科学的根拠のある「相手の心に刺さる」メッセージの伝え方!
今回は相手の心に刺さる話の仕方に関する記事です。
「プレゼンの方法」にも使える技法をいくつかご紹介します。
みなさんは相手の関心を引きつけたいときに、どのような工夫をしますか?
とくに相手があなたに興味をもっているか分からない状況で。
どのようにして相手の心に「刺さる」話をしますか?
わたしはコミュ障なので(笑)日常会話などはあまり上手ではないですが、プレゼンは得意がどうかは別として好きなほうです。
プレゼンの技術は日常でだれかの助けを借りるときも、相手の関心を引きたいときも、就職・転職活動の際や大事な交渉の場でも大事な技術になりますので、身につけておいて損はないです。
今回の内容は
①始めにサプライズ。
②途中で質問を挟む。
③プレゼンにキレをもたらすSUCCESs法とACE法。
④論理・権威・データだけでなく、感情・ストーリーを語る。
の4点を紹介したいと思います。
<①はじめにサプライズ>
相手はあなたに関心があるのか、あなたの話に興味があるのかわかりません。
そのような人はあなたの話を人ごとのように効いてしまうかも知れません。
そんなときに効果抜群なのが「サプライズ」です(*1)。
たとえば、以前ご紹介した「サイコパス」に関して、みんなの興味を持ってもらうためのプレゼンをするとしましょう。
みなさんはどうしますか?
どういう出だしで話し始めますか?
多くの人は「サイコパスとは何か?」という定義の説明から始めると思います。あるいはサイコパスの危険性を説明するかも知れません。
「サイコパスとは人格障害の一つで、日本語では精神病質と言われています。...」
みたいな出だしだと、聞いている聴衆は「ふーん」「へー」「そうなんだ」としか反応してくれないでしょう。スルーされてしまいます。
私なら下記のような切り出し方をします。
「ここにおられるみなさんの100人に一人はサイコパスです」
こう切り出すことで、聞いた人は「今日乗ってきた満員電車の中にもサイコパスはいたってこと!?」「うちの学校にも何人かサイコパスがいるってことじゃん!!」「この会場にも一人はいるってことなの!?と」とびっくりするでしょう。
このようにサプライズをしかけ相手をびっくりさせることで、
①:相手が勝手に色々と想像を膨らませます・疑問に感じたり、個人の感想をもったりすします。その結果、聴衆はそのような想像・疑問・感想を確かめたくなる衝動に駆られます。人は疑問を持ったまま待てない動物なのです。その結果、聴衆は「この人の話を聞いて確かめてみよう」という心理になります。よって、聴衆の集中力が増し、真剣に話を聞いてくれるようになります。
②:相手が自分のこと・あるいは自分に関係の深いことを話しているように感じ、人ごとのようにあなたの話を聞くことはなくなります(前のめりになって聞いてくれる)
③:サプライズが成功した場合、相手のあなたへの警戒心は消え去ります。その結果、「とりあえず話を聞いてみよう」という姿勢になってくれます。
人によってはあえて人を「挑発」するようなことを冒頭で述べる人もいます。挑発された側の聴衆はどういう心理状態になると思いますか?
「なんとかコイツのプレゼンのあらを探して、反論・論破したい!」
という心理になるでしょう。その結果、聴衆は一生懸命あらさがしをするために、プレゼンしている人の話を一言ももらさないように聞くようになります。
つまり「サプライズ」も「挑発」も、聴衆の心理・印象をコントロールする一つの手段なのです。
こちらの発したメッセージにより、聴衆の頭の中に感情や想像の嵐を起こさせなくては、こちらの言いたいことが刺さらないのです。
このサプライズや挑発を上手く使い、相手を誘導するのもプレゼンのよい手法の一つです。
ちなみにこのサプライズという手法、マイクロソフト社のビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズもよく使っていました。
<②途中で質問を挟む>
これも結構重要です。①のサプライズと似ています。
質問された聴衆の心理はどうなるでしょう?
当然、質問に対する答えを考えようとしますね?
その結果、相手はいままでのプレゼン内容を思い出そうとしたり、いろいろと関連する情報を想像します。
また、やはりこちらのプレゼン内容に対する聴衆の注意・集中力が向くことになります。
また質問をして、そのあとで答えを教えてあげることで相手の納得感・信頼感を得られます。
<③SUCCESsとACEの法則(*2)>
これは有名なのでご存知の方も多いでしょう。
SUCCESsとACEはそれぞれ頭文字を合わせたものになっています。
自分のメッセージを、このSUCCESsとACEの法則に則って発すれば、相手が理解しやすく、また広まりやすいということが言われています。
SUCCESsは以下の通りです
S...Simple(メッセージは簡潔であること)
U...Unexpectable(メッセージが予想外なものであること。もっと知りたいとおもわせること)
C...Concrete(具体的であること。聴衆がはっきりとしたイメージを描けるようにすること)
C...Credible(統計データや科学的根拠などを引用し、プレゼン内容に信頼性を持たすこと)
E...Emotional(人間の感情・本能に訴えること)
S...Story(現状に変化が生まれる可能性と、そのストーリーをはっきりとイメージさせること)
またACEは以下のとおりです。
A...Actionable(ただ話を聞いてもらうのではなく、話を聞いてもらった上で行動をうながすようにすること。)
C...Connected(相手に送ったこちらのメッセージが、その場にいない人たちにも伝わるようにすること)
E...Extensible(拡張性があること。こちらのメッセージ・アイディアを、相手が色々と手を加えてよりよいものにアレンジし、発展できるようにすること)
これらの法則をもとにプレゼンを行えば、こちらのメッセージやアイディアがより伝わり、行動や決断をも促してくれます。
<感情・ストーリーで語る>
論理や統計データ、権威者の引用なども非常に重要です。
しかし人は感情や直観、共感で動く生き物です。
たとえば貧困問題を例にしましょう。
あなたは貧困問題をプレゼンし、恵まれない子供たちへの寄付金を募っています。
あなたは以下の二つの例のどちらでプレゼンを行いますか?
例①:アフリカ大陸のxxという国では、一日に100万人が貧困にあえいでいます。この国では昨年の降雨不足で、穀物の生産量が56%も低下して100万人が飢餓に苦しみ、また十分な医療行為を行うことができないため、毎年何万人もの人が命を落としています。
例②:リディアちゃんはxxという国の7歳の女の子です。彼女の家は貧しいため学校にも行けず、朝から遠く6kmも歩いて水を汲みにいっています。そのあとは町のゴミ集積場で使えそうなものを拾い、それを売ってわずかな生活費を稼ぐ毎日です。両親は重い病にかかっており、彼女の将来の夢は両親を助けるため、学校に行きお医者さんになりたいそうです。
例①はデータで攻めており、例②は完全にストーリープレゼンです。
どちらもプレゼンとして悪いわけではないです。
ただこれについては既に答えが出ていて、例②のようなストーリープレゼンをした場合に得られた寄付金の平均額は、例①のような統計のみのプレゼンの場合の2倍にもなったそうです。
またストーリープレゼンは共感をよびやすく、さらに記憶に残る確率が段違いなのです(プレゼンのストーリー部分を覚えている確率は63%なのに対して、統計を覚えている確率はたったの5%との調査報告もあります(*3))
以上いかがだったでしょうか?
プレゼンの基本的な部分をご紹介させていただきました。
プレゼンの目的や環境、聴衆のタイプなどによってプレゼン形式は柔軟に変えるべきではありますが、今回ご紹介した内容は比較的汎用性が高いものだと思いますので、ぜひ機会があればとりいれてみてくださいね。
みなさんのお役に立てれば光栄です...!
それではまた次の記事で〜。
<参考図書>
*1:カーマイン・ガロ著, スティーブ・ジョブズ 脅威のプレゼン, 日経BP社
*2:ジェレミー・ハイマンズ, ヘンリー・ティムズ著, NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ, ダイヤモンド社
*3:佐藤智恵 著, スタンフォードで一番人気の授業, 幻冬舎