IQより大切!?心の知能指数EQについて
今回は他人に「共感する能力」「自分の感情をコントロールする能力」であるEQに関するお話です。
皆さんは社会で成功する能力は何だと思いますか?
あるいはその「社会で成功する能力を測る手法」は存在すると思いますか?
実は二つあります。
一つは性格分析に用いるツールである「ビッグファイブ」。
ビッグファイブの「誠実性」スコアの高さと、学業での成績の高さや年収の高さに高い相関があるというお話は以前お話しました(下記記事を参照ください)。
今回はもう一つの話です。
それがEQスコアです。
今回ご紹介する参考図書によると、「仕事で高い成果を上げている人の90%はEQも高かった。反対に、仕事の成果が低い人のうち、EQが高いのは20%だけだった」とあります。
またEQスコアが1上がるごとに年収が1300ドル上がるという報告もあります。
ではIQはどうなのでしょうか?
IQが高い人たちが、IQが低い人たちよりも成功している確率は20%程度で、平均的なIQの人がIQの高い人たちより成功している確率は70%であったという調査結果だったようです。
IQとはあくまで個人的な能力の高さを示している数値です。一人の天才が世の中を変えてしまえるような職業(たとえば科学者、小説家...など)においてはIQの高さは重要だと思われます。
ただそうではなく、多くの人と協力し、良好な人間関係を維持しながら仕事を進めていく場合は、相手の感情や考えを正しく理解し、それを慮り、表現していく能力、つまりEQやコミュニケーション能力が必要になってくる、ということではないでしょうか?
<EQとは何?>
参考図書の中では、EQは以下の4つの能力であると定義されています。
自分に対するスキル(自己認識スキル、自己管理スキル)と、周りの人に対するスキル(社会的認識スキル、人間関係管理スキル)です。
今回は自分に対するスキルを紹介していこうと思います。
ちなみにIQは70%が遺伝で決まってしまうので、後天的な努力ではなかなか上がらないのですが、EQは努力すれば上がります。
①自己認識スキル
これは、自分の心・感情の動き、様々な状況における自分の言動の傾向をきちんと理解する力です。
「あ!それ俺できてるじゃん!!」
たぶん勘違いでしょう。
人は一日に5万回も考えごとをしているそうです。
でもそれをいちいち覚えていませんし、意識もしないですよね。
実は私たちは、日常に起こる多くのことに対して、無意識に反応したり、感情がわき起こったり、直感的に判断したりしているのです。
当然ネガティブな感情や言動も無意識に行われている可能性があるのです。
イライラしたり、不安になったり、迷ったり...。
そのような無意識に自分の中で起こってしまう感情や心の変化、言動を理解する力が「自己認識スキル」です。
実はこの自己認識スキル、仕事の成功とも深い関係があります。
自己認識スキルが高かった人のうち83%は仕事でもトップクラスの業績でした。一方で、仕事の業績が最低クラスの人のうち、自己認識スキルが高い人はたったの2%だったのです。
自己認識スキルの高さの重要性がわかりますね...!
では自己認識スキルを向上させうにはどうすればよいのでしょう?
参考図書中では様々な方法が紹介されていましたが、ここでは三つ紹介したいと思います。
一つ目は、「感情日誌をつける」ことです。
毎日自分の感情、無意識に起こる自動思考になるべくフォーカスして、それを日誌に書いていきます。
ある程度の期間それを続けると、自分の感情・自動思考のパターンと、それが生み出すポジティブな結果とネガティブな結果が見えてくるでしょう。それに対して意識的に解決策を考えていく方法です。
二つ目は、「立ち止まって自分の感情や自動思考の原因・由来を考える」ことです。
なぜ反射的にあんなことを言ってしまったのか、行動してしまったのか、考えてしまったのか、イライラしてしまったのか...などの原因・状況を丹念に思い起こすことで、自分の本当の姿・考え方が見えてきます。
三つ目は、「映画や音楽、小説、漫画などの作品中に自分の感情・考え方を見いだす」ことです。
夢中になれる映画や音楽、すごく共感できる登場人物、懐かしさを感じる描写、憧れる生き方...などが見つかるかもしれません。そういうものを通して本来の自分の考え方や傾向を理解することができます。
②自己管理スキル
これは簡単にいうと「やるべきときにやる力」「やるべきでないときにやらない力」と言えます。これは心理学の「意思力」の問題と、前述の「自己認識スキル」に大きく左右されます。
自己管理スキルを向上される方法を三つご紹介します。
一つは、「10まで数える」です。
どうしようもなくイライラしたとき、深呼吸しながら心の中で1から10までゆっくりと数えていきます。イライラしたからといって即反応してしまうと人間関係にひびがはいってしまいます。人間の感情は長続きしないものです。自分がイライラしたときは、上記の方法ですこし落ち着いて、感情がすぐ去ったのちに話し合った方が建設的な議論ができるはずです。逆に相手がイライラし始めたら、なんとかして一旦距離をとり時間を空けましょう。
二つ目は、「笑顔や笑い声を増やす」です。
フランスで行われた研究です。
被験者を二つのグループに分けて新聞の漫画を読ませました。
一方のグループには、歯に鉛筆をかんだまま読んでもらい(これにより笑顔になる筋肉が使われます)、もう一方のグループには唇で鉛筆を挟んだまま読んでもらいました(この場合、笑顔の際のほおの筋肉は使われません)。
その結果、歯に鉛筆をかんだグループ、つまり無理矢理笑顔になったグループの方が、笑顔でなかったグループよりも、読んだ漫画が面白かったと評価した人が多かったのです。
つまり無理にでも笑顔になれば、自分の心もポジティブで前向きになるということが分かったのです。
また、みなさんも経験があると思いますが、良い感情も悪い感情も周りに伝染してしまいます。みなさんが笑顔であればそのポジティブな感情が周りにも伝染し、よい環境を生むでしょう。
三つ目は、「新しいスキルを身につけた自分の理想像をしっかり想像する」です。
実は脳は、実際にあった経験と想像の産物をあまりうまく区別出来ないことが分かっているそうです。
実際に夕日を見ている人と、夕日を想像してもらった人のMRI画像を見てみると、まったく同じ脳の部位が活性化していたそうです。
つまり、妄想でもよいので「自分の理想の姿」をしっかり想像した場合、脳はたとえ想像上の産物であっても、それを現実のものと錯覚してしまうのです。
これによりポジティブな感情を抱くことができ、その結果周りの人との関係もよくなることでしょう。
以上いかがだったでしょうか?
今回の参考図書は非常に参考になります。
また自分のEQを測るテストのコードもついているので、ご自分の各項目のEQをはかり、弱い所とあげていけば、職場の人間関係も良好になり、ストレスのない人生になるでしょう。
それではまた次回の記事で〜!
<参考図書>
トラヴィス・ブラッドベリー、ジーン・グリーブス著, EQ 2.0 EMOTIONAL INTELLIGENCE 2.0 「心の知能指数」を高める66のテクニック, 株式会社サンガ