あなたのその性格、遺伝かも?人間は遺伝でどこまで決まるの?
今回は「人の性格は遺伝でどこまで決まるのか?」についての記事です。
みなさんも何となく経験はあると思います。
背が高い親の子はやぱり背が高い、性格が親子で似る、親がくすぐったりだと子供もそう...等々。
人は遺伝子と環境、つまり先天的要因と後天的要因の影響を受けて形成されていきます。
では実際のところ、「何が」「どの程度」遺伝で決まるのでしょうか?
<遺伝子の影響を知る実験>
どのようにして、「何々は遺伝子の影響である」と結論づけるのか?
科学の世界では一般的に一卵性双生児の追跡研究で調べられます。
一卵性双生児は遺伝子が完全に同じ双子です。
そのような双子のうち、たまたま何らかの事情で、離ればなれに育った双子を調査します。
つまり、同じ遺伝子を持ちながら、異なる環境で育った双子を観察研究するのです。
もし、その双子の性格や身体的特徴に違いがあれば、その特徴は遺伝よりも環境の影響が大きいと判断できます。このような手法を用いて、人間のさまざまな特性を調べていくのです。
<性格はどの程度が遺伝で決まるのか?>
以前の記事で紹介した性格分析、ビッグファイブがどれくらい遺伝するかについてまとめます。
①外向性(遺伝率46%)
→性格が外向的なのか、内向的なのかの指標です。
②神経症傾向(遺伝率46%)
→カンタンに言うとメンタルの弱さ・感情的な感受性の高さのことです。
③誠実性(遺伝率52%)
→こつこつ努力したり、我慢強いかどうかの指標です。
④協調性(遺伝率36%)
→周りに合わせる、周りを慮る傾向があるかどうかの指標です。
⑤開放性(遺伝率52%)
→新しいことにチャレンジしたり、受け入れたりするかどうかを示す指標です。
このようにおおむね性格は50%程度は遺伝子で決まってしまいます。
知能はどうでしょうか?
知能に重要な「空間認知能力」「推理推論能力」は約70%も遺伝で決まるそうです。
また、精神病の遺伝率も研究されていて、統合失調症や自閉症スペクトラムは遺伝率が高く、それぞれ81%と74%と高いのに対して、うつ病に関しては35%程度であったようです。
ほかにも誘惑にどれくらい弱いのか、身長や肥満はどれくらい遺伝するのか、持久力の高さ、タバコやお酒への依存度から方向音痴などに至るまで...さまざまなものの遺伝率が研究されています。ご自分のルーツを知る一つの手段として調べてみてはいかがでしょうか?
<まとめと考察>
前述の通り、おおむね性格は50%程度は遺伝子で決まってしまいます。
もちろん遺伝率50%ですので、後天的な要因で決まる部分もあるといえばあります。
どういう幼少時代を過ごしたか、どういう人間関係の中で育ったか、どういう学び・経験を積んできたか、どういう努力ををしてきたか...等々によっても性格は影響を受けるでしょう。極端な例ではありますが、動物実験でも性格に対する後天的影響が確認されています。生後すぐに親から引き離した子供と、親から愛情を受けて育った子供とでは、暴力性やストレス耐性などに大きな差が出たという研究報告もあります。
ただし、もし人生の経験値が性格を決めるのだとすると、年をとればとるほど双子の性格は変わるはずなのですが、実際の研究結果は逆でした。年をとればとるほど双子の性格は似ていく傾向があるそうです。
つまり次に考えなくてはいけないのは、「遺伝で決まる性格を無理に変えることは得策なのか」という問題です。
例えば生まれながらに内向的な性格の人が、無理に外向的に振る舞うと本人にとっては毎日の生活がストレスでいっぱいになるでしょう。嫌なパーティや飲み会に毎週のように引っ張りだされるのは内向的な人にとっては苦痛でしかありません。
私も超内向型な性格なのでとてもよく分かります。私はよほど気の合う親友や家族なら話は別ですが、仕事だろうがなんだろうが飲み会にはいっさい参加しません。昔はそれでも無理に周りにあわせようとして参加したことはありますが、「行かなきゃ良かった」と毎度のように思いました。
遺伝で性格がある程度決まってしまうことを受け入れつつも、自分が環境に合わせることも重要だとは思いますが、それだけだとストレスフルな毎日になってしまいます。
自分の生まれながらの性格が合う環境を探すという考え方も、幸せでストレスのない人生を歩む上で大事な戦略となってくるのではないでしょうか?
以上です。
性格に関する遺伝の研究を簡単に紹介させていただきました。
みなさんのより良い生き方の参考にしていただければ光栄です。
それではまた次の記事でお会いしましょう!