過去に大事件に!存在しないはずの記憶が植え付けられる現象!
今回は「ありもしない記憶が植え付けられる現象」を紹介します。
フォールスメモリー現象といいます。
心理学の専門用語で事後情報処理という現象が知られています。「記憶が、その後に経験した別の情報によって影響を受けてしまう現象」のことをいいます。
この事後情報処理の極端なものがフォールスメモリー現象で、「存在もしない事実が記憶に植え付けられる現象」です。
実は人間の記憶というのは、すごくいい加減にできています。
逆の言い方をすれば、物事のつじつまを合わせるように都合良く書き換えられやすいのです。
①ありもしない事実を「思い出してしまう」現象
大学生を被験者にしてある研究が行われました。
彼ら大学生にこのような質問をしたのです。
「ご両親に聞いたのですが、あなたが幼いころ、両親の車に一人でのっていたずらをしていたそうですね。そのときブレーキを触ってしまい、車が動き出して近くの車と接触事故を起こしてしまいました。そのときのことを覚えていますか?」
実際にはそんな事故は起こっていません。
その結果、どうなったと思いますか?
はじめのうちは、大学生たちは「思い出せない」と答えました。
当たり前です。そんな事実ないのですから。
ところが、数回実施した面談のたびに同様の質問をすると、なんと30%くらいの大学生がありもしない事故を「思い出して」しまったのです。
②フォールスメモリー症候群
1990年〜2000年代にわたり、各地で実際に起こった事件です。
心療内科などで行われるカウンセリングにおいて、「あなたの不安障害やうつ病の原因は、幼い頃に両親から受けた性的虐待に原因がある可能性があります。それを思い出すことによって、今のこころの症状が治まることがあります」と言われた複数の患者が、実際にありもしない虐待を受けたかのように思い込んでしまい、両親を訴えるという現象が各地で発生しました。
このような現象をフォールスメモリー症候群と呼びます。
もちろんカウンセラーの先生がたはこういうことを意図して行ったわけではありません。古典的な精神分析療法によるカウンセリングをしていただけです。
ただ当時は、人の記憶が簡単に改変されてしまうことがあまり知られていなかったのです。
いかがだったでしょうか?
ご安心ください。
現代では、人の記憶は簡単に影響を受けてしまうことが科学的に判明しています。
たとえばやってもいない犯罪行為を問いつめられて「虚偽の自白」をしてしまっても、本当にその自白が、裁判で証拠として有効なのかどうかは厳しく判断されます。
でもちょっと怖い話ですよね...!
みなさんも「記憶って結構いいかげんなものなんだな」という認識を持っていただいて、日々を気をつけてお過ごしくださいね!
それではまた次の記事で!
<参考図書>
越智啓太 著、『犯罪捜査の心理学』、株式会社 新曜社
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