ゆうちゃんの家

メンサ・科学者・自閉症スペクトラム。心理学・薬学・医学・アイディア発想・エッセイ等(@UCHAM0410)

あなたも?人口の10%がかかっている機能性ディスペプシアにおける食欲不振・強い吐き気の抑え方!

【背景】

f:id:yuukoki:20190825180934j:plain

今回はストレスなどが原因とされる機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia:FD)についてのお話です。機能性胃腸炎機能性胃腸症・機能性胃腸障害など色々な名前で呼ばれています。

この機能性ディスペプシア(FD)と言う病気も、前回ご紹介した過敏性腸症候群IBS)と同じくなかなか厄介な病気です。慢性疾患で、原因は不明な場合が多く、完治の難しい病気です。

実は私も、過敏性腸症候群と機能性ディスペプシアにかかっています。

IBSの方は前回記事にご紹介したように、完治に近い状態まで持っていくことが出来ました。機能性ディスペプシアはまだ完治はしておりませんが、現在ほとんどの症状を抑えることができており、1日3食しっかり食べて、吐き気も完全に制御できております。

一般的な話に加え、私の経験もふまえて、対処法をご紹介していきたいともいます。

 

 

【機能性ディスペプシアの特徴】

f:id:yuukoki:20190825180955j:plain

機能性ディスペプシアの特徴としては、まず胃カメラ(胃内視鏡)を行っても特に異常所見が認められないのにも関わらず、慢性的な吐き気(嘔吐)・食欲不振・みぞおちや胃部不快感・胃もたれ・膨満感などの症状が見られます

原因としては、ストレス・内臓知覚過敏・胃蠕動運動異常・自律神経失調症などが考えられています。根治治療が難しく、慢性疾患であるため、過敏性腸症候群と同じように、この機能性ディスペプシアが原因でうつ病などを発症してしまうほどに、患者さんのQOL(生活の質)を下げる苦痛を伴う病気です。

また、胃カメラで異常がないにも関わらず、吐き気や食欲不振・胃部不快感・胃もたれなどの症状が出る病気には、機能性ディスペプシア以外にも、非びまん型逆流性食道炎という病気もあります。胃カメラでびまん型所見が見当たらないにも関わらず、胃酸が逆流するなどの感覚も感じられることがあるようです。胃カメラで異常がないにも関わらず、胃酸が逆流する症状も感じる場合は、非びまん型逆流性食道炎も疑いましょう。

 

 

【必要な検査】

f:id:yuukoki:20190825181006j:plain

①まずは胃カメラ

上述のように、慢性的な吐き気(嘔吐)・食欲不振・胃部不快感・胃もたれなどの症状を感じたら、まずは胃カメラを行いましょう。上記症状には重大な疾患が隠れていることもあります。最悪、胃がんなんてこともあります。まずは胃カメラでそのような重大な疾患に自分がかかっていないかどうかを確認してもらいましょう。

胃カメラは苦痛が伴うイメージが強いですが、現在は多くのクリニックで鎮静剤を使った処置が行われるようになってきております。この鎮静剤のおかげで半分眠ったまま検査が出来るようになっており、本人も気づかないうちに検査が終わることが多いようです。また、最近は鼻から胃カメラを行う方法もあり、口から行う場合に比べ、嘔吐反射などの苦痛が劇的に軽減されています。いままで口から胃カメラを行っていた人が鼻から検査した場合、患者の90%が次回以降の検査は鼻から検査を行いたいという感想を持ったという統計データもあるくらい苦痛が緩和される検査のようです。

この検査、実はお医者さんの腕によって苦痛の度合いが違います。よいお医者さんにかかれば苦痛はほぼなく、検査時間も5分程度で終わるはずの検査なのです。事前にしっかり情報収集してよいお医者さんを探しましょう。私も結構まわりの評判などを聞き、S大学の指導医も勤める医師が開業しているクリニックで受けましたが、ほとんど苦痛はなかったです。

 

胃カメラで異常が認められなかった場合

注意してほしいのが、吐き気の症状は胃腸が原因と考えられがちですが、めまいを伴う場合は、脳や耳・眼の異常が原因である場合もあります。念のため、脳MRIや腹部エコー、全身CTなども行っておきましょう(これらの検査は非侵襲的な検査で、身体の中になにか検査器具を入れることはありません。写真をとるだけです。全く苦痛はありませんのでご安心ください)。その他耳鼻科、眼科にも相談してみましょう。

 

それでも異常が認められなかった場合は、機能性ディスペプシアか非びまん型逆流性食道炎の可能性が強く疑われます。

治療法は主に薬物治療になります。

 

 

【治療法】

f:id:yuukoki:20190825181025j:plain

主に以下の薬物療法が選択されます。

ちなみに私の場合は、色々と試しましたが、アコファイド・ナウゼリン六君子湯と、頓服にデパスに落ち着きました。六君子湯を使うようになってから、ほとんどデパスは使わなくて良くなりました

ガスモチンやアコファイド

 ガスモチンはモサプリドともいいます。胃の蠕動運動を促進することで、吐き気や食欲不振を抑制する薬です。慢性胃炎などにも使われます。比較的安全性の高いお薬です。上記のガスモチンが効くか、アコファイドが効くか、どっちが効くかはかなり個人差があります。もし最初に処方されたお薬がいまいち効かなければ、もう一方を試してみましょう。

ナウゼリンプリンペラン

 一般名ではドンペリドンやメトクロプラミドともいいます。定番の吐き気止めです。とてもよく効きます。胃腸の蠕動運動を促進し、吐き気や食欲不振を抑えます。また吐き気は、脳の第四脳室CTZに信号が送られて起こる経路もあるのですが、この経路も抑える働きがあるお薬なので、ナウゼリンプリンペランは吐き気に対しては本当にとてもよく効きます。副作用としては、便が柔らかくなることです。これは胃腸が元気よく動くようになるためです。この副作用はあまり気にしなくてよいでしょう。ただごく稀に、手が震える・筋肉がピクつく・口の周りがモゴモゴするなどの症状が出ることがあります。薬剤誘発型パーキンソンの可能性がありますので、このような症状が出た場合は医師・薬剤師に相談しましょう。

六君子湯

 こちらも食欲増進効果、吐き気を止める効果があります。私の場合はこれがとてもよく効きました。これのおかげで抗不安薬デパスを止めることが出来ました。胃の蠕動運動改善、グレリン産生(食欲増進ホルモン)、ストレス由来の吐き気も抑制するなどの複数の効果があり、吐き気止めとしては広く使われています。抗がん剤による副作用の吐き気にも効果があるほどのお薬です漢方薬は長く使わないと効果がないという印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、六君子湯はすぐに効きます。おすすめです。他にも人参湯、五令散などの吐き気止め、ストレス由来の神経性胃炎には半夏厚朴湯などがあります。効き目には個人差がありますので、医師に色々提案してみましょう。

④ゾフラン

 一般名はオンダンセトロンといいます。吐き気止めとしては最強です。はっきりいって、感動するくらい効きます。なかなか処方してもらえないとは思いますが、発作的な吐き気には驚くほど効きます。海外では普通に感染性胃腸炎ノロウイルスとかロタウイルスですね)にも処方されることもあります。抗がん剤シスプラチンの吐き気すら制圧する最後の切り札です。あまりおすすめはしませんが、実は海外からの個人輸入で簡単に購入できます(ただこの場合は自己責任になります)。

デパスなどの抗不安薬

 実は吐き気の原因が予期不安やストレスの場合もあります。この場合、抗不安薬(簡単にいうと精神安定剤)を使います。デパス(エチゾラム)、ソラナックス(アルプラゾラム)、セルシン(ジアゼパム)、レキソタンセラニン(ブロマゼパム)、ワイパックス(ロラゼパム)などが有名ですね。発作的な吐き気にはとてもよく効きます。私もお世話になっておりましたが、六君子湯を使うようになってからは、抗不安薬はほとんどいらなくなりました。気になる方は一度抗不安薬も試してみると良いでしょう。

ドグマチール(スルピリド)

 これも胃腸の蠕動運動を促進することで、食欲不振や吐き気を抑えます。弱い抗うつ薬としても作用します。私も飲んだことがありますが、この薬飲むとお腹がすくくらい食欲不振にはよく効きます。あと弱い抗うつ薬としても機能するせいか、急に部屋の片付けをはじめたり、外に運動にいきなくなったりします(笑)。

⑦制酸剤

 前述のとおり、機能性ディスペプシアと非びまん型逆流性食道炎の鑑別は困難です。後者だった場合、制酸剤(胃酸を抑える薬)が著効する場合があります機能性ディスペプシアだと思って長年服薬治療してきて治らず、非びまん型逆流性食道炎の治療に切り替えたら4週間で治ったなんてこともあります。非びまん型逆流性食道炎の治療は、ファモチジン(いわゆるガスターですね)やパリエットプロトンポンプ阻害剤といって、制酸剤の中ではかなり強い薬です)なども併用してみるといいでしょう。私も胃部不快感、胃部灼熱感があるときは使いますが、飲んで15分ほどで治まります。

⑧消化剤

 機能性ディスペプシアは胃の蠕動運動異常によって、食べ物が胃の中にとどまりやすくなることで、吐き気や膨満感、胃部不快感が出るパターンもあります。この場合は、食べ物の消化を助ける酵素のお薬を飲みましょう。処方薬としてはエクセラーゼがおすすめです。

 

 

【止めた方がいい習慣】

f:id:yuukoki:20190825181051j:plain

・アルコール

 胃を刺激します。適度なら良いですが、深酒は止めましょう。

・カフェイン

 意外と知られていないですが、カフェインは胃を刺激する他、吐き気を誘発する場合があります。私もカフェインには弱いです。カフェインとは、ご自身の体質に合わせてつき合っていってくださいね。

・脂っこい食事

 カロリーの高い食事、消化に時間のかかる食事などは吐き気、膨満感といった症状を悪化させます。胃の中に食べ物がとどまる時間が長くなってしまいます。注意しましょう。

・タバコ

 私は吸ってますが(笑)、タバコは胃粘膜の血流量を低下させ、胃酸による胃への刺激を増加させますので、症状は悪化します。普段タバコを吸っている人が急に禁煙しようとすると、それがストレスとなって機能性ディスペプシアが悪化することもあるので、一概に禁煙が治療に良いとは断言できないのですが、注意してください。

 

 

 

 

以上になります。

私も機能性ディスペプシアに長年悩まされていました。完治はしていませんが、良い薬に出会えて普通に3食好きなものを食べられている毎日です。

ただ症状の強さの波は個人差があります。食べれない日は無理しないで、一度にとる食事を少なめにするなどしてください。

あと、薬に頼る自分に嫌悪感や罪悪感を抱く必要はありません。完治は難しい病気ですので、体調がキツいときは無理せず服薬しましょう。

みなさんも上記の内容をお試しいただき、症状を抑えて楽しく毎日を過ごせるように願ってます。

それではまた次の記事で!!

 

<参考記事>

 

 

yuukoki.hatenablog.com

 

yuukoki.hatenablog.com

 

yuukoki.hatenablog.com

 

 

yuukoki.hatenablog.com

 

yuukoki.hatenablog.com

 

プライバシーポリシー