暴力的ゲームは子供に悪い影響を与えるの?
今回は「暴力的ゲームによる子供への影響」についての記事です。
よく聞きますよね?
「暴力的な表現のあるゲームは子供に悪いのでは?」
という議論。
子供さんが小さいころは、何かとご両親も心配かとは思います。
議論することは重要です。
なのでこういう議論がなされるのは理解できます。
ただ重要なのは、表現の自由がどうのとかいろいろそういう的外れな議論を行うのではなく、「実際に子供に悪い影響があるのかないのか」を科学的に検証・確認すればいいだけなんです。過去の文献を、大規模調査の研究報告を見ればいいんです。
科学的に検証・調査してみて影響ないなら問題なし、影響ありなら問題あり。
事実確認が先です。
事実確認してないのに作品が悪いとか言う議論は、犯罪が起こっていないかどうかも不明なままなのに、犯人探しを先行させるような愚かな行為です。一歩間違えればえん罪・魔女狩りです。
科学的に問題ありと判定された後で、じゃあどうすればいいか、規制するのか・表現の自由はどうなるのか・法的には・社会によるケアは...などの次のステップの議論すればいいのです。
まず影響あるのか・ないのかの事実確認が先です。
というわけで、暴力的なゲームによる子供への影響を調べた研究をご紹介したいとも思います。
『子供の暴力的ゲームのプレイと、行為障害・抑うつの間にはほとんど相関は認められなかった』
イギリスを中心とした研究グループの報告です。
約1800人の子供たちのデータが集められました。
8歳時点で暴力的なゲームをプレイしていた子供が、行為障害(後述します)を呈する可能性はほんのわずかには上昇したが、影響はきわめて弱いという結論になっています。また子供が抑うつなどの症状を呈する可能性についても統計学的に認められなかったとされています(*1)。
また2015年のオックスフォードの研究、2014年に発表されたアメリカでの研究においても暴力的ゲームと子供の問題行動には関連がないことが示されています。
ゲーム依存症になるほど長時間プレイした場合は話は別ですが(ゲームのプレイ時間が長時間化した場合は、悪い影響があるとする報告もあります)、普通にゲームをプレイする分には、それが暴力的なものであったとしても子供の問題行動の原因にはならないことが示されています。
(行為障害とは)
素行症とも呼ばれます。反社会的、攻撃的な言動、社会規範に対する逸脱行為を繰り返す状態です。殺人や放火といった重犯罪はもちろんのこと、脅迫的な態度、暴言、学校をサボったり、よくケンカをしたり、病的なまでに嘘をつくなどの症状としても現れます。長期間無治療の状態が続いた場合、(年齢によりますが)反社会性パーソナリティ障害と診断されることもあります。
『まとめ』
今回ご紹介いたしましたように、多くの研究が暴力的ゲームと子供の問題行動には関連がないとしています。
繰り返しになりますが、「暴力的なゲームは子供に悪い影響を与えるかも?」と思うのなら、それをきちんと科学的に検証・確認するのが先です。もし子供に何の悪影響もないのに犯人探しだけが先行すれば、何の関係もないクリエイター側が魔女狩りされるだけです。
一部のマスコミやコメンテーターの方、何の科学的専門知識も調査能力も持たない芸能人の方には一度冷静になっていただいてから、発言してもらいたいですね。
私はあまり時事ネタはあつかいたくはないのですが...最近アンパンマンが話題になっていますね。
アンパンマンの視聴は、子供に暴力的な影響を与えるという主張があるようです。
まあ本気でそう思っているのは一部の人だけだとは思いますけど笑。
もしホントに心配なら、ご両親の方はどうか子供さんと一緒にアンパンマンを見て、子供さんと話し合えばいいんですよ。
「今のシーンどう思う?良いことかな?悪いことかな?」
「いいことだと思う?いけないことだと思う?xxちゃんはどう思った?」
こんな風に、ご両親が子供さんと対話を通して教育していけばいいんです。
間違っても幼い子供さんをテレビやYouTube付けっぱなしのパソコンの前に放置して、自分はスマホをポチポチなんてやめてくださいね。
あと幼い子供のことを思うなら、ぜったい怒鳴り合いの夫婦ケンカは止めてください(したいなら子供の見てない・聞いてないところでやってくださいね)。そちらの方がよっぽど子供に悪影響があります。
幼い子供にとっての世界は、親が大半を占めます。良いことをしたとききちんと褒めれば自尊心が育まれ、ダメなことをしたとききちんと諭せば良心が育ちます。
参考にしていただければと思います。
ちなみに都合の悪い真実を書かせていただきますが、反社会的行動は50%が遺伝です(下の過去記事を参照ください)。
身に覚えのある親御さんは、子供さんがそうならないよう最善をつくしてください。
<参考文献>
*1:Peter L.Etchell et al (2016). PLoS ONE January 28