【社交的なのに傷つきやすい人たち】サイクロイドパーソナリティとは?
【概要】
今日はサイクロイドパーソナリティについてご紹介したいと思います。
このサイクロイドは以前はパーソナリティ傷害としてDSMに記載されていたのですが、除外されてしまいました。サイクロイドの症状としては躁鬱状態に似ているのでそちらの方にまとめられたのだと思います。
ただサイクロイドも、多くはないでしょうが日本人にも当てはまる部分があると思われるので今回ご紹介使用と思いました。
目次
・サイクロイドの特徴
・サイクロイドのタイプ
・まとめ
【サイクロイドの特徴】
クレッチマーによるとサイクロイドとは以下の3つの特性が挙げられています。
①社交的、善良、親切、温厚
②明朗、ユーモアがあり活発、怒りっぽい
③寡黙、平静、躁鬱、気弱
サイクロイドの人の特徴は「社交的で世話好き、人々に慕われ、態度は開放的で、周囲の人とすぐに打ち解ける」という特徴を持っています。一見するととても良い人のように聞こえますね。ただ、サイクロイドの人の上記の特徴の根幹には「強い同一性思考と幼稚な依存性」があるのです。
強い同一性とは「みんなと一緒だと幸せ」という思考回路です。彼らはまさにそれを求めて開放的に社交的に振る舞います。彼らはみんなと一緒の時間を過ごすのが大好きです。一方で、何らかの拍子に孤立すると、彼らのテンションは一気に下がります。
つまり、まずはじめに「同一性への渇望」「他者への依存」という欲求があり、その欲求を満たすための手段として「異常に高い社交性」を発揮している、という心理構造の人がサイクロイドパーソナリティです。
そのため彼らはスキゾイドとは違って孤独に耐えられる能力は低く、孤独・同一化の失敗・他者からの拒絶を受けると抑うつ状態になってしまうこともあります。以前ご紹介したスキゾイドとは真逆の心理構造の人たちがサイクロイドということになるのでしょう。
【サイクロイドのタイプ】
サイクロイドのタイプには色々ありますが、以下の二つが顕著です。
①類境界型サイクロイド
症状は過去記事で紹介しました境界型パーソナリティと似ています。
感情の波が激しく、自傷行為を行い、暴飲暴食や無謀運転などの自暴自棄な行動を行います。対人関係において、境界性パーソナリティの人との違いは「見捨てられたという不安や怒り」を相手にもつことがない点にあります。類境界型サイクロイドの人は「同一感の欠落による無力感」といった無力感(抑うつ状態)に苛まれます。
②依存型サイクロイド
現代のDSM上では、過去記事でも紹介した依存性パーソナリティと同じだと考えられています。
生育環境で、適度な依存体験が得られなかった場合、サイクロイドの本来もつ社交性が歪んで、依存をコアとした対人関係にすり替わってしまうと言われています。
【まとめ】
①かつてサイクロイドパーソナリティという項目がDSMには記載されていた。「社交的・善良で開放的」な性格の持ち主であるが、この一見良い性格は「強い同一性への渇望と幼稚な依存体質」の上に成り立っているものである。よって、同一性が何らかの原因で破綻したり、孤立したりすると、本来の社交性は失われ抑うつ的になる(躁鬱化、循環気質)。
②サイクロイドの人格コアは「強い同一性への渇望と幼稚な依存体質」である。生育環境によっては過度に同一性を求める「類境界型サイクロイド」や、過剰に依存する「依存型サイクロイド」に移行しうる。
以上いかがだったでしょうか?
サイクロイドは正常に生育すればやや感情の波は激しいですが、とても善良な人たちです。私の周りにも結構います。
ただサイクロイドの人たちの人格コアは非常に繊細でもろく、躁鬱状態を経験することもあります。
また過剰に正義感や規範意識が強いため、その枠から少しでもそれると激しく怒ることがあります。
基本的には善良で明るい人たちなので、適度な距離を保って仲良く接していきましょう!
それではまた次の記事で!
<参考文献>
*1:牛島定信 著、『パーソナリティ傷害とは何か』、株式会社講談社
<過去記事>