ゆうちゃんの家

メンサ・科学者・自閉症スペクトラム。心理学・薬学・医学・アイディア発想・エッセイ等(@UCHAM0410)

【お互いに不幸に陥らないために】依存性パーソナリティ障害とは?

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【背景】

今回は「依存性パーソナリティ障害」についてのお話です。

依存性パーソナリティ障害とは読んで字の如く「依存」が主体となった思考回路を持つ人たちです。つまり主体的に自分自身で決めたりすることが苦手な人たちです。だれしも依存心というものはありますが、その依存心が極端になった人たちのことを依存性パーソナリティ障害とよびます。

何に依存するのか、依存がどの程度なのかによって、彼らの人生の幸福度は大きく変わります。また依存心もスペクトラムで、程度の強弱があります。

自分が依存性パーソナリティ障害の傾向があるか?あるいは依存性パーソナリティ障害の人とどう接していけば良いかの参考になればと思います。

 

 

目次

・依存性パーソナリティ障害の特徴

・依存性パーソナリティ障害の人が陥りがちな失敗

・依存性パーソナリティを克服するポイント

・依存性パーソナリティ障害の人とのつき合い方

・まとめ

 

 

【依存性パーソナリティ障害の特徴】

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基本的な特徴は、周囲の人への依存が強く、主体性を放棄している点です。周囲の人がいないと不安になったり行動できなくなったり、ほんの些細なことでも周囲の人に意見や決断を求めます。その結果、「意見がコロコロ変わる人」「自分の意見を言わない人」「周囲に操られやすい」「周囲に振り回されやすい」などのレッテルを貼られ、周囲からの評価を下げる結果にもなってしまいます。

 

依存性パーソナリティ障害は以下の診断基準に則って行われます。

①他者からの有り余る助言を貰わないと物事を決定できない。

②責任を負うのに他者を必要とする。

③支持・承認に依存するため、他者の意見・言動に反対を表明することが困難である。

④自分自身の考えで計画したり、物事を開始したりすることが困難である。

⑤周りの支持や愛情を受けるため、不快なことでも進んで行ってしまう。

⑥自分の面倒を見ることが出来ないという誇張された不安のため、一人になると不安や無力感を感じる。

⑦一つの親密な関係が終わった時、それに代わる自分を世話し支持してくれる関係を必死に求める。

⑧自分が一人になってしまい、自分一人で自分の面倒を見るという恐怖に異常にまでとらわれる。

 

彼ら依存性パーソナリティは決して能力が低いわけではないのですが、「主体性の欠如と、一人でいることの無力感・不安感」という観念にとらわれています。そのような不安や無力感を埋め合わせるために、上記のように周囲に過剰に依存すると言う行動をとる傾向があります。

周囲を頼ること自体は悪いことではないのですが、その依存心が過剰なため、時に冷静な判断を失い、悪い搾取的な人物に従属してしまうこともあります。その場合、彼ら依存性パーソナリティの人生は人に操作される悲惨なものになってしまいます

基本的に依存性が強いこと・主体性がないことはみなさんの人生にとってプラスになる面はあまりありません。上記のリストに該当する項目がある人は、自分の性格を分析してみることをおすすめします。

 

 

 

【依存性パーソナリティ障害の人が陥りがちな失敗】

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①意見がコロコロ変わる人と見なされる。

彼らは自分で決定することが不安なため、周囲の人の意見に流されがちです。その結果、主義主張がコロコロ変わってしまいます(この傾向は、特に相手が権威のある人や集団の意見である場合顕著です)。その結果、「言ってることがすぐ変わる」「一貫性がない」「自分の意見を持ってない」「事態を把握できていないのではないか?」などさまざまなレッテルを貼られてしまう恐れがあります。

多くの人の意見を聞くこと自体は悪いことではないので、それらを自分でまとめて一つの結論を出す能力や、何度か合議・確認を丁寧に行う計画性を持てば、自分の不安も解消され意見が二転三転することも防げるでしょう。

 

②主体性がない人と見なされてしまう。

彼らは依存傾向が強いです。

たとえば新しい職場に彼らが配属されたとしましょう。新しい仕事を覚える必要があります。よって誰かに教えてもらうか、自分で学ぶかする必要があります。仮に誰かに教えてもらうことになったとしましょう。普通の人なら誰かに学んで「この仕事はこのように行えば良いんだ」というプロセスの部分を学びますが、依存性パーソナリティの人は「分からないことがあればこの人に聞けば良いんだ」と依存先を学んでしまう傾向があるのです。依存先に指名されてしまった人は以降延々と彼らに依存されてしまいます。そのような人間関係はお互いを疲弊させてしまうだけです。

また依存性パーソナリティの人は、主体的に動くこと・判断することが苦手なため、分からないことを自ら聞くと言う行動すらしない場合があります。分からない自分に誰かが気付いてくれるまで全く動かない重傷の人もいます。

 

③悪いものにハマりやすい。

依存性パーソナリティの人は、「自分にとって良いか悪いか・損か得か」よりも「依存心をとりあえず満足させて不安を早急になくす行動」に走りやすいです。その結果、悪い人たちとつき合い始めたり、変な宗教にハマったり、詐欺被害にあったりすることがあります。また、他人への依存心が強いため、自分にとって不快なことでも容認してしまう傾向があります。暴力的な異性と付き合って、DV被害に遭っているのに関係を断ち切れなかったりします。基本的に彼ら依存性パーソナリティの人はハマってしまうと抜け出せない「ノーと言えない人」なのです。

 

 

【依存性パーソナリティを克服するポイント】

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他のパーソナリティとは違い、依存性パーソナリティ障害自体に大きな長所はありません。よって依存性パーソナリティを克服せずして人生を好転させることはかなり難しいでしょう(よっぽど運良く面倒見のよい人と巡り会う等があれば良いのですが、それは完全な運任せの人生戦略になってしまいます)。

主体性を向上させるポイントは三つあります。一つ目は自分の得意なor平均的な能力を見つけ自信をつけること、二つ目は失敗を過度に恐れる必要はないことを知ること、三つ目は自分の損得勘定に敏感になることです。

まずはどんな分野でもいいので、自分の能力が平均並みにある分野を探しましょう。方法はなんでも良いです。日常の小さなことを自分の判断で決めていく。なんらかのアウトプットをしてみて周囲の反応を見る(ツイッターでもブログでもなんでもいいです)。なんらかの色々なテスト(IQテストでも良いですし、資格の勉強・テストでも良いです)を受け、周りと自分の能力の差を客観的に判断することもいいでしょう。まず自分が平均よりも劣っていないことを確認しましょう。このような小さなことを重ねてまずは自信を付けることです。言い換えれば依存性パーソナリティ障害特有の不安を軽減させることです。不安が減れば主体性の欠如も改善していきます

もう一つの失敗を恐れないという姿勢も重要です。誰でも失敗はします。過去の偉人たちでも失敗はするのです。ピカソは1800もの絵画を描きましたが、後世に残って讃えられているのは数十作品くらいです。ベートーベンも650曲も作曲しましたが、後世まで語り継がれている作成はわずかです。過去の偉人たちでさえわずかな栄光を手にするために数えきれない失敗を重ねてきました(参考図書2)失敗はして当たり前。反省し、謝罪し、克服すればいいくらいの気持ちを持ちましょう

最後は損得勘定を大事にする姿勢を身につけることです。依存性パーソナリティの人たちは、自分なりの損得勘定や意見がないため、すぐに周りの意見に流されたり、悪いものにハマってもなかなか抜け出せないのです。自分にとっての幸せの形とはなんなのか?理性でも直観でも感情で考えても構いませんので、まず自分の幸せとは何かを鮮明に描きましょう自分の幸せを鮮明に描ければ自然と自分の意見や損得勘定が生まれます。その結果、自分で主体的に考える習慣も身につけられますし、嫌なものは嫌だと感じられますし、依存心や不安をとりあえず満足させるような衝動的な行動・判断は減るでしょう。

 

 

【依存性パーソナリティ障害の人とのつき合い方】

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これは本人の重傷度合いにもよりますが、基本的には放置しておくと周りの負担が尋常ではないため、自立を促す必要があります

ポイントとしては二つあります。

一つ目は、彼らが求める全てを与えないようにしましょう。何かしら問題や悩み事を持ちかけてくることがあるとは思いますが、それについてヒントや考え方を提示するにとどめて、あとは自分で考え・決断し・行動するように促しましょう。全てを与えてしまうと、彼らの依存先に指定されてしまいます。それは彼らにとってもあなたにとっても不幸な結果となります。

二つ目は、前述の通りですが、失敗してもいいんだという雰囲気作りが大切です。

 

 

【まとめ】

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①依存性パーソナリティ障害の人の特徴は、主体性の欠如・過度な依存心である。

 

②主体性がなく依存心が高いため、意見が変わりやすく、そのせいで周りからの評価が低下する恐れがある。

 

③依存性パーソナリティ傾向を克服するポイントは、自分の中の平均以上の能力を見つけること、失敗を過度に恐れないこと、自分なりの損得勘定・自分の幸せの定義を身につけることである。

 

④依存性パーソナリティ障害の人とのつき合い方は自立心を育むことである。ヒントは与えてもできるだけ自分で判断させるようにすること、そして失敗してもよいという環境が彼らの自立を促す。

 

 

以上です。

依存性パーソナリティ障害は、当人も周りも疲弊させてしまう傾向があります。

当人による改善と周りの人の対処の双方が重要です。

参考にしていただければ幸いです!

 

 

<参考図書>

*1:岡田尊司 著、『パーソナリティ障害』、株式会社PHP研究所

*2:アダム・グラント著、『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」が出来る時代』、三笠書房

 

 

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