ゆうちゃんの家

メンサ・科学者・自閉症スペクトラム。心理学・薬学・医学・アイディア発想・エッセイ等(@UCHAM0410)

そのお腹の張り・オナラは過敏性腸症候群じゃないかも?

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今回の記事は「お腹の張り」についてです。

お腹が張ると苦しいですよね...。

私は乳糖不耐症があるので、間違って乳製品食べたときとかはおならの回数がヤバめです笑。

 

お腹が長期間に渡って張る原因の一つに過敏性腸症候群IBS)があるのは前回紹介しました。

yuukoki.hatenablog.com

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私の場合は運良くほぼ完治しましたが、過敏性腸症候群の原因は現在のところ不明なのです。ストレス説、腸内細菌説、リーキーガット説、食物アレルギー説、内臓知覚過敏説、消化管蠕動運動異常説など色々と考えられているようです。

低FODMAP食を試したり、腸内洗浄を試したり、腸内細菌サプリをとったり、身体に合う食生活を見直したりと色々工夫は考えられるのですが、これらの効果は実はかなり個人差があります

また内臓知覚過敏ですが、健常者と過敏性腸症候群患者の腸に同量のCO2を注入した場合、健常者は違和感は感じなかったのですが、IBS患者は苦痛を感じたという研究報告もあり、内臓知覚過敏説も影響しているようです。この場合は神経の反応を抑える薬などが効果があるのかもしれませんね。

 

でも実際おならの回数が異常に多い、お腹が見て分かるほど張っていると言う人も居ると思います。そういう人の場合は、ただの内臓知覚過敏が原因ではないのかもしれません。

 

今日はお腹の張りの身近な要因についてまとめてみます。

腸管のガスは、「腸管内でガスが発生する場合」「口から飲み込んだ空気が原因の場合」の二通りに分けられます。この二つの視点で考えていきましょう。

 

 

【ガスが腸管で発生する場合の対策】

「食物繊維は本当にいいのか?」

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身近な原因で、ガスが腸管で発生するケースは以下の通りです。

 

・消化の悪いものが腸管内に長く留まり、その結果腐敗してガスが発生する。

・腸内細菌のバランスが崩れ、ガスを発生させる腸内細菌が増える。

(大腸ポリープや食物アレルギー、セリアック病、腸閉塞、腸捻転、大腸がんなどの特殊なケースは除いてあります。大腸内視鏡やアレルギー検査などはぜひ行ってください)

 

食物繊維をとるとIBSが改善するという記述を良く見かけます。たしかに食物繊維は小腸で吸収されにくいので、大腸まで届きます。その結果、腸内細菌のエサとして機能し、腸内細菌バランスを整えてくれる効果も期待できます。ただ注意しなければいけないこともあります。消化されにくい食べ物は、その分腸内に長時間留まります。そのため腐敗がおこり、逆にガスが産生されてしまい症状が悪化するという結果も起こりえます。

 

また一般的には消化の良い食べ物でも、ご本人の体質によっては消化しにくい場合もあります代表的なのが「乳糖不耐症です。乳製品に含まれるラクトースを分解できない体質の人が一定数いることが知られており、このラクトースを分解できないと、当然吸収されませんので、腸内に長く留まり、ガスの原因になったりもします。また過敏性腸症候群に合併しやすいのは、機能性ディスペプシア(FD、機能性胃腸症ともよばれます)です。この治療のため制酸剤(ファモチジンガスター)やプロトンポンプ阻害剤)などを飲んでいる方も居ると思いますが、これら制酸剤を飲むと胃酸が抑制されますので、当然食べ物の消化効率は悪くなり、腸内へ食べ物が留まりやすくなってしまいます。

また、極端な対処法ではFODMAP食を断つという、いわゆる消化しづらい食べ物を避けるという食事法があります。これにより腸管内に食べ物が留まる時間を短縮し、ガスの発生を防ぐという考え方です。ただ前述のとおり消化の良いものばかり食べ過ぎると、小腸で全て栄養素が吸収されてしまい、大腸に届かず、腸内細菌のバランスが乱れるということも起こりえます。

 

過敏性腸症候群の対策は、とても個人差があり、ご自身にあったものを探していくしかありません。長い戦いにはなると思いますが、色々と試していくことをお勧めします。

 

 

【口から飲み込んだ空気が原因の場合】

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意外と見落とされがちなのが『呑気症』という病気です。10代の40%、20代の20%はこの疾患の疑いがあるとのことです。

これは何らかの理由で空気を飲み込んでしまい、その空気が腸内に到達することによってお腹が張るという症状が起こる病気です。この現象は既に確認されていて、たしかに口から飲み込んだ空気は、一部はゲップとなり口から排出されますが、残りは腸内まで到達することが研究により明らかになっています。

通常、二酸化炭素は腸管壁から吸収されるので、腸内に残りづらく、膨満感の原因になることはありません。しかしながら、空気は80%が窒素であり、これは腸管壁から全く吸収されないので、最後まで腸管内に留まります。つまり膨満感の原因になりうるのです。ちなみに『呑気症』が原因のおならは臭くないということがたまに散見されますが、デタラメです。腸管を通ってお尻から出てくる気体(おなら)が無臭なんてことはありません。自分のおならが臭いから『呑気症』じゃないだなんて決めつけないでくださいね。

 

この『呑気症』の原因はなんなのでしょうか?

原因は、噛み締め行為、早食い早飲み、嚥下反射の亢進です。これは個人の癖の問題であったりするのでなかなか改善できないですが、噛み締め行為の原因がストレスである場合もありますので、ストレスに自覚がある方は心療内科で相談してみてください。また噛み合わせに問題がある方は歯科医で見てもらうのも良いでしょう。マウスピースを使った研究だと約8割に改善が認められたという報告もあります。

『呑気症』は良く噛んでゆっくり飲み食いすることを意識するだけで多少は改善します。参考にしてみてくださいね。

 

 

【まとめ】

①お腹が張るのはガスが腸管に溜まることが原因の一つにある。

 

②ガスが腸管に溜まる原因は「腸管内でガスが発生するケース」と「口から飲み込んだ空気が原因であるケース」の二通りがある。

 

③「腸管内でガスが発生するケース」への対処法としては、腸内細菌を維持しながらも、適度に食物繊維をとることが重要である。過度に食物繊維をとったり、過度に消化の悪いものを避けたりすることは症状を悪化させることにもつながりかねない。ただ、これらは個人差が大きいので、自分の体質に合った方法を試していくしかない。

 

④「口から飲み込んだ空気が原因であるケース」への対処法としては、噛み締め行為や早食い早飲みを避けること。良く噛んでゆっくり飲み食いすること。噛み締め行為の場合は食事時以外も空気を飲み込んでいる可能性があるため、ストレスの自覚のある場合は心療内科へ、噛み合わせに問題がある場合は歯科医に診てもらうこと。マウスピースなども試してみること。

 

 

以上になります。

お腹のガスは意外と気を使いますよね。

本人も苦しいし、おならが出てしまったらどうしようと言うのも気になりますし...。

上記の対策と過去記事を参照してくださり、皆様のお腹の調子が少しでも改善できれば幸いです!

 

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