わたしの適応障害闘病記(その①)
通常このブログでは、科学的根拠のある生活に役立つ情報をお届けすることを目的にしております。あまり個人的な意見や経験を書くことはありません。
ただ、いま私はメンタル系の病気と消化器疾患で長期のお休みをいただいております。
病名は「適応障害」です。
今回の話はいつもとは違い、膨大な統計データに支えられた根拠のある話ではなく、あくまで私一個人の経験の話に過ぎません。
ただ、今まさにメンタルを病んでいる人や、病みかけている人がよりよい生活を送るヒントになればと思い、私の体験を書こうと思いました。
<病気の診断が分かるまで>
あまり詳細は書けないことはご容赦ください。
私は長い間、消化器症状をはじめとするさまざまな症状で悩んでいました。
胃もたれ・ひどい吐き気・歩けなくなるほどの頭痛・意欲の低下(趣味は多いほうなのですが、以前と比べ明らかに趣味への関心・意欲が薄らいでいく)など。
ただこれらは身体的な病気が原因なのだろうと考えていました。
検査をすれば原因は見つかるだろうと...。
そこで、脳画像を観察するMRI、内臓の状態を簡易的に検査する腹部エコー、胃カメラ、全身の内臓の形態を詳細に観察できるCT検査などさまざまな検査を行いました。もちろん会社で行われる血液検査、肺レントゲン、心電図測定なども...。
しかし、激しい症状に苦しんでいるにも関わらず、これらの検査ではまったく異常がなかったのです。
複数の内科や消化器内科の医師に診察を受けましたが、「難しいですね」「よく分からないですね」などと言われ、医師たちが診断特定はおろか次に必要な検査の提案もできないくらい原因不明なのです。
正直そのときの私の感情としては
「じゃあどうすればいいの?」
です。
さまざまな症状は薬で抑えてきましたので、なんとか頑張って仕事には通っていました。
ただ一日の飲む薬の量は毎回6〜8錠を超え、それに加えて頓服の薬も服用していました。
「いつになったら治るの?それとも一生このままなの?」
そんな不安に苦しむ毎日でした。
私の症状(とくに激しい頭痛と吐き気)は発作的に悪化することがありました。
そのため常に薬を持ち歩き、「また発作が出たらどうしよう?」と常に悩んでいました。
「もし満員電車の中で発作が来たらどうしよう?」
「大事な会議中に体調が悪化したらどうしよう?」
「友人と遊びに行っているときに悪化したらどうしよう?」
そんなことばかりを毎日考えているうちに、電車に乗るのも、人ごみも、人と話すのも不安になり、仕事以外はできるだけ家にこもっている状態でした。
私の毎日が、病気が中心の生活に変わっていってしまったのです。
常に急な体調悪化を心配し、薬を飲む時間ばかりを気にするようになりました。
そのうち、自分の大好きだった趣味や仕事や生活のことがすっかり色あせたように感じられ、毎日が苦痛の連続となっていきました。
あるとき、主治医から新しく処方されたメンタル系の薬をためしに飲んでみました。
すると、いままでの激しい頭痛や吐き気が嘘のように軽くなったのです。
私は薬学部卒で博士号も持っている医薬品研究者です。
これが意味することはすぐに分かりました。
そこで心療内科に行き、医師と話し合ったところ、「適応障害」という診断と長期療養を要する、という判断をいただきました。
<適応障害とは?>
適用障害やうつ病は似ている部分があります。
原因は長期にわたるストレスです。
ストレスの原因が明らかな場合は適応障害と診断されるケースが多いです。
私のストレスの原因はおそらく長い間悩んできた消化器症状なのでないかと考えています。
ただその消化器症状のストレスが原因で適応障害になったと仮定すると疑問が生じます。
つまり、さまざまな検査を受けて異常がなかったその消化器症状の原因はなんなのか?ということです。
「消化器症状→消化器症状によるストレス→適応障害」
であるのならば、その消化器症状の原因はなんなのか?消化器症状の原因が身体の病気であるのなら、あれだけ検査をやったのだから何かしら異常が出るはずです。
にも関わらず異常は出なかった。
実は私にも自覚のない隠れたストレスがあって、それが原因で消化器症状が起こっているのではないか?と今は考えています。
「隠れたストレス→消化器症状→消化器症状によるストレス→適用障害」
この隠れたストレスがなんなのかは、今のところわかりません。
<私の性格>
私の性格は内向的で、お世辞にも社交的とは言えません。
ただひょうきんな性格ですので、人とは楽しくしゃべりますし、あまり周りのことを気にしない「飄々とした性格」だと言われます(自分でもその自覚があります)。
人と争うようなことはほぼなく、けんかにならないように自分の意見を伝えることもできます。無理に自分を抑制することはありません。
自己肯定感は高く、決して落ち込むような性格ではありません。
職場にも職務内容にもお給料にも不満はなく、自由な時間もあります。
正直ストレスで悩む性格でもなければ、ストレスが環境にあるとも思えないのです。
ストレスは嫌なことばかりではなく、環境の大幅な変化も含まれるとする説がありますが、環境の変化もとくにはなかったはずです。
<現在取り組んでいること>
①薬による治療
処方されている薬は以下の通りです。
・ジアゼパム(鎮静剤)
・スルピリド(胃腸の動きを促し、吐き気を抑制する。食欲増進)
・プリンペラン(吐き気止め)
・六君子湯(吐き気止め、食欲増進)
・デパス(頓服用。鎮静剤)
ちなみに抗うつ薬のイフェクサーは飲んでいません。臨床試験のデータを見れば明らかですが、効き目が弱い・あるいはあまり期待できない割に、離脱症状がある・副作用が多いなどの困った薬です。
②運動
以前の私の記事でもご紹介させていただきましたが、この手のメンタルの病気には運動が効果てきめんであることは科学的に証明されています。特にグリーンエクササイズはリラックス効果が高いことが知られていますので、毎日続けています。私の運動は、毎朝40〜50分のウォーキングと軽い筋トレです。
運動によるメンタルの効果はやはり科学的に証明されているだけありますね!劇的な効果でした。さまざまな体調不良が改善しつつあります。とくに気分の落ち込みには短期的にも効果大でした。
③見えるところから変えていく。行動からかえていく。
これは記事でご紹介したことはなかったのですが、今の自分の性格・考え方を変えていく単純な方法は「見えるところから変えていく」「はじめから考え方を無理に変えようとはせず、まず行動から変えていく」ということが有効であることが分かっています。
「見えるとことから変えていく」というのは簡単で、家の大掃除をしたり、部屋を大胆に模様替えをしたりして、目に映る風景自体を変えてしまうのです。毎日目に映る風景が変わってしまうのですから、自分も少しづつ変わっていくでしょう。思い切って引っ越してしまうとかもとてもよい方法だと思います(わたしはやってないですが)。
「はじめから考え方を無理に変えようとはせず、まず行動から変えていく」というのはどういうことなのかを説明します。
人の考え方や感情・悪い思考の癖などを短い期間で変えようとするのはかなり難しいです。さまざまな科学の本を読みましたが、最短でも8週間かかります。よって自分の思考の癖をいきなり変えようとはせず、行動を先に変えるということを行っています。よく聞く名言?に「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」というものがありますが、これは心理学的に解釈すると「感情の末梢起源説」ですね。末梢である行動を先に変えることにより、自然と自分の考え方も変わっていきます。
<現状>
症状は改善しつつあります。
まず消化器症状について。以前欠かさず飲んでいた、プリンペラン・デパスはほぼいらなくなりました。私の場合は漢方がよく効いたようです。この六君子湯というのは、実はがんの化学療法の際に起こる吐き気の抑制にも効果があるとする報告があるぐらい、吐き気によく効く漢方です。ためしに使ってみて本当に良かったと思います。
また、運動は前述のとおり、気分の落ち込みに劇的な効果がありました。ウォーキング後軽い筋トレを行うと、その瞬間から気分の落ち込みがほぼなくなるくらいの効果でした。
改善の兆しが見えてきてよかったと思います。
ただまだ不眠・中途覚醒は治っておらず、これを解決するのが今後の課題ですね。
以上です。
繰り返しになりますが、私の一個人の経験に過ぎませんので、あくまで参考程度に!
それでは次の記事でお会いしましょう!