。

③反社会的認知

⇒犯罪行動を合理化する、犯罪行為を美化したり憧れたりする、ルールを守らない、敵意帰属バイアス(なんでもない他人の行動・言動を自分への敵対行動として解釈してしまう傾向)などを有すること。

④反社会的パーソナリティ

⇒過去記事参照。共感能力(相手の感情や気持ちを汲み取る能力)の欠落、自己中心的な思想、残忍で冷酷な考え方、自己の感情や行動を制御する能力(自己コントロール能力)の欠如、遅延価値割引効果(簡単に言うと、長期的な損得勘定よりも目先の利益に着目してしまう傾向のこと)。

⑤家庭内の問題

⇒家庭内不和、しつけが適切でない、虐待やネグレクトなど。

⑥教育・職業上の問題

⇒職場や学校での成績が不良であったり、対人関係に問題がある。無職である等。

⑦物質使用

⇒アルコールや処方薬、違法薬物への依存。

⑧余暇活用

⇒建設的な余暇活動(運動や趣味などでストレスを発散させることや、自分を研鑽する活動など)を有していない。

 

過去記事で色々な「めんどくさい人たち」を紹介してきましたが、上記は犯罪行動に結びつきかねない兆候です。もし周りにこのような人がいたら要注意です!

 

 

【まとめ】

f:id:yuukoki:20190928175011j:plain

①パーソナリティだけを見て、その人が犯罪行為を行うかどうかの正確な判断は出来ない。

 

②犯罪行為を行う人たちは「歪んだ認知・解釈」を行うという仮説がある。

 

③犯罪行為と相関性の高い兆候は8つあり、「セントラルエイト」と呼ばれる。

 

 

 

以上になります。

今回は実際に犯罪行為に走ってしまう人たちの特徴を簡単にまとめました。

上記に複数該当する人がいたらご注意くださいね!

それではまた次の記事で!

 

 

<参考文献>

*1:原田隆之 著、『サイコパスの真実』、筑摩書房

*2:原田隆之 著、『入門 犯罪心理学』、筑摩書房

 

 

<関連過去記事>

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

yuukoki.hatenablog.com

 

 

プライバシーポリシー