【ハロウィン】人は群れになるとなぜ非道徳的で無責任な行動をとるのか?
【概要】
ハロウィンですね。
昨年のハロウィンも色々と騒動がありました。
また各地でおこるいじめ問題もなかなか解決せず、集団によるいじめはエスカレートしてしまい、最悪の場合、傷害・殺人事件にまで発展するケースもあります。
なぜ集団をなすと危険な行為を行うのでしょうか?
人の道徳感覚や自制心が緩んでしまう要因とは何なのでしょうか?
【人の道徳感覚が低下する要因】
①傍観者効果
社会心理学者ビブ・ラネタとジョン・ダーリーの実験です。
一人の学生に、ニューヨークのストリートでけいれんを演じてもらい、その時の通行人の反応を調べました。
その結果、けいれんを演じた学生を助けようとした確率は、通行人が一人であったときは85%だったのに対し、通行人が5人以上いるときは30%まで低下してしまったのです。つまり人は集団になると一人一人の責任感・義務感が低下することが分かったのです。
②同調圧力
8名の被験者を集めます。実はこのうち7名はサクラです。
彼ら8人にさまざまなクイズ問題を出題しました。答えは選択式の問題で、クイズ自体も非常に簡単な内容でした。問題への回答方式はその場で口頭で答えていくと言うものです。しかしサクラはあえて、明らかに正解な問題に対しても不正解の方を選択しました。そして、残った一人の被験者が、どのくらいの確率でサクラに同調してしまうかを検討しました。
その結果、サクラが正しい答えを選択した場合、サクラでない被験者も堂々と正答を出せたのに対して、サクラが敢えて嘘の答えを回答するとサクラでない被験者も(答えは明らかな問題にも関わらず)それにつられてサクラと同じように不正解になる傾向が見られたそうです。
つまり、人は集団になると、正しい判断が出来るにも関わらず周りの多数派に同調して、誤った行動をしてしまうことが分かったのです。
③アルコール
日本の犯罪白書の統計情報によると、日本における傷害事件の約40%が酩酊時に起こっているとされています。アルコールは脳に作用し衝動制御機構を弱めるため、突発的な衝動的行動を誘発します。酔っぱらい集団は特に危険です。
④黄昏効果
人間の判断能力は、血糖値や休憩をどれだけとるかにもよりますが、基本的に午前中は判断能力は高く、夜になるに従って低下します。これを心理学の世界では黄昏効果と呼びます。つまり、夜は判断能力が低いため、上述のような同調圧力や傍観者効果が出やすくなってしまうのです。その結果、普段なら到底行わないような行動をとってしまう恐れもあります。
⑤匿名性
インターネットなどは匿名性があります。実はこの匿名性が人の攻撃性を高めることが分かっています。面と向かっては到底言えないようなひどい内容のメッセージも、SNSなどを通してであれば発信してしまう傾向があることが分かっています。
ハロウィンのような仮装をしていることもある意味匿名性につながるかもしれません。いつもと違った雰囲気・空気に呑まれ、かぶり物や衣装を付けていると、いつもとは違った行動をとってしまうかもしれませんね。
【まとめ】
①傍観者効果や同調効果により、人は単独でいる場合よりも集団でいる方が、正常な判断力を失いやすい傾向にある。
②傷害事件とアルコールはある程度関連性がある。
③人は夜になると判断能力が鈍くなる傾向がある。
④仮装やインターネットなどの匿名性は、人の攻撃性を高めてしまう可能性がある。
以上になります。
おそらくほとんどの人は単独ではゴミをポイ捨てしたり、町中で急に暴れだしたりはしないはずです。そういういつもはまともな人でさえも、集団になると責任感・判断力・道徳感覚が低下して、危険な行動や非道徳な行動に出る可能性が高まってしまうのです。一種の興奮状態にある群衆は、普段なら非難されてしかるべき行為がお祭りの一環程度としか思えなくなり、エスカレートしていきます。場合によってはそのような危険行為をする人を、「お祭りを盛り上げてくれてる人」のように錯覚してしまい、どんどん煽ったりエールを送ったりしかねません。
ハロウィン集団には興味のない人は近寄らず、出来れば参加しないことをおすすめします。トラブルに巻き込まれる可能性もありますし、トラブルを起こす側になってしまうこともあるかもしれませんからね。
どうしても参加するんだ、と言う人も細心の注意を払って参加してくださいね!
<参考記事>