腸内細菌を育てて、メンタルも体調不良も改善できるかも!?その②
今日は腸内細菌により性格が変わるかもしれないという記事についてご紹介します。
以前の記事でも腸脳相関のお話はしました。
腸内細菌がメンタルの状態にも影響するお話はしました。
ある特定の腸内細菌がうつ病や注意力などの精神疾患や脳機能に影響を与えていました。
今回はそのお話の追加情報のお話です。
『ヒトでの研究報告』
①腸内細菌は不安といった感情だけでなく、実際の脳の構造にも影響する
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究です。
40人の被験者の腸内細菌を調べ、その後被験者にさまざまな画像を見てもらい、脳の様子をMRIで観察しました。
その結果、二つの腸内細菌と脳機能の関係が示唆されました。
一つ目は、ブレボテラ属という腸内細菌を持っていた被験者は、海馬(記憶を司る領域)が小さく、ネガティブな画像をを見た場合の不安も強かったそうです。
二つ目は、バクテロイデス属という腸内細菌を持っていた被験者は、前頭葉と島(判断力や論理的思考能力を司る)という部位の灰白質が多く、海馬も大きいことが分かりました。また、このタイプの被験者は、ネガティブな画像を見せられても、不安を感じる傾向が弱かったそうです。
②自閉症と消化器症状が軽減する。
自閉症の患者は多くの場合消化器症状も伴っていることはよく知られています。
アリゾナ州立大学で行われた研究です。
小規模の研究ではありますが、18人の自閉症患者に対して、腸内洗浄や抗生物質をを投与して腸内細菌を除去後、本研究用に調製した腸内細菌を移植しました。2年後、患者の消化器症状・行動などを再調査しました。
その結果、平均で約44%ほど自閉症・消化器症状の改善が見られたのです。
自閉症は治療法が少なく、また一生涯つき合っていくしかない疾患と言われていますが、もしかしたら今後腸内細菌の研究が進み、大きな改善効果も見られる日が来るかもしれません。
『動物実験での研究報告』
マウスを使った動物実験においては、性格の違う二匹のマウスを用意して、互いの腸内細菌を移植してみて、性格に変化が現れるかどうかという実験がよく行われています。
たとえば、好奇心が旺盛で高い所にのぼるマウスとそうでない恐がりなマウスを用意します。この恐がりなマウスに、好奇心旺盛なマウスの腸内細菌を移植すると、なんと好奇心旺盛なマウスと同様のふるまいを行うのです。
このような実験を通してマウスの研究では、腸内細菌が攻撃性・コミュニケーションなど、さまざまな性格に影響していることが明らかにされています。
また、どうやら性格だけでなく、肥満にも腸内細菌は関係しているようです。
ある研究によると、肥満マウスの腸内細菌を移植されたマウスは2週間で体脂肪が47%増加したのに対して、健常マウスから移植をされたマウスはわずか27%だったそうです。
『まとめ』
腸内細菌とさまざまな疾患(精神疾患やアトピーなどの免疫疾患、消化器疾患)の研究は近年、飛躍的に進んでいます。
人間の腸内には1000種類以上の腸内細菌がいると言われ、その一つ一つの役割が完全に解明されるにはまだ時間がかかるとは思いますが、今回紹介した自閉症の治療としても研究段階で限定的にではありますが、使われ始めています。
今後の研究の進展に期待したいですね!