ゆうちゃんの家

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ギフテッドとは?

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今日の記事はギフテッドについてご紹介したいと思います。

 

 

【ギフテッドとは?】

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みなさんはギフテッドという言葉を聞いたことはありますでしょうか?

ギフテッドとは簡単に言うと「先天的になんらかの高度な知的能力を持つ人々」を指します。

また、ギフテッド教育とは「ギフテッドの知的能力を良い意味で引き出すための、通常とは少し異なる教育」になります。

 

ではどのようにしてギフテッドは選抜されるのでしょうか?

かつては、ギフテッドの選抜方法は知能テスト(いわゆるIQテスト)の結果をもとに選抜することが多かったようです(今でもかなり多いです)。実際に多くの機関で知能テストが指標の一つとして採用されていて、そのスコアをもとにギフテッドを選抜、ギフテッド教育を受けてもらうという流れになっています。

ただ、近年は「高度な知的能力を知能テストだけで計測できるのか?」という考え方も出てきているようです。たとえば芸術的才能や美的感覚なども当然知的能力に該当するわけですが、これらの能力は必ずしも知能テストだけで充分評価できるわけではありません。知能テストの結果が低くても、芸術的才能には特化して優れている、という例もあるでしょう。実際、選抜基準を知能テストだけに限定せず、ギフテッド教育を行う機関ごとに独特の選抜基準を設けている場合もあるようです。

 

各地・各機関で色々な試みがされているようですが、要するに「さまざまな観点において、知的水準の高い人を選抜し、特殊な教育を受けてもらうことで、その人の能力を開花させ、社会貢献をしてもらう」という概念がギフテッド教育にはあるようです。

 

 

【高IQ者に対する日本国内の現状】

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前述のとおり、ギフテッドとは高度な知的能力を有する人々であって、その高度な知的能力は必ずしも知能指数IQだけで語ることは出来ないかもしれないということを述べました。

ではIQだけでギフテッドを判断するのは間違いないでしょうか?

この議論も実は非常に難しい議論なのです。

まず高IQ者に焦点をしぼった研究が少ないのです。これはある意味やむを得ないことです。例えばIQ130(sd=15)以上の人は人口上位2%しかいません。IQ160(sd=15)ともなると人口上位0.0033%(つまり3万人に一人)しかいないのです。そういう人たちを集めて(あるいは追跡調査して)、どういう職業についていてどのような成果を上げていて、人生の幸福度が高いのか低いのかという統計調査は、母集団を集めるのが大変で研究を行うこと自体が難しいのです。つまり「高IQ者とは何か?」という部分に関しては、まだ研究が発展途上なのです。よってIQだけでギフテッド判定してよいのか悪いのかはまだ議論が別れるところなのかも知れませんね。

日本国内においては、国際的なIQ団体として有名なMENSA(メンサ)の日本支部があるのみでした。ただ最近、高IQ者の認定を支援する財団が発足しました(一般財団法人 高IQ者認定支援機構)

www.hiqa.or.jp

この財団の活動が軌道に乗れば二つのメリットが期待できるでしょう。

一つ目は、高IQ者という概念の啓蒙活動が進むことにより、企業・大学での研究が加速し、「高IQ者とは何なのか?何が出来るのか?どのような社会貢献ができるのか?」が少しずつ明らかになっていくという学術的な進歩です。

二つ目は、高IQ者という特殊な能力を持つ人財を早期発掘し、スムーズに社会貢献に役立てるための架け橋として、上記団体が機能することが期待出来る点です。私の個人的な意見としましては、高IQ者はやはりなんらかの高度な知的能力を有していることは間違いないと思います。こういう人財に着目し、教育環境を整えていくことや、社会貢献の道筋を作っていくことは、高IQ者にとっても社会にとっても生産的で合理的であると思います。

 

 

知能指数IQってどうやって測るのか?】

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測定方法に関しては過去記事でも何度か触れました。

もう一度おさらいしたいと思います。

ある程度統計学的根拠がある方法としては、以下の3つの方法があります。

(ちなみにネット上にいろいろあるなんちゃってIQテストは、全てとは言いませんがほとんど意味はないです。IQの値がきちんと算出されているか否かは、「ある程度の統計をとっているか(十分な母集団であるか)」「sd値も出るか」「ある程度の問題数であるか」「ある程度の難易度も含む問題が用意されているか」などに注目してくださいね。)

 

①医療系の知能テスト

②高IQ団体が行っているIQテスト

③学者が作成しているいわゆるハイレンジIQテスト

 

よく聞かれるのが、「正確なIQを知るためにはどれを受けたらいいの?」という質問です。基本的な私の答えとしては「IQは統計学的処理により算出された値。よって、十分な母集団で実施されたテストで、その統計結果がある程度の正規分布を示していれば、そのテストが測ろうとしている知能におけるIQは正確に出ているはずと答えています。

あと正確なIQという言葉も少し引っかかります...。受けるテストによってIQの値は変動します。なぜ変動が起こるのかというと、テストによってどのような能力が測られているのかが異なることに由来します。言語系テストでは言語系能力が、数列系テストでは数列能力が測られます。言語系能力が高く、数列系能力が低い人は、前者では高IQ、後者では高IQではないかもしれません。ただそれだけです。

 

よって医療系IQテストとハイレンジIQテストで結果が同じ人もいるでしょうし、結果が乖離してしまった人もいるでしょう。だからといってどちらかのIQテストの結果が間違っていて、どちらかが正しいとかではないです統計学的解析がきちんと出来る条件を満たしているテストであればIQ値もきちんと算出されます

たとえば、医療系IQテストでIQが100しかなくて、ハイレンジでIQ150くらい出た人は「医療系IQテストが要求する能力においては平均的な結果だった。ハイレンジテストが要求する能力では平均を上回る結果だった」という解釈です。要するにどちらも正しいと言うことです

例えるならば、国語のテストを受ければ、国語の知識・能力・スキルが計測されその結果偏差値が出る。数学のテストを受ければ国語ではなくて数学の知識・能力・スキルが計測されその結果偏差値が出るということです。国語の偏差値と数学の偏差値が異なっていて「どっちが正しいんだ?!」なんて思う人はいないでしょう?それと同じ論理で、医療系IQテストを受ければ医療系IQテストが要求する能力に対するIQが判定され、ハイレンジIQテストを受ければハイレンジIQテストが要求する能力のIQが判定されるということです。

大事なのは「どんな分野における能力が試されているのか」ということをしっかり理解した上で受験することです。そしてその結果が高ければ、あなたはその分野においては能力が高いことが示されたわけだから活かせばいいわけですし、低ければそういう分野を避けて人生を切り開いていけばいいだけです。ここを押さえないでIQテストを受けてもきちんとした自己分析にはならず、その結果を活かすこともできません。

 

 

【追記】

よく受ける質問が二つありますので、それに対して私なりの回答したいと思います。

 

質問①:「IQが高い=頭がいいってこと?」

 上記本文をしっかりお読みくださった方は分かっていただけると思います。「頭の良さ」という概念の一部に「IQ」という概念があるとご理解ください。逆に言えば、IQテストで計測しきれないタイプの知的能力もあります。だからIQテストの結果が100しかなかったから自分は凡人だといって悲観することはありません。

 

質問②:「IQさえ高ければ良いと思ってるの?」

 普段ならこういうのはスルーしますが、あえて答えますね。質問した方がまだ子供さんなら仕方がありませんが...。

 まず議論のやり方が非生産的なことに気付きましょう。説明しますね。「〜さえ良ければいいのか?」の、〜の部分に色々な言葉を入れてみましょう。「お金さえあればいいのか?」「友達が多ければいいのか?」「長生きすればいいのか?」...等々、〜の部分に何を入れようが答えはNoです。つまり「〜さえ良ければいいのか?」議論は、議論する前から答えがNoと決まっています。議論する前から結論が決まっていることを議論するのは無意味ですし生産性が全くありません

 

 

【まとめ】

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①ギフテッドは「高度な知的能力をもつ人々」のことである。

 

②ギフテッド教育とは「ギフテッドの人たちへの特別な教育」を指し、ギフテッド教育の目的は「ギフテッドの人たちが生きやすいようにすることと、ギフテッドの人の特殊な能力を社会に還元することを目指す」ことを主としている。

 

 

以上になります。

IQテストは自己分析にもなるので、上記のような正式なものを受けるのはおすすめです。自分が何が得意で何が不得意なのかを数字で示してくれるので、職業を選択する上でも貴重な参考資料になります。

 

繰り返しますが、IQはあくまでその人の精神特性の一つの指標に過ぎません

人生は、能力・人格などの「個人的属性」と、人間関係・環境などの「非個人的属性」の二つで決まります。その能力のほんの一部にIQがあるということです。

人格分析・性格診断についてはビッグファイブ分析MBTI分析などが知られていて、比較的文献も豊富です。過去記事を参照してください。

また人間関係において重要なのはEQ、つまり心の知能指数です。こちらについても過去記事にまとめてありますので、よろしければ参考にしてくださいね!

 

 

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