ゆうちゃんの家

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あなたのその成績・性格・癖は遺伝?家庭?友人関係?遺伝の影響を徹底リサーチしてみた!

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今回は、「人間ってどこまで遺伝で決まるの?」を徹底的にリサーチしてみました

今回は記事というより一覧表みたいな内容です。

 

ちなみに以下「遺伝率」を示していきますが、遺伝率という言葉には誤解がつきものなので念のため解説しておきます。

遺伝率とは、特定集団において見られる個人差に対する遺伝的要因の占める割合のことです。また、遺伝率は前述の記事通り(参考記事1)、一卵性双生児の研究から算出されています。よってその国・その時代の時点での結果ということになります。国が変われば、状況が変われば数値は変動するでしょう。

たとえば、体重の遺伝率は90%なのですが、だからといって体重70kgの人のうち63kgの重量が遺伝で決まっていると言うわけではありません

国語の成績の遺伝率は47%ですが、これも日本のような義務教育がしっかりしていて、テレビやインターネットが普及していて、勉強に困らない時代で計測してみたらそういう遺伝率だったということです。A君とB君の国語の成績の差が20点だったとして、そういう個人差のうち47%が遺伝の割合ですよ、と言う意味です。「なんだ。47%が遺伝で決まるなら勉強しなくても半分くらいの点数とれるじゃん」とかではないです。A君が何にも努力しなければ国語の点数は当然ですが0点になります

 

それではいってみましょう!

 

 

<知能指数(IQ)の遺伝率>

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①児童期...41%

②青年期...55%

③成人期...66%

幼ければ幼いほど遺伝の割合が小さいですね。IQを高めたければ、大人になって努力するよりも、子供のころの環境・習慣が重要であることが示されています。

IQを上げる方法は下記の過去記事をご参照ください。

yuukoki.hatenablog.com

 

 

 

<学業成績(小学生)の遺伝率>

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①国語...47%

②社会...49%

③算数...25%

④理科...38%

⑤音楽...40%

⑥図工...55%

⑦体育...48%

だいたいほとんど50%以下の遺伝率のようですね。環境の割合が多いようです。

ちなみに環境的要因は共有環境(家族環境など)と非共有環境(学校・友人などの家族以外の環境)の二つに分けられるのですが、小学校の成績は共有環境がだいたい30〜50%を占めます。非共有環境の割合は10〜15%と小さいのです。つまり小学生の成績は家族環境の影響が大きいということです。

お子様をお持ちの方で、小学校の成績を上げたければ、学校や塾にばかり任せきりというのはおすすめしないです。ご家庭での勉強環境の構築、勉強の大切さを教えるなどが重要だということになります。

 

 

<性格の遺伝率>

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これは以前の記事でお伝えしましたね(参考記事2)。

だいたい性格も50%くらいが遺伝で決まります

では残りの環境は、共有環境・非共有環境どちらで決まるのでしょうか?(つまり家庭環境が重要なのか、それ以外の環境が重要か、ということです)

実はなんと、性格における共有環境の占める割合はたった2%程度なのです。ほとんど親の影響とかはないってことなんですね。(虐待があるとかネグレクトがあるとか親が亡くなっているとか、そういう極端な例は別です)

性格は半分が遺伝子で決まり、のこり半分は家族以外の人間関係で決まります

お子さんの性格は遺伝と人間関係で決まりますので、ご家庭で指導するのも大事かとは思いますが、良い環境(治安のよい場所に住み、環境のよい学校や友人関係)に配慮していくほうが大事です。

 

 

<精神・発達障害の遺伝率>

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統合失調症...81%

自閉症...82%

ADHD...80%

うつ病...40%

うつ病以外は遺伝の影響がきわめて大きいです(ちなみに身長の遺伝率がだいたい80%です)。いずれも難しい精神疾患ではありますが、家族歴のある方は要注意です。

 

 

<物質依存の遺伝率>

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アルコール中毒...54%

②タバコ...58%

③コーヒー...46%

まあまあ遺伝するようですね。喫煙は共有環境が25%ほどありますので、ご両親がタバコを吸われている方は80%近く遺伝することになります(私もそうです笑)。

 

 

<問題行動の遺伝率>

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①けんか...37%

②家出...0%

③動物虐待...21%

④うそをつく...41%

⑤窃盗...0%

⑥ルール違反...52%

⑦攻撃的行動...50%

⑧金銭不履行...38%

⑨不倫...31%

特にルール違反、攻撃性は50%の遺伝率となっており、突出して高いですね。

またこの項目の場合、共有環境の影響はほぼ皆無で、非共有環境の要素が大きいです。上記の問題行動の有無は、親や家庭環境による影響は少なく、お子さまの周囲の人間関係や環境で決まります。

前述の性格の項目もそうですが、良い人間関係・よい環境(近所の治安が良いか悪いか、学校が荒れていないかなど)を整えてあげることがきわめて重要になります

 

 

 

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以上いかがだったでしょうか?

遺伝の割合を知ることは重要です。

また環境は、「家庭環境」と「その他の環境」に分けられるのですが、「その他の環境」が思いのほか大事です。

住む場所の治安、学校が荒れていないかどうかに注意を払ってください。お子様をお持ちの方は上記の環境をしっかり整えてあげることが、お子様の性格や問題行動を改善するのに大いに役立ちます。

 

今回のように、遺伝率、共有環境、非共有環境の割合を知ることで、どういう努力が有効でどういう努力が無駄なのかが科学的に分かります

 

参考にしていただければ幸いです。

 

それではまた次の記事で!

 

 

<参考図書>

小栗世嗣著、『努力で決まるか 生まれながらなのか?行動遺伝学が教える 学力、性格と「遺伝」のホント』、ダイヤモンド社

 

<参考記事>

yuukoki.hatenablog.com

 

yuukoki.hatenablog.com

 

 

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