アイディア量産!色々なブレーンストーミング法!
今回は「アイディア発想」の手法のご紹介です。
みなさんアイディア出してますか?
アイディアにも色々あります。
科学的大発見につながることや日常生活のちょっとした工夫...。
企画や商品開発でのアイディア発想...。
小説家やマンガ家の方々も面白い展開やキャラ設定を毎日のように考えているでしょう...。
実は世の中にはアイディアを誰でも簡単に量産できる「アイディア発想法」というものがあるのです。
このアイディア発想法は、私が知るだけでも数百くらいあります(実際にはそれ以上あるでしょう)。
私も科学者ですので、アイディア発想は毎日のように試みています。
今回は、①アイディア発想に対する姿勢、②アイディア発想法、③アイディアが出やすくなる生活習慣についてご紹介したいと思います。
(今回はブレーンストーミングに限定したお話になります)
<①アイディア発想に対する姿勢>
多くの人がアイディア発想というと身構えてしまうと思います。
特に日本人はしっかり時間を与えられれば素晴らしいアイディアが出せるのですが、会議の場などでの発言は乏しい場合が多いそうです。
日本人があまり自分の考えやアイディアを発言しないのは何も考えていないからではなく、もちろん日本人が優れていないというわけでもありません(最新の統計調査によると、日本人の知能指数の平均は世界一位だそうです)。
おそらも教育や文化的背景も多分に影響しているでしょう。
あるいはもしかしたら、あまり自分の考えやアイディアを発言しないのは、下記のような思い込みが原因であるのかもしれません。
(思い込み1)「アイディアというものは質が高くないといけない...」
↓
(思い込み2)「自分のアイディアはだれでも思いつくのでは...?」
↓
(思い込み3)「批判されると傷つくから嫌だな...発言するのやめとくか...」
この「アイディアは(始めから)質が高くあるべきである」という考えは明らかに間違いです。
アダム・グラント著のORIGINALS(*1)によると、
「シェイクスピアを考えてみよう。彼の作品のうち、私たちが慣れ親しんでいるのはほんの少数で、じつは20年間に37の戯曲と154の短い詩を書いているという事実はあまり知られていない。」
「ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による「最高のクラシック名曲50選」のリストには、モーツアルトが6曲、ベートーベンが5曲、バッハが3曲あげられていた。一握りの傑作を生み出すために、モーツアルトは三五歳で死去するまでに600曲、ベートーベンは生涯で650曲、バッハは1000曲以上を作曲している」
そのほかにもピカソは1800以上の絵画を描いていますが、世に知られている作品はごく一部です。
アインシュタインも248の出版物を発表していますが、世に知られているのは「一般相対性理論」「特殊相対性理論」などごくごく一部です。
歴史上の偉人たちでさえ、数多くのアイディア・試行錯誤を繰り返しました。そのうち世に評価されたのはごく一部なのです。
つまり「アイディアは量がすべて」といっても過言ではありません。
良いアイディアもダメなアイディアも出し続けて、発信しつづけて、試行錯誤を繰り返してようやくアイディアの質が伴うのです。いきなり質のよいアイディアを出そうとするのはほぼ不可能であることは上記のように歴史が証明しています。
アイディアとはまず数を出すこと、そのあとで質を求めること、これがアイディア発想で重要な考え方になります。
(このアイディアをとりあえずたくさん出す思考のことを発散的思考、出したアイディアを選択したり、改善したり、組み合わせたりして質を高めていく思考を収束的思考と呼びます)
では、アイディアの数をたくさん出すにはどのような手法が知られているのでしょうか?
<②アイディア発想法>
アイディア発想法は前述のとおり、数百以上も知られています。
今回ご紹介するのはそのごく一部、基本的な発想法になります。
折に触れて様々なアイディア発想法を今後も紹介していきますが、今回はブレーンストーミング法を中心とした方法です。
(注意事項:アイディア発想法には大きく分けて3種類あって、ロジカルシンキング、ラテラルシンキング、クリティカルシンキングの三つになりますが、今回の内容はラテラルシンキングに限定した方法になります。ロジカル・クリティカルの方が得意な方はそちらを使ってもらっても良いでしょう。ご自分に合う方法をお試しください。)
→これはみなさんもご存知だと思います。以下の五つのルールを守ってどんどんアイディアを出していきます。
(ルール1):質より量
(ルール2):批判・批評をしない
(ルール3):非常識・的外れなアイディアも歓迎する
(ルール4):全員のアイディアを公平に扱う
(ルール5):他人のアイディアをさらに改善したり、一部変えたり、さらに踏み込んだアイディアにする。
ブレーンストーミングでは、アイディアの評価はとりあえず保留します。また完成されたアイディアである必要はなく、アイディアの種やヒントになるような小さなアイディア・発言も歓迎します。
このように自由な雰囲気の中でアイディア、発想の種、自分が感じたことをどんどん発言していくのがブレーンストーミングの基本です。
②カードブレーンストーミング
→①の改変版です。基本的には①と同じなのですが、発言するのではなく、カード(ノートでも可)に書いていきます。通常のブレーンストーミングでは、やはりコミュニケーション能力の高い人だけに発言が偏り、アイディア内容も特定の人の考え方に偏ってしまうという弊害があります。しかし、カードに書き込むと言う作業は発言をしなくともアイディアを発信できる方法であるため、上記の弊害が回避されるのです。
こうして記入されたカードをホワイトボードかなにかに張り出してさらにブレーンストーミングを続けていきます。
③クレイジーブレーンストーミング(*2)
→自分たちが置かれている課題・状況・前提を「クレイジーな要素」に置き換えてアイディア発想を行います。下記に例をあげます。
手順①:課題をクレイジーな要素に置き換える。
(課題)多忙な社員をどのようにして研修に参加させるか?
(置換1)アヒルをどのように檻に入れるのか?
(置換2)虫をどのように虫かごに入れるのか?
(置換3)怪獣をどのようにおびきだすのか?...etc
このように今向き合っている課題を、別の単語に置き換えます。そしてその置き換えた文章についてまず考えていきます。
手順②:課題はとりあえず忘れて、置き換えた文章をもとにアイディアを発想する。
たとえば(置換1)のアヒルの例を考えてみましょう。
エサを食べるのに忙しく檻に入る暇がない、そもそも檻に警戒してしまう、エサで釣る、メスでおびき寄せる、仲良しの飼育員に従わせる、他のアヒルの行列に加えて歩かせて檻に誘導する、大きな檻で囲ってしまう、犬をけしかけて檻に入れる、檻がアヒルを追いかけるように工夫する、...自由に発想してもらってかまいません。
次にこのアイディアをもとの課題に適用します。
手順③:手順②で得たアイディアをもとの課題に合うように「翻訳」する。
たとえば、「仲良しの飼育員に従わせる」を考えてみましょう。営業マンと仲良しの人あるいは仕事上のお付き合いのある外部の人、営業成績のよい営業マンなどを率先して研修に参加させたり、あるいは研修の講師に任命すれば、研修に参加するのが嫌な人も付き合いで参加せざるをえなくなりますね。
また「そもそも檻に入るのを警戒してしまう」から考えてみましょう。「研修」という名前だから参加者は身構えてしまうのかもしれません。いっそのこと「グループミーティング」「宴会」と名前を変えてしまうのもありかもしれません。
「エサを食べるのに忙しく檻に入る暇がない」からは、営業マンが日常業務に忙しく、研修に参加できないと翻訳されます。ノルマを見直したり、業務の効率化、ルーチンワークのアウトソーシング、メールや電話会議を増やし直接現場に赴く営業を減らすなどが有効になるかも知れません。
④クエッションストーミング(*4)
→いきなりアイディア発想を行うのではなく、まず「質問」「疑問」「不思議に思うこと」「面白いと思うこと」...etcをどんどん出していきます。その後でアイディア発想に移るという方法です。
質問をすると答えを知りたくなる、考えたくなるのが人間の心理です。どんどん質問をしていくことでアイディアを発想する方法です。詳細は参考文献4を参照ください。
<③アイディアが出やすくなる生活習慣>
これは前にもご紹介させていただきました。
アイディアの量を増やす簡単な習慣があります。
それは運動です。
スタンフォード大学の研究です。
彼らは被験者176人を二つのグループに分けました。一つは軽いウォーキングをしたグループ、もう一つはなにもしなかったグループです。
その後、創造性テスト(発散的思考、すなわちアイディアの数を測るテスト)を行ったところ、軽いウォーキングをしたグループは何もしなかったグループに比べて60%もアイディアの数が多くなったのです(*3)。
残念ながら、この運動による発散的思考能力の上昇は長続きせず、数時間くらいとの結果でしたが、アイディアを発想する前に軽い運動をすると生産性が劇的に改善するというのは驚きですね!
いかがだったでしょうか?
私の思考法は、まず直感で考えて次にロジカル・クリティカルシンキングを行います。常識的なアイディアを作成した後、上記のようなラテラルシンキングで奇抜なアイディアを大量に出してから、再びロジカルシンキング・クリティカルシンキングで検証するという手順をとります。
ラテラルシンキングはゲーム感覚で気軽に行える点が利点です。
皆さんも使ってみてくださいね。
それではまた次の記事で〜。
<参考文献>
*1:アダム・グラント著, ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代, 三笠書房
*2:松林博文 著, クリエイティブ・シンキング, ダイヤモンド社
*3:アンダース・ハンセン著, 一流の頭脳, サンマーク出版
*4:ウォーレン・バーガー著, Q思考, ダイヤモンド社