あなたの心を読む心理術に注意!コールドリーディングの手口!
みなさんは以下のような経験はありませんか?
「あ...この人、私のこと分かってくれてるな〜」
「誰も気づいてくれなかった私の思い、この人は気づいてくれた!」
みたいな経験...。
それ、コールドリーディングという手口かもしれませんよ...!
<コールドリーディングって何?>
カンタンにいうと「あなたの心を(読めてないのに)あたかも読んだように錯覚させる会話のテクニック」のことです。
占い師や詐欺師がよく使う手口の一つです。
錯覚ですので、彼らはあなたの心を読んでいません。読めてません。
彼らはあなたの気持ちを読んだように錯覚させ、あなたの理解者のふりをしてあなたに接近してくるのです。
場合によっては、日常の会話や交渉事、ナンパなどにも使ってくる人がいるので要注意です。
<コールドリーディングの実例>
1947年、心理学社バートナム・フォーラーが、学生達を対象に、性格診断と称して12種類の質問をしました。
以下に、その12種類の質問の一部をご紹介します。
自分にあてはめて、よく考えてみてくださいね。
①かなり非現実的な野望をいだいてしまうときもある。
②外向的で人付き合いが良い一方で、内向的で自分の殻に引きこもりがちになるときもある。
③自分に対して、ときに厳しい一面がある。
④自分の中には、まだ掘り起こされていないような特技や才能がある。
⑤自分の性格に多少の弱点はあるが、たいていはそれを埋め合わせることができている。
⑥自分を表に出しすぎることは賢明ではないこともあるということを人生で学んできた。
みなさんはどうでしたでしょうか?
すべて当てはまっている人はいなかったかもしれませんが、少なくとも「これはぜったい自分には当てはまらない!」という項目はなかったのではないでしょうか?
(もしほとんど当てはまらないという方がいらっしゃった場合、その人はよほど個性的な人か、ひねくれているか(笑)、自分の確固たる意見をお持ちのすばらしい人だと思います。)
フォーラー先生が自分の学生に対して行った結果も、ほとんどの学生が「ほぼ自分にあてはまる」と答えたのです。
<コールドリーディングの原理>
いったいなぜ多くの学生が、自分に当てはまる、と答えたのでしょうか?
実はフォーラー先生が行ったこの質問には以下のような特徴があります。
・あいまいな表現である。
・性格の両面を指摘している。
・不満や愚痴を代弁している。
・おだてている。
・ダブルバインド(「はい」と答えても「いいえ」と答えても結論が同じになる)である。
・自己幻想を助長している。
・当たり前のことを言っている。
・弱点を指摘しつつも、それを補う発言もする。
・相手の向上心をあおる。
一つ一つ解説していきます。
①かなり非現実的な野望をいだいてしまうときもある。
→あいまいな質問になっているため、多くの人に当てはまってしまう質問の代表格です。「かなり」「ときも」という部分があいまいですね。そりゃ誰だって妄想することはありますよね。
さらに「非現実的な野望」もあいまい表現です。ノーベル賞を狙うのも非現実的な野望と言えますし、今年の夏のビーチに間に合うようにダイエットする、というのも人によっては非現実的な野望かもしれません。「非現実的な野望」というフレーズの解釈の幅が委ねられているので、人それぞれ勝手に解釈を始めてしまって、その結果多くの人に当てはまることになったのです。
また、基本的に人間はある質問をされると、その質問に合う回答がいままでの自分の人生の中で存在するかどうか検索をし始めます。誰でも質問されると、自分を重ね合わせて考えてしまうのです。その結果、投げかけられた質問や指摘に合うエピソードを無理矢理にでもこじつけ納得してしまう傾向があるのです。
②外向的で人付き合いが良い一方で、内向的で自分の殻に引きこもりがちになるときもある。
→これは性格の両面を指摘していますね。こんな言い方されたらだれでもあてはまってしまいます。それに誰だって明るく元気いい日もあれば、落ち込む日だってあるはずです。
③自分に対してときに厳しい一面がある。
→これは、おだてつつと向上心をあおりつつ、ダブルバインドもかますという合わせ技です。誰でも自分に甘いといわれるより、厳しいと言われた方が気分がいいものです。
また、誰でも自分に厳しくし頑張った経験もあるはずで、誰にでも当てはまってしまいます(受験勉強を頑張った、宿題や課題・部活を頑張った等々)。
さらにこの質問に「はい」と答えるなら自分に厳しいことを認めることになりますし、逆に「いいえ」と答えたなら「そういうふうに自分に対して厳しさが足りないと思うこと自体が、厳しさの現れですよ」と言い返されたら結局自分への厳しさを認めざるを得ません。
④自分の中には、まだ掘り起こされていないような特技や才能がある。
→これもあいまいです。なにがあいまいかというと「程度」があいまいなのです。何か発明をして特許をとって大金持ちになるような才能もあれば、ちょっとカラオケが上手いのも才能だと言えるかもしれません。
また、上記のフレーズは向上心や自己幻想をあおっています。この質問に「いいえ」と胸を張って答え、自分の可能性を完全に否定できる人はほぼいないでしょう。だから多くの人に当てはまってしまうのです。
さらにこの質問は、相手の愚痴や不満を代弁しているフレーズでもあります。だれでも不満があり、だれでも愚痴を聞いてほしく、それでも言えないので代弁してほしいのです。不満や愚痴を代弁してくれている質問なのでさらに否定しずらくなってしまいます。
⑤自分の性格に多少の弱点はあるが、たいていはそれを埋め合わせることができている。
→これもあいまいですね。「いや〜、弱点埋め合わせてないんですよね〜」と答えても「いや、でもこうして大学にも通って、周りのみんなと肩を並べて学んでいるのですから、大きな弱点は克服しているんですよ」と言われれば「まあそうかな」となってしまいます。
あと、向上心や努力を認めるフレーズになっていますので、それを否定することは自分を否定することにつながってしまい、否定しずらいのです。
⑥自分を表に出しすぎることは賢明ではないこともあるということを人生で学んできた。
→これは誰だってそうですよね。
「君、ちょっと太った?」とか「ちょっと前髪切りすぎたね」とか言わなくてもいい余計なことを言ってしまったため、険悪な雰囲気になってしまった経験は誰にでもあるでしょう。また、ついカッとなって周りの人にキツく当たってしまったことだってあるはずです。このフレーズも解釈の幅があいまいなので、誰にでも当てはまってしまいます。
<さらに実例>
太郎君が花子さんに話しかけています。
太郎君がコールドリーディングを使うとこうなります。
(適当に作ったので参考程度にしてくださいね笑。あとけっしてコールドリーディングを推奨しているわけではありません。みなさんがひっかからないように注意していただければ幸いです)
太郎「今日のバイト、疲れたね〜」
花子「そうだね。疲れた〜」
太郎「花子ちゃんて、のんびり落ち着いたところもあるけど、まじめで頑張りすぎちゃう面もあるからね(おだて、両面指摘)」
花子「何かを始めるまでは面倒なんだけど、始めちゃうとつい『ちゃんとしなきゃ』て思うんだよね」
太郎「周りに気を使いすぎちゃうんじゃないかな(おだて、ダブルバインド)?」
花子「いや〜、自由人だよ。そんなことないと思うけどなあ」
太郎「ほら、そういうところが『気を使いすぎてる』って思うんだよ。素の自分でいるのも大事だよ」
花子「そうかもね」
太郎「でもありのままの自分を出すって難しいかも(不満・愚痴の代弁)」
花子「そうなんだよね〜。スマイル0円っていうけど、あれすっごいストレス...」
太郎「お互いに素の自分を出せて、気を使わずに話せる相手がいればいいんだけどね〜(不満・愚痴の代弁)」
花子「ん〜、そだね。(でも今はまあまあ素のままで話せてるかも?)」
みたいな感じですね。
このあとの太郎と花子の展開はみなさんのご想像にお任せします(笑)。
今日は以上です。
コールドリーディングは私は使いませんが、使える人は本当に上手なので、みなさんも変な人に引っかからないように注意してください。
それではまた次の記事で〜。